ナイフ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.41
  • (429)
  • (936)
  • (2143)
  • (211)
  • (31)
本棚登録 : 9759
感想 : 824
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349138

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ワニとハブとひょうたん池で
    ナイフ
    キャッチボール日和
    エビスくん
    ビタースィート・ホーム

    重松清さんの描く子供は残酷で、大人は卑怯。
    でも、本当の子供たちであり、本当の大人たちだと思う。
    いじめを様々な視点から扱った作品だけあって
    とても重かった。
    心に鉛が乗っかったような気持ちになりながら
    ページをめくっていった。
    明確な答が見いだせなくても、微かな光が見えるような
    重松清さんの作品の顛末が本当に好きです。

  • 短編集です。
    あまり短編集は買おうと思わないのだけれど
    重松 清 ということで購入。

    どの作品も明確な結末が(解決)がありません。
    でもどれも気持ちの悪い終わりではありませんでした(w

    短編らしくサラッとしてるけど
    重くて痛い話だな~って。

    全体的には ☆3.5
    「エビスくん」は☆4つ~。じわっときました(w

  • 短編集のようでしたが、どの作品も読みごたえがありました。
    「いじめ」や「教育」について、さまざまな視点から考えていくことができる、いい物語が多かったです。
    とくに、父親からの視点はおもしろかったです。
    さすが重松さん、人間関係の描写が上手い。

  • いじめについて。

  • 短編5話。様々な学校問題を主題にした物語。

  • 何でこんなに悲しく残酷でリアルなのに心を洗ってくれるんだろう。

    人生で初めて泣いた小説

  • エビスくんはなかなか。昔も今もこんな感じかな。

  • 期待しすぎたかな。。
    短編なのでスラスラ読めます。

  • 「「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか! ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。 」

    いじめという暗い話。
    だけど、ハッピーエンドとは言い切れないけど
    ハッピーエンドのような形にすっきり終わる。

  • 短編集です
    イジメの話はなんだか重くて生々しく感じました

    エビスくんの話も強烈やけど、なんか良かった
    最後の妻の話は少し泣けました

  • 教職の授業の時に紹介され読んだ本。
    イジメの内容も生々しく非常に重い話で、読んでいて心苦しくなる。
    だが、この内容は現代でも起きていることで、決して珍しいことではない。
    ある意味ノンフィクションの内容なのだ。
    また、社会という集団で生きている以上、イジメはなかなか無くならない問題なのだから、
    この本の本質はこの先もずっと通じるものである。
    何十年後でも読める作品なのだ。
    現実を生々しく描き、現実の残酷さを記した作品。
    是非、教師を目指す方、学生の方などに読んでもらいたい。

  • 短編より長編が好きです。でも重松作品はどちらも好きです。
    失礼ながらオッサンなのになんでいじめてる子やいじめられてる子の描き方が上手なんでしょうか。こういう子いたな、とか自分が子供だった頃を思い出します。
    読書にかかる時間は短くてもその後の作品の名残は長く続きます。
    どんなに悲しんだり苦しむ人がいても、最後には少しでも、微かでも光が見える。だから重松清の作品が好きです。
    個人的には「キャッチボール日和」が印象的でした。好美と同じ立場になったことがあるからかな。

    いじめって絶対になくなることってないんじゃないかなって思います。
    やり方が違うだけで、いつだって強い子と弱い子は存在するし、人間は絶対に平等ではありえない。楽しい嬉しいをあらゆる角度から表現できるのが人間なら、憎い妬ましいという感情を表現できるのも人間だと思います。
    感情を持つ生き物だから、いじめはなくならない。いじめはどうしたらなくなるかは、どうしたら戦争の起こらない平和な世界になるのか、ということと同じくらい永遠の課題じゃないかな。
    難しいですね。

  • 短編集。エビスくんが、一番好きなお話でした。 重松さんて、本当に気持ちの描写がうまいと思う。感情が手に取るように伝わる。 ただ、重松作品の中ではあまり好きではないかなあ。

  • いじめの話だ。
    語り手は、いじめられている本人だったり、友達だったり、親だったりする。
    いじめの描写はリアルな感じだけど、実際にはここまでのことはないだろうという感じ。
    そういった抗い難いものに語り手は立ち向かう。その方法は、ただ耐える、小さなナイフをポケットに入れるなど、到底立ち向かえるものではないけれど。でもそうすることで戦っている。
    小さな小さな戦いを繰り返して、人は変わっていく。そんなお話。

