七つの時計殺人事件 (新潮文庫 ク 3-13)

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  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102135143

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    七つの時計
     僕は学生時代、古本屋巡りが好きでクリスティ作品は出版社等拘らずに時間をかけて全て揃えた。残念ながら全てを読み尽くす情熱は無かった訳だが、何年も経って再びクリスティへの熱が再燃し、ハヤカワ版を買い直し読み進めるに至る。
     当然、以前に読んでいて記憶しているもの、読んだがうろ覚えで何となく記憶にあるもの、全くの初見があり、今作は今回が初見だった。そして幸いにも見事に裏をかかれ、学生時代にかえった様な気分になった。ものの見事に虚をつかれた、どう分類していいかわからないミステリーを久しぶりに体感した気持ちだ。
     今作は「チムニーズ館の秘密」の続編にあたり、前作から主人公は変更になっている。チムニーズ館の所有者ケイタラム卿の娘、バンドルを中心に構成されている。魅力的な人物達も健在であり、多少なりとも滑稽なユーモア溢れるパートもあり、起承転結がはっきりしている。前作においては中心人物が他に存在していた為バンドルの魅力は制限されていたが、今作ではとても行動的で魅力ある女性に描かれており主人公として理想的だ。序盤はスリリングではあるが、読みにくさもあり(登場人物が多く名前がわかりにくい。職業も似ている為、手こずる)中々頁がすすまなかったが何故この様な事が起きたのか。については読者の好奇心を見事に捉えていると思う。
     前作後、チムニーズ館は他の人物に貸し出されており、ケイタラム卿達は数年ぶりに館へ帰還する訳だが、屋敷ではとある若い人物が睡眠薬の飲み過ぎで亡くなっている事件が起きる。
     物語が進むにつれて、バンドルを巻き込み広がっていく事件と、秘密結社「セブンダイヤルズ」の真実。バンドルや仲間達の冒険は魅力的だが危なっかしくてハラハラしてしまう。途中から秘密を共有する仲間が増えていきながら、そしてそれぞれが自分自身を欺きながら政治に関わる人物達との社交に携わり少しずつ謎が紐解かれていく訳だが。冒頭にも述べたが真相が明らかになった直後、空いた口が塞がらないとはこの事であり、そういえばクリスティはこうだったなぁと再認識させられた作品。前作に比べてバトル警視の役割も大きく、彼の人物像が少しだけ垣間見れる。
     途中までは「チムニーズ館の秘密」には及ばないなぁと思いながら読んでいたが、中盤から結末までで場合によってはこちらの方がいい?と思わされた作品。「カリブ海の秘密」と「復讐の女神」と並び、「チムニーズ館の秘密」と「七つの時計」は二対一組で面白さが何段も上昇する。

  • 秘密結社的なものが好きなのでおもしろく読めました。ちょっと登場人物が多くて、わかりづらいところもありました。

  • 主人公のバンドル(本名アイリーン)の勇敢さに感銘を受けた。彼女は、ある殺人事件の犯人を追っている最中、怪しいグループの存在に行き着き、なんと彼らの会合場所に乗り込んでいったのである。見つからないように食器棚の中に隠れ、一晩中そこに潜んでいた。殺人を犯したかもしれない組織の中に一人で潜入していく彼女はなんて勇敢なのだろうと思った。
    また、犯人を捕まえようとして自分一人で夜の屋敷を彷徨くなど、当時の一般的な若い娘のやることでは無いと思う。
    結局、犯人はそれまで行動を共にしていたある男性であることが明らかになるが、秘密結社、殺人、暗号など、ワクワクする要素がつまった作品にフレッシュさを感じさせるのはバンドルの存在があってこそかもしれない。

  • 図書館でミステリー特集やってたから借りてみた。クリスティは、有名どころ?しか読んだことないから、ちょっと新鮮だったなー



    チムニーズ館に招かれた客の1人が、睡眠薬の過剰摂取で死んだ。朝寝坊の彼を驚かそうと、ベットの下に置いた8個の目覚まし時計は、なぜかマントルピースの上に整然と並んでいた。なぜか7つだけ。冒険好きのバンドルは、この謎を解くために乗り出した。しかし、次なる犠牲者が。さらなる謎の『セブン・ダイヤルズ』とは一体…?


    ちょっと途中は、誰が誰だか分からなくなったところもあったけど、なかなか面白かった。バンドルは、お嬢様なのにとんだじゃじゃ馬娘ってかんじ。車の運転は危なっかしいし、セブン・ダイヤルズの謎にどんどんいくし。
    だけど、最後の結末が意外だったなーかなりミスリードされてた。それで思い出したけど、いつもクリスティの話ってミスリードされる。私が馬鹿なだけかな?


    今度は違う作品にも挑戦してみよう。


    2017.11.9 読了

  • マープルおばあちゃんもポアロも出ないミステリー。
    バンドルお嬢さんの活躍というか暴走が楽しい。
    映像で見たい。

  • 訳が非常に読みづらかった。キャラや設定は面白いけどミスリードが長すぎて読むのに疲れる。最後のどんでん返しのために伏線はしっかり張ってあるんだろうけど読み返す気にはなれないな

  • ミステリというよりアドベンチャーに近いです。キャラクタがどれも好きなので、今のところいちばんのお気に入り。
    ポアロは出てこないけど、利発な少女バンドルが事件を引っ掻き回すのは見ていて楽しく、結末(ミステリとは関係ない方)が乙女の心をくすぐります。
    若い人たちでわーわーやるのが好きな人にはオススメ。

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著者プロフィール

1890年、英国、デボン州生まれ。本名アガサ・メアリ・クラリッサ・ミラー。別名メアリ・ウェストマコット、アガサ・クリスティ・マローワン。1920年、アガサ・クリスティ名義で書いたエルキュール・ポアロ物の第一作「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。以後、長編ミステリ66冊、短編ミステリ156本、戯曲15本、ノンフィクションなど4冊、メアリ・ウェストマコット名義の普通小説6冊を上梓し、幅広い分野で長きに亘って活躍した。76年死去。

「2018年 『十人の小さなインディアン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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