賭博者 (新潮文庫)

  • 新潮社
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102010082

感想・レビュー・書評

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  • 題名の通り、主人公は賭博者。おばあさんの存在がとてもクレイジー。カジノで大当たりしてるとこなんて怖いくらい引き込まれる描写だった。主人公の様子が後半につれてどんどん変化していきいわゆるクズになっていくがどんな行動をしても魅力ある主人公だった。ポリーナの動向が最後まで読めなかった。ドストエフスキーの体験を元にされた小説のよう。”賭博”っていう言葉がロシア人にぴったりと何度も表現されていた。外国人から見たロシア人、ロシア人から見るイギリス人描写が興味深かった。ドスト作品はこれが一番読みやすいかも。

  • 他の長編にくらべると思想的なものが薄かったりして読みやすかった。
    ギャンブルにはまったひとにしか書けなさそうな文だとおもったらドストエフスキーもギャンブルでえらいめにあってたのね…。
    書いてあることが、ギャンブル依存症の知人が言ってることとだいたい同じだった。

    老婦人が登場してからの勢いのある賭け方とスリ方にはつい笑ってしまった。
    ドストエフスキーの登場人物は唐突に叫んだり激昂したりするけど、この人もそんな感じで、周りが必死になってとめてるのにウォォォ!とばかりに賭けまくって持ち金全部なくす様は潔くもあり滑稽でもありまた切なくもあった。
    負ければ取り返したくなるのは仕方ないことだけどあまりにもはちゃめちゃな賭け方。

    『生涯にせめて一度なりと、打算的で忍耐強くなりさえすれば、それでもうすべてなのだ!せめて一度でも根性を貫きとおしさえすれば、一時間ですべての運命を変えることができる!大切なのは、根性だ。』
    という文は、すごい根性論ではあるけれどつい逃げそうになってしまう私には響いた。

  • ルーレット賭博の魅力に取り憑かれ、泥沼に嵌まっていく人たち。賭博そのものよりも、賭博に取り憑かれる心理を通じて「人間」を描く。本作からも、「全てを平準化する力としての金の威力」という、ドストエフスキーの一貫したテーマの一つを強く感じとることができる。またギャンブルに対する関わり方や、金銭的な感覚を通じて、ロシア・フランス・イギリスの国民性の違いをかなり強調して描いている。ロシア=蕩尽、フランス=収奪、イギリス=分配といったかなり大雑把な分類(イギリス推し・フランス嫌いがすごい)ではあるが、それなりに説得力はあるし、なによりそういった分類が、作中の登場人物の特徴を際立たせ、魅力的な人物として描くことに貢献しているように思う。フランス人は怒るかもしれないが。
    ドストエフスキーらしさ全開の面白い小説でした。

  • びっちりと一面に並べられた文字とその内容は、理解するのに難しく、なかなか頁が進まなかった。
    しかし賭博のシーンは面白かった。
    またドフトエフスキーの思考がありありと見えるところには新鮮さ、驚きがあった。

  •  文豪ドストエフスキーによる、傑作「賭博」小説です。『罪と罰』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』などたくさんの名作を遺していますが、個人的にはこれが一番好みです。
     それまでギャンブルをしたことがない人間たちが、この魔物と邂逅したとき何が待ち構えているのか知りたくありませんか?
     迫真の記述で破滅に向かっていく登場人物たちの苦悩、焦燥、葛藤が克明に描かれています。好きな人にはたまりません。
    (T.H)

  • 1866年 45歳
    第22作
     
    出版業者とのひどい契約で、締め切りに追われた作者が、口述筆記を使って完成させた作品として有名。
    そのせいだろう、作品の最初はゴタゴタしてして、進行ももっさりしている。

    中盤、金持ちの伯母が登場してから面白くなるが、ドストエフスキーは、若い女や、いろんな境遇の男たちを描くのは上手だけれども、老女はあまり得意ではないようだ。

    全体としてはあまりいい出来の作品とは思えないのは、やはり、やっつけ仕事だからだろう。

  • 愛するポリーナのためになけなしの金を賭けて、主人公イワンは20万フランの勝ちを得る。
    だが「あんたのお金なんか貰わないわ」と顔に投げつけられてしまう。
    何たる屈辱であろうか。

    ギャンブルって、はまると抜け出せなくなりそうだから怖いよな。
    気がついたときには、この作品の主人公のように、労働を忘れてしまった、滅んだ人間になってしまっているのかもしれない。

    「ゼロさ、ゼロだよ!また、ゼロだよ!」
    お祖母ちゃんの快進撃がかなりおもしろいです。

  • お祖母ちゃんが出てきたところから面白くて、もうお祖母ちゃんの言葉とか態度も面白くて、主人公にしてほしいぐらいだった。

    ドストエフスキーの経験から書かれた作品。

  • 主人公はさる将軍家の家庭教師。思いを寄せるポリーナにはすげなく扱われ、フランス野郎デ・グリューやイギリス人ミスター・アストリーとも不愉快な付き合いをしている。滑り出しは穏やかだが、中盤〈お祖母ちゃん〉登場の辺りから俄然周辺が騒がしくなってきて、主人公も次第にルーレットにのめり込んでいく……。後期の長大で深遠なる傑作群には及ぶべくもないが、程よい文章量と観念色の薄い世俗的な内容は入門編には最適かも。

  • ギャンブラーの思考があますところなく描かれている。破滅への思考と行動。誰も止められない、手強い依存性。

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著者プロフィール

(Fyodor Mikhaylovich Dostoevskiy)1821年モスクワ生まれ。19世紀ロシアを代表する作家。主な長篇に『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』『悪霊』『未成年』があり、『白痴』とともに5大小説とされる。ほかに『地下室の手記』『死の家の記録』など。

「2010年 『白痴 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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