  • ―――私はナイフを持っている。
    これで息子を守ってやる…。
    小さな幸福に包まれた家族の喉元に突きつけられる「いじめ」という名の鋭利なナイフ。
    日常の中のゆがみと救いをビタースイートに描き出す出色の短編集。


    重松清の短編集

    小学生とか中学生の頃の
    「親や教師に相談するのはかっこ悪くて恥ずかしい事」
    っていう感覚が蘇って

    大人はこれを忘れてるから、解決できひんねんって思うのと同時に
    もし、自分の子供が同じような目に遭ったとき
    俺は子供が自分で解決するのを待ってられるか、ってのも浮かんで何とも言えんモヤモヤした感じに包まれた

    表題作が一番好きかな

  • 何か、いじめ「られる」側本人や家族のすっきりしない感じを凄く上手くすくい取っているから読んでいて爽やかにはならないわなあ。 

  • いじめがテーマの短編集。

    平成12年に初版発行されている本作。
    それから10年たっているけど、根本的なものは今も昔も変わっていない。

    重松さんは度々いじめをテーマにした作品を多く書かれているけど、どれも答えは見つからない。
    それがリアル。
    どれもこれもリアルでした。

  • エビス君に感動!!
    読みながら誰でもいじめの対象になるのか自分と照らし合わせていたがわかなかった。

  • いじめを取り扱った5編の短編小説がはいってます~。
    短編だけど、内容が重いだけに読後感がずっしりくる本。

    背が低い少年と背の低いお父さんの葛藤と人生にむかっていく様を描いた『ナイフ』
    近所の公園の池に住むワニに自分をささげたいいじめられっこの少女を描いた『ワニとハブとひょうたん池』
    いじめられっ子の少年と少年に期待しすぎる父親の親子の絆を描いた『キャッチボール日和』
    転校してきたエビス君に苛められる少年を描いた『エビス君』
    学校の先生と児童の母親との確執を描いた『ビタースウィート・ホーム』

    どれも苛めが題材なんだけど、その背景にある家族の絆もちゃんと書かれていて、酷だけど最後はちょっと心温まる感じになってます。
    重松節って感じ。

    私は、『エビス君』が一番好き。
    著者のあとがきをみると、『エビス君』は著者の相棒のことを考えながら書いたらしい。
    なーるほど。どおりで一番心温まった感じがする。

    苛めの内容は、本当すごい描写になってるんだけど、でもそれに目を向けてはいけないんだな~。
    子供も親もまっすぐにそれに立ち向かっていかなければいけない。
    どんなに真っ直ぐに生きてもダメに人間になっても、今の世の中は誰でもが苛められてしまう立場にいる。でもそれはきっと時間が解決してくれるかもしれないし、ずーっと負け組でいるのかもしれない。苛められてもやり返す。ダメもとでもやり返すくらいの勇気を持つことが大切なんだと思う。

  • いじめがテーマの短編集。
    主人公がどの子も強い、親が情けないというイメージ。
    本当のいじめはもっと心がつぶされるだろうと思うとこれは小説だと感じる

  • 女子校ならではのイジメ。
    男子ならではのイジメ。
    小学生でもそんなイジメがあるのか?とか
    昔はよかったよな・・・とか、
    モンスターピアレント、ってこんなふうにできるのか、とか。

    いじめに絶望して、自らの命を絶ってしまうこどもたちのニュースが立て続けに流れる昨今。
    タイムリーに手にとった本でした。
    私が小さかった(学生だった)ころは、ここまでひどいのはなかったのに、
    いったいなにがかわってしまったのだろう。

    イジメの場面の具体的な記述にハラハラしながらも、
    いや現実はもっと壮絶に違いないと、思い、
    もし自分のこどもがそんな場所におかれたらと
    寒気がしました。

  • 確か中学生の時に感想文を書く為購入したのがコレでした。
    全5話の短編集で、『ワニとハブとひょうたん池で』から始まり、『ナイフ』『キャッチボール日和』『エビスくん』『ビタースィート・ホーム』の後に、著者による『文庫版のためのあとがき』、如月小春さんによる『解説』で終わるのですが、
    私はこの全てで涙してしまいました。

    この作品のテーマである“いじめ”のシーンはあまりにも痛々しく、思わず目を背け読み進める事をやめたくなる程なのですが、やはり直木賞作家!
    うまいんです。
    いじめられている本人のやるせない心境も、その親も。
    何でそんなに…ってくらい、うまいんです。

