- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102193075
作品紹介・あらすじ
まがいものの"神"になってしまったジョンの苦悩は続いた。人は誰でも将来を教えてもらいたがるが、それは決してその人に幸せをもたらさない。その上,彼にはすべてが見通せるわけではなかった。頭の一部に黒い塊=デッド・ゾーンがあって、そこにある情報は出てこないのだ。それでも彼には予知できた-有力な大統領候補者のスティルソンが、国をどこに率いていくつもりなのかを。
感想・レビュー・書評
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今読み直すと何十年経ってもアメリカってこんな感じだよな。トランプとかキューアノンとか1.6とか考えるとスティーブンキングの予言がどんどん現実に向かっている。
SF やファンタジーの世界ではなくなっている。恐ろしいこっちゃ。 -
昏睡状態から目覚めてからのリハビリがたいへん。身についちゃった特殊能力で大統領の暗殺を決意し。。面白かった。
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小説
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キング1979年発表の初期作品。ホラーのテイストは薄く、特殊能力を持つが故に苦悩する孤独な男の半生をヒューマンタッチで描く。主要な登場人物の日常を細かく積み上げていく手法は相変わらずだが、本作ではややテンポを損ねているきらいもある。主人公が〝異能者〟となり人生が変わりゆくさまを丹念に追っていく長い長い第1部は、終盤の劇的な展開へと導くためには必要な分量だったのかもしれないが、構成の密度は弱まっていると感じた。
手を触れることで、相手が秘匿することを知り、未来を予知する。決して売名/野心を目的とせず、殺人事件を解決し、他人の生命に関わる事故を未然に防いだとしても、常人を超えた力に人々は畏怖し、敬遠していく。空想的なヒーローは漫画や映画の世界でこそ親しまれる。現実社会で隣に居座る〝超人〟はどこまでも不気味な化け物でしかない。そのペシミズムが全編に横溢し、報われることのない主人公を追い詰めていく。ラストに於いて、誰のためでもなく自分の信念で事を成し遂げた男の最期が哀しいカタルシスに満ちているのは、死こそが呪縛から解放されるための鍵であったことを無情にも示すからだ。
主人公のジョン・スミス(ミドルネームなし)という名には、「誰もがスミスに成り得る」という含みを持たせているのだろう。中盤までの暗鬱なエピソードの数々は、読者一人一人が己自身に置き換えて、自分であればどう乗り越えるかを迫る。もし、眼前の男に世界を滅ぼしかねない狂気を「視た」時に、人々を救うための行動を起こすか否か。スミスは自らの余命を知り得たが故に、己が「正義」と信じる結論を導き出すが、果たして「キミならどうする」とキングは問い掛ける。
結末において、損傷した脳が異常な力を発揮した要因を強引ながらも〝科学的〟に解明してみせるのだが、キングは本作で〝非科学的〟〝神