スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102193051

感想・レビュー・書評

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  • キングの『ホラーではない普通の』物語。
    中篇の『スタンド・バイ・ミー』と短篇の『マンハッタンの奇譚クラブ』が収録されています。
    楳図かずお先生の『わたしは真悟』と同時進行で読んでいたせいもあってか、子供という生き物の繊細さ、強さ、思慮深さをひしひしと感じました。
    大人になってから、この心持ちを描けるのは本当に凄い。
    少年時代を象徴する何気ない背景・シチュエーションのきらめきも見事です。

    対して、お互いに繋がりのない紳士たちが集まって物語を披露し合うだけなのにぐぐっと引き込ませる短篇もさすが。

    大満足の1冊でした。

  • 当然私は1960年代のアメリカにいたことはないわけですが、当時を回顧するノスタルジックな感じ、青年になる前の少年たちの青々しさ、非論理的な勇気と友情、良い。女の子に興味を持つ前の少年にしか話題にできない、学校の先生の話、他校の生徒の話、自分の手柄話をしながら焚き火を囲んで寝るところが好き。
    クリスかっこいいな!

    死体を見たかどうか、橋を渡ったかどうかは忘れていたくせに、ブルーベリーパイの話を覚えてて、再読だったことが判明
    奇譚クラブの話も覚えてた。

  • 線路を歩くシーンが有名だけど、この作品の良さそこじゃないよね?!と実際読んで見て。褒め言葉として、思っていたほど爽やかじゃなかった。
    英語で読んだらスラングすごく勉強になりそう。
    キングはこわくてホラー読めないけど、映画以上の生々しい描写はなんでかたまに読みたくなる。

  • 文教大学図書館の所蔵情報はこちらです: https://opac.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=36704&test=t

  • ベン・E・キングの歌と同映画のタイトルとして耳にしたことがあったことをきっかけに本屋で目についた。まず「秋」編である「スタンドバイミー」について、物語には少年が四人というのはなんとなく知っていたがもっと青春物語的な作品だと思っていたので、死体探しがテーマでそれぞれ少年らも家庭に様々な不幸な事情があることが意外だった。内容的には死体を探しに行って帰ってくるだけだが、途中途中には明確にそれぞれが成長しているような場面があったし、中でも少年ながらに自分の立ち位置や個々人の才能、家庭環境などを考えてクリスとゴーディが話とするシーンはなんだか胸を打たれた。また、「冬」編である「マンハッタンの奇譚クラブ」はもちろんマッキャロン医師の話は相当ショッキングなものだったが、この話自体の終わり方も何か非現実味を感じさせるような不思議な終わり方で面白かった。どちらの話も原作を訳した内容であるから原作との表現に差はあると思うけど本書の表現も自分的には好きで、ところどころ訳した感が感じられるのも良かった。できれば原作を英語で読んで原作での表現の仕方も直に感じてみたい。

  • 訳が今一つの箇所があって悲しくなる。特に「冬」は、数人で分担した下訳をただ合体しただけみたいに見える。例えば「(年令が)73才」を「(温度が)摂氏約三度」と訳してみたり「二十三度」と訳してみたり。いい話なのに…。

  • ◆成長した今だからこそ読みたい名作◆
    夏の終わりのころに、4人の少年が森で行方不明になった少年の死体を捜しに行くというお話し。12歳という思春期に入る少年たちの子どもだけど大人を主張する年齢、4人のキャラクターなど自分のあのころを思い出させるお話し。ちょっと怖くて、楽しくて。
    映画は背景がとてもきれいです。ハラハラドキドキで、何より挿入歌になった「スタンド・バイ・ミー」(ベン・E・キング)がとても良いです。

  • 森の中には少年の死体が眠っているんだ


     季節にまつわる中編をまとめた「恐怖の四季」シリーズの秋篇。

     少年の秋の目覚め……★ って意味不明かもしれないけど!? 青春真っただ中のことを夏にたとえるなら、夏が去っていこうとしている物語だと思います。当時の仲間の一人の回想という形式をとっているのも、枯れた気配を出すのに一役かってる。

    「森の奥に少年の死体がある」そう聞きつけた少年たちは、発見したら町のヒーローになれると思って、噂の森に出発します。

     二重の意味を持つ旅。文字通りの死体探しの旅と平行して、彼らの心の旅も進む。わずか二日間の冒険で、少年たちは、普段は人に見せていなかった面、それぞれの背に負っているものを少しずつさらけ出していき、一つ一つの場面に彼らの内側が反映されながら、冒険が進む……。

     少年時代、という記号は、特殊にきらめいて見える時がある。でも、実は何歳かなんてどーでもいいことだと思うんですよね。いくつだろうとどこで誰と暮らそうと、人はその場所でもがきながら生きてるし、生きてるっていうことは死んでくということと同義なのでしょう★

     そうだ、大人と子どもで違うことと言えば、あの時は特別な出来事だと思っていたことでさえ、通り過ぎていってしまうということかも。そして、たとえ特別な友がいたとしても、結局は自分一人で生きる(死ぬ)ということかもしれません。

     こういう雰囲気も面白いなぁ。あと、スティーヴン・キングの小説で人生を考えさせられたのが、意外に初めてでした★ いつも言葉巧みすぎて、有無を言わせないような強引さを感じさせる作者だけど、『スタンド・バイ・ミー』ではすこし抑え気味だったかも。わずらわしさを感じず、余韻に浸れた。こういう小説がもっと書かれたら嬉しいけど、難しいのかな……?
     S・キングがモダンホラーの巨匠という肩書きを受け入れすぎずに、「文学」への未練を失わないでいてくれたらなぁ。

  • 子供の頃の夏休みの冒険。何とも言えないノスタルジーを感じて、くすぐったくなりますね。クリスとゴーディの会話がすごく印象的。こういう友達って大事。

  • 真実を知るということは、自分自身を、あるいは他人を切り刻むがゆえに、つねに血にまみれたショウがつきまとうのだ。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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