- Amazon.co.jp ・本 (684ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102010044
感想・レビュー・書評
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下巻の冒頭はドストエフスキーの独白(待ってました)!
ロシアの歴史的背景に迫り、あれやこれやと批判しながらこねくり回す
今回は「わが国には実務的な人間がいない」
からはじまり、一体このトピックはどこへ向かうのか?
…そうこんなふうに考えながら読むのがなかなかオツである(物語最後も、もう登場せずにはいられない!という感じで再登場)
いつもの如く気になるキャラクター達でいっぱいなのだが、上巻ではリザヴェータ夫人、下巻はロゴージン(個人的に)かな
ロシアにきて初めての知り合いとなったロゴージン
最初の出会いはお互いに好意を持って始まった二人だが、気付けばライバルという悲しき運命に
彼らの友情の行方も気になるが、ロゴージンの心の中の深い深い漆黒の闇が結構切ない
あまり(ドストの割に)心理描写が語られない分、心を持っていかれた
他に目立ったのは、イポリートという肺病の余命わずかな青年
彼の滑稽さと究極の恥辱を描く
かなりの嫌悪感と妙な共感
触れられたくない心に土足で入ることを好んでいるかの皆の会話
下巻ではイポリート君という死を前にしたパッとしない青年にスポットをあて、人間の醜さと滑稽さ、羞恥心をこれでもかと見せつけられる我々読者
そして一応(失礼)メインである公爵の恋は…
四角関係(なのかねぇ?)の行方は…
「自分を世界じゅうの誰よりも堕落した、いちばん罪深い人間だ」と信じているナスターシャ
自分の卑しさを証明するために公爵から逃げたナスターシャ
彼女の追い詰めまくった自暴自棄な狂った破滅的な精神は最後まで圧倒され続け、これは一体どこが着地点なのだろう
と興味深かったのだが…(うーん、そうきたか)
そしてライバル女同士の修羅場
相手をとことん精神的に追い詰める
もう崖っぷちまで追い詰めて逃げ場を全て潰しにかかる…
怖すぎるんだけど
読んでいて関係ない私が気絶しそう…
一方の主人公公爵
公爵自身あわれんでいるだけでもうナスターシャを愛していないと気づくのだが…
彼の苦悩と、なぜその道を選び行動したのか
あの一瞬はなんだったのだろう…
はぁ、ラストは凄まじかった
ジェットコースターに乗って振り回されて、ヘトヘトになって
そして最後がもう極めつけで…途中から酸欠になり、久しぶりに読書をしてグッタリしてしまった
重たいヘドロの布団を被っている上から誰かがどすんどすんと不法侵入者が自由勝手にトランポリンしているみたいな感じ
なぜここまで人間の本質に迫り、それを何のオブラートも使わず惜しげもなく開放していくのだ
何度も言っているが一応恋愛モノとされているが、正直私には人間モノだろコレ…としか思えなかった
とにかく多角的な読み物であるのは間違いないのだ
そして後を引く引く、そして引きまくる
途中までテンポよい展開でドストにしては明るく読みやすいと思っていたが、やはりそのまま単純には終わらない
最後にきましたわ
これぞドストエフスキーである
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アグラーヤとの結婚は確実と思われていたのに、まさかのどんでん返し。
ムイシュキン公爵は結局ナスターシャを選ぶことになる。
そのナスターシャがロゴージンに殺され、また公爵が白痴に戻ってしまうというのがとても切ない。
ラストの、ロゴージンと公爵によるナスターシャの通夜のシーンが神秘的で美しい。
あとがきを読んで、ドストエフスキーの伝えたかったことがよくわかった。
「作者は「無条件に美しい人間」を周囲の人びとに「白痴」と呼ばせることによって読者に挑戦しているわけである。われわれはいったいいかなる人物を「白痴」の名で呼んでいるのか、と。」 -
背表紙にネタバレ載せるんじゃねぇッ・・・!!!
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名作と呼ばれる「白痴」であるが、話の進捗が遅く、冗漫な展開には辟易した。後半、ムイシュキン公爵と深く係わるアグラーヤ、ナスターシャが物語の主体となって俄然面白くなった。公爵とナスターシャを殺したロゴージンの関係は不気味で、人格的欠落は明らかだが、公爵もロゴージンも自分の理解の範疇を遥かに超えており、そこがこの小説の面白さなのだと思った。
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各編、盛り上がる場面があるが、やっぱり口論のシーンが面白いと思う。ゆすりに来た連中と段々仲良くなっていくところ、静かなラストもなかなか良い。
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命題は 「エゴイズムな社会で 善人は 白痴にならなければ 生きられないのか」
*善人の象徴ムイシュキン公爵とエゴイズムの象徴ロゴージン
*善人とエゴイズムに振り回される 陰の女ナスターシャと光の女アグラーヤ
著者は、善人の生き方に 美しさを見出しながら、エゴイズムな社会で 善人のまま生き抜くのは 難しいことを 批判したのでは?
生命の源泉
*イッポリート不治の病→生にしがみついて、どんなことがあろうと生きたいと願う=本当に生きる
*自己保存の法則=自己破滅の法則〜個人のエゴイズムと物質的な必要性のみの満足→精神的基盤がない
*鉄道=生命の源泉の縮図→死の源泉=悪魔のもと自滅と虚無へすべり落ちる
「問題は生き方にある。絶え間なき永遠の探求の過程にあるのであって 決して発見そのものにあるのではない」
「謙虚さは恐ろしい力」 -
別訳が読書会課題本だった。倫理道徳をテーマにした深い話だったと思う。日本では恋愛小説として読まれることが多いらしいけれども、個人的にはキリスト教的な隣人愛に関する一種の思考実験的小説という印象が残った。メインキャストのキャラ造形やラストの展開に納得いかない日本人読者は多いだろうが、個人的にはとても感動した。
トルストイの独白を終始にわたって楽しめる人はそういないと思います。こういった忍耐を経ると、あとはなんでも...
トルストイの独白を終始にわたって楽しめる人はそういないと思います。こういった忍耐を経ると、あとはなんでも読める気がしますよね(笑)。
こうしてドストを時系列的にみていると、はじめはそうでもなかったのですが、だんだん暗闇に向かって爆走し、たぶん底は『悪霊』かしら? ふとどこかで光をみつけてたどり着いたた(『カラマーゾフ』)といった、勝手な思いがしたりします。いずれにしても人間描写はすごいです。
またドストのレビューを楽しみにしていますね♪
ありがとうございます
やはり彼の人生を背景に感じることが大切そうですね…
また時を経て挑戦したいですね
(時間は必要です...
ありがとうございます
やはり彼の人生を背景に感じることが大切そうですね…
また時を経て挑戦したいですね
(時間は必要ですね
立て続けはしんどい(笑))