信長 (新潮文庫 あ 39-2)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (567ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101482125

感想・レビュー・書評

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  • 信長は好きだ。

    この一書は、カエサルやナポレオンとの比較で信長を論じているが、元にしている資料が偏っていて素直にはうなづけないところもある。

    私には、使っている資料の是非を問う力はないが、筆者の信長贔屓が行き過ぎてるところもあるのでは?

    ともあれ、今の日本人から見ても異形の人間。信長に最後まで仕事をさせたかった。

  • 信長論の最高傑作。
    信長の天才性を、ナポレオン、カエサル、プルターク<英雄伝>と比較することで、日本史を超え、時代を超越したスケールの大きさとして指し示して見せる。
    理想を掲げ、その理想実現に向け、日本社会を革命的に変革しようとした男の、時代に突出した凄さを描き切る。

    秋山駿は、信長に比肩しうるのはカエサルとナポレオンだという。
    それは三人とも新しいパラダイムを切り拓いたからだ。
    「信長公記」を基に信長を描くが、著者の視点は「信長公記」の作者太田牛一でも信長の目指したパラダイムは理解できていなかったと手厳しい。

  • 途中まで頑張って読んだが、歴史史実すぎて、頓挫してしまった。とにかく史実の辞書を読んでいる感じ。

  • ―2003年4月―

  • 信長の思考について史実から再考していく本。こんな歴史の本を読むのは久しぶりだったので、読み終わったときに何百年もの時のあいだを移動してきたあとみたいになった。細かい感想は手元に本がないので書かないでおく。
    秋山駿の論の進めかたはなんだか豪快さがあって好きだな。

  • 筆者が「織田信長はこういう人!」と勝手に決めて「そうに違いない!」「理由は海外の古典的偉人伝〇〇の△△!」と断言しまくる550ページ近くもあるウザい本だった。
    筆者の信長像にそぐわない文献の記述や意見は「自分はそうは思わない!」の一刀両断で他の意見等を検討したように見えないし、多くの有名な海外の古典的偉人伝から都合の良い部分だけ虫食いのようにやたらと引用するのは虎の威を借るキツネのよう。
    信長さん以上に筆者が出しゃばり過ぎていて読み物として面白くないし、海外古典を論拠にいろいろ言われても正直言って説得力に欠ける。飲み会でこういう自分の意見だけを滔滔と一方的に教えてやる風に披露するオジィさんっているよな~って感じで、読んでいてしんどい本でした。

  • モンテーニュ、ナポレオン、スタンダール、等々がなぜか出てきて、それが少しの量ではなく、さらにそれについての解説があるのに信長公記等は原文が多く、何の本を読んでいるのかわからなくなったので最速で読み終わった。

  • 批評本は頭の中をグルグル回させてくれるから好きです。

    信長さん。
    秋山さんの目からみると、全ての出来事が「必然に繋がる」ように独特な「天才性」から書かれていて、それがもうなんというか潔かった。

    政治性がどうしても書き残らないは、「信長公記」でも太田牛一も戦いの場面がどうしても書いてある分量から見てもはっきりしてるんですね。

    政治性が今少し書き残してあれば、信長さんという人間性にもう少し幅が広がったんでしょうね。残念。。。苦笑

    個人的に信長さんのことを知るにはいい一冊でした!

  • 信長凡人説や常識人説が言われる昨今ではありますが、本書は徹底した信長天才論で通しています。そして1582年に近づくにつれ、その記述は信長を神がからせていきます。
    当時のパラダイムからひとり信長がシフトしていたことについて繰り返し説明されます。激情家だったのでしょうが、同時に新しい天下像に相容れないものを見極める冷静な眼を持っているように描かれます。
    しばしば叡山焼き討ちや長島一向一揆殲滅などの派手で残虐な事例は、信長の性格や政策を示す格好の例とされます。しかし、むしろ佐久間信盛や林通勝ら重臣たちの地味な切り捨てこそ、新しい天下創造の決意表明として注目してしかるべき出来事だと思います。本書では佐久間親子らの追放が当時の常識に比べいかにイレギュラーだったか述べる一方で、新世界を築く信長の立場からすればいかに当たり前の処置であったかが述べられます。つまり新世界創造に突き進む信長の前では、外見的な敵も味方も等しく同じ地平に立たされているということです。まさにこのボーダレス感こそが、信長の天才性を示す好例だと思います。

  • 織田信長の「天才」に迫る評伝です。

    著者は、新しい秩序を創ろうとする信長の精神を描き出すに際して、プルタークのカエサル論やスタンダールのナポレオン論のほか、ヴァレリーのデカルト論のような、一見したところ信長とはかけ離れた議論を参照しています。そこには、新しい秩序を創造する信長の「個」としての強靭さを捉えようとする著者の意図があると言ってよいのではないかと思います。

    著者の本を読んだのは初めてですが、思考のスタイルが、評論家で著者と同じくフランス文学が専門の福田和也に通じるものがあるように感じました。個人的にはちょっと苦手なタイプの文章なのですが、それでも信長という人物の魅力は十分に伝わってきました。

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著者プロフィール

1930年東京生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。文芸評論家。60年に評論「小林秀雄」で第3回群像新人文学賞受賞。90年に『人生の検証』で第1回伊藤整賞を、96年に『信長』で第49野間文芸賞と第50回毎日出版文化賞を、2003年に『神経と夢想 私の「罪と罰」』で和辻哲郎文化賞を受賞。著書『舗石の思想』『知られざる炎』『内部の人間の犯罪』(ともに講談社文芸文庫)、『歩行者の夢想』(學藝書林)、『内的な理由』(構想社)、『信長 秀吉 家康』(廣済堂出版)、『信長と日本人』(飛鳥新社)、『忠臣蔵』(新潮社)ほか。

「2014年 『「死」を前に書く、ということ 「生」の日ばかり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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