あしながおじさん (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102082010

感想・レビュー・書評

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  • 人生で三度目のあしながおじさん読了でした。三度目にして初めて、ウェブスターの緻密に計算されつくした構成力と感情の変化を間接的に描き切った描写力に気がつき、脱帽させられてしまいました。

    誰もがあらすじを知っているように、決して正体を明かさないお金持ちの男性が、孤児の女の子を大学に進学させてあげるかわりに、毎月自分あてに手紙を書かせる物語。

    8歳と19歳のときにすでに読んでおり、結末は知っているのに、約10年ぶりに再読してみると、全く違う物語のような印象を受けました。

    以前読んだときは、孤児として育ったにもかかわらずハツラツとした無邪気さを持つ主人公の活き活きとした大学生活の描写が心に残ったのに、今回はどちらかというとその逆。

    瑞々しく明るい描写の中に垣間見える、孤児であることを親友や愛する人にさへ隠そうとする少女の葛藤や虚栄心、裕福な友人たちへの羨望、若い娘らしい物欲など…ただ一途で前向きなヒロインにとどまらない、より生身の人間らしい少女の心情に初めて気がつかされました。

    そして何より目から鱗だったのは、この物語は少女から「おじさん」にあてた手紙のみで構成されている「一視点」の物語であり、「おじさん」の心情は全く描かれていないにも関わらず、その手紙の中の描写から、気まぐれに援助をしだしたはずのおじさんが彼女に1人の男性として徐々に恋情を募らせていく過程が丁寧に織り込まれている点です。興味本位からひたむきな愛情に変わっていく様、ライバル男性への嫉妬、焦燥、独占欲、束縛など、実に多くの「おじさん」の感情が、手紙の中で少女が記すおじさんの行動を通じて容易に連想されるようにできています。しかし、少女はそんなおじさんの強烈な恋心には全く気づいていません。並程度の表現力なら、「それはないだろう」とつっこみたくなるはずでしょうが、それが実に見事に無理なく描かれています。他人の視点を用いて別の登場人物の心の変化をこれだけ鮮やかに描き出したウェブスターの筆力と緻密な構成に脱帽させられた一冊でした。

  • 夫の実家の本棚にあったもの。金井美恵子の『お勝手太平記』で、この作品の中のバラの花束について触れられていたことから読みたくなる。偶然?いや金井美恵子は同じ書簡体小説であることを絶対わかって触れたはず。

    食わず嫌いのとはこのこと!あまりに有名で今更という気持ちで手に取らなかったけれど、いやこんなに夢中で読んでしまうとは!多くの魅力があるけれども、やはり一番は一方通行の書簡体だという点ではないだろうか。何を書き、何を書かないかを巡る想像を掻き立てられ、そして自分の気持ちを人に伝えるという中で言葉が自然と選び抜かれることに不自然さがない。
    そして、この時代のアメリカの上流階級の暮らしも1つの魅力でした。ジュディの描いた線描画も何とも言えない味。
    他の翻訳も読んでみたくなりました。

  • 時代背景が分からず読みにくい部分はあるが快活でユーモアに富む主人公の文体は楽しい。掛け値なしで支援してくれているが反応の薄いあしながおじさんに対し、主人公持ち前の想像力を発揮して不自然なく楽しく会話している作力はすごいです。それにしても「アンネの日記」はこの本からかなりの影響を受けたのではないでしょうか。結びの言葉とかとても印象が被ります。
    あしながおじさんの正体は中盤くらいからうすうすわかってきますが、終盤のラブレターとその前の流れはとても可愛く、感動的です。

  •  こちらも『若草物語』に並ぶくらい大好きだった作品。幼少期は、国別にまとめられた小学館の『少年少女世界の名作文学』シリーズで読んでいたので、必然的に『若草物語』からの流れでよく読むことに。書簡集って楽しい!と思うきっかけとなった本。
     大人になってから読むと、素敵な紳士の子どもっぽい一面が結構感じられて笑えるが、子どもの頃はそんなことには気づかず、無条件に素敵なおじさまと信じて憧れていた。児童文学の名作は「孤児」と「想像力」がキーワードなのかと思うくらい、共通している気がする。
     今作も訳が古く、体育祭の「プログラム」を「番組」と訳していたのはどうしても許せなかった。

  • 昔に読んでからずっと大好き。
    和訳の言葉遣いがいい。

  • 小さい頃から大好きな本。今回15年ぶりくらいに読み返したけど、けっこう細部まで覚えていた。ジャーヴィぼっちゃまが、ジュディをサリーの別荘に行かせないようにするところ最高です…おじさまの嫉妬可愛い。一番好きなのは、砂糖菓子を作るところと、持っているドレスの描写。

  • おんなのこの、生活、おしゃれ、恋愛、など
    全ての面においての
    完全なるしあわせのかたち、
    この本の中に あり。

    春夏秋冬をとうしてのジュディの毎日の楽しみ方、
    お部屋を飾ったり、買い物をしたり、
    明日からもっと
    おんなのこを楽しみたくなる。

  • 久しぶりに読み返したけどとても幸せな気分になった。ラスト知ってるからこそ手紙の数々が微笑ましくてたまらない。明るくてユーモアたっぷりのジュディがすごく好感もてる

  •  続あしながおじさんを読んだので、ついでに読みました。
     読み返すのは子供の頃以来ですが、結構対象年齢の高い話だったのだな、と実感。
     以前アメリカのミュージカル映画を見て、なんだか下品でこんな話だったっけ?と不満でしたが、原作はすばらしい。
     あしながおじさんの正体をわかっていても、どきどきしながら読めました。
     20歳を越えた今、「わたしは美しいです」と手紙に書く少女の健康的な自意識がまぶしく微笑ましい。再読してよかったです。

  • 書簡形式のお話。

    1回読むともう1周読みたくなる。
    最初は主人公ジュディの立場から。
    あしながおじさんの振る舞いにジュディと一喜一憂しながら。
    正体がうすうす分かってきてもあえて目を瞑りながら。
    2週目はあしながおじさんの立場で。
    なにこの可愛いおじさん。

著者プロフィール

ジーン・ウェブスター

「2004年 『あしながおじさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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