    またいつか読んでも、泣いてしまうであろう作品。

  • 重松さんの使う言葉はとてもわかりやすい。そして、丁寧であるがゆえに、すんなりと心にひびいてくるものがあると思いました。
    この作品は様々な環境、場所での「イジメ」というものが描かれています。
    またストレートに描かれているため、現実にありそうな出来事だと考えられます。
    心が痛むイジメの作品や、イジメなんだけれど、どことなく不器用な関係の間に生まれたものだと感じられたり・・・それでも、やはり色んな意味で、どの作品も心をギュッと締め付けるものばかりでした。

    イジメについて、これほどまでに、ストレートに描かれている作品は他には無いと思います。
    イジメを通した、子供の苦悩と親の苦悩の関わり方の部分がとても鮮明だと思いました。

    この本は、なさそうで、ありえる内容の5つの作品がつまったものです。
    この中で、お勧めの作品は「エビスくん」です。

  • 10年以上も前に書かれたいじめにまつわる話なのに、全く違和感なく読むことができ、こういう心の動きや流れというものはいつの時代もあるのだということがよく分かりました。でも、学生の時の感覚を忘れている自分にも気が付いて少し驚きました。一人でいて友達がいないと先生や家族や他人に思われたくないという虚栄心のようなプライドや、自分は他のからかわれている子とは違うのだという自負、いじめの有無とは関係なく弱い子はどこか強い子に憧れているのだというシンプルな指摘など、私は忘れかけていたように思います。そうした上で「何でこんなことが」とか「何で何も言わなかったんだろう」といったどこか自分が学生の時とは違う世界のようにいじめの報道を見ていたように思います。きっと、学生の時に読んだら普通に手に取るように理解できたと思うのに、感覚を“思い出す”ような感じで終始読んでいました。色々と考えさせられる話でした。

  • 昨今のいじめ問題を取り上げた作品。
    とはいうものの、ずいぶん前に書かれた作品。
    いつの時代も、「いじめ」というものは無くならない世の中。
    そこに鋭くメスを入れたのがこの作品。
    だからといって明確なこたえを与えているわけではない。
    問題提起である。
    いじめる側の弱さといじめられる側の弱さ。
    その両方の気持ちを考えてこの作品を読むと新たに自身の中で「いじめ」について考えさせられる。

  • これ一回小学生のときにも読もうとして挫折した。
    一話目が好き。近所の公園の池にワニが住んでる話。

  • 5篇からなる短編集。

    最初はいじめの話かー。次もいじめネタ、その次m…
    そういう本だと知らずに読んだのでビックリした。

    重松さんはいじめの構造がよくわかってる。
    どうすればいじめは解決できるのか。
    この本ではその答えは書かれていない。だからこそリアルなんだ。
    引き込まれた理由はもう一つある。
    この本に出てくる子供たちは、自分が子供だった時代を生きているのだ。
    子供側にも親側にも感情移入できた。子どもが欲しくなるなぁ。

    この本が書かれたのは10年以上前。
    今のいじめは当時より陰湿でわかりにくくなっているんだろうな。
    もっと勉強しないと。

    それにしても親子の関係を書かせたら重松さんはほんとに上手い!

  • いじめいじめいじめ!!

    くらかったーー

    性的ないじめの描写のところで、若干吐き気が、、


    でも最後の話はわりとよかったかな。。

    ビタースイートホームだっけ。

    エビスくんも話の終盤はよかったんではないかと思います。

    私はやっぱハッピーエンドが好きだ。

  • このパターンの短編ばっかの重松節は眠くなるし、飽きますね。


    いじめの対象者の周りの友達や、親は、
    どのような対処をするのが正解か?みたいなテーマの短編集。



    この前ひるおびの恵が、いじめられてる子がいれば、
    「匿名でも先生に手紙を書こう!!」と言っていたが、
    完全にこの物語では、そうゆう奴は死ね。
    といじめの対象者が言っている。


    僕の中では、
    軽はずみな恵の対応が浮き彫りになった作品。

  • 重松さんの「卒業」を読んで号泣して、それからこの作品を読んだので、自ずと期待値は、とても高かった。

    だからかもしれないが、泣けはしなかった。

    いじめについていろいろと書かれた短編があるなか、個人的にはビタースウィートホームが好きだ。

    まだ家族を持っていない自分も、こんな風になるんだろうか。家族と仕事の中で、忘れていく一方で。
    このお父さんのように、たまに思い出せるだけ良い方なんじゃないだろうか。
    この短編集の中では終わり方が一番好きだった。

    重松さんの小説は終わり方が良い。

    この小説を読んでいて、ずるいなぁと思ったのは、文庫版のあとがきで泣かせにかかってきたことである。

    あれは、ずるい。不意打ちだった。

全824件中 211 - 240件を表示

著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

重松清の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ZOO
乙一
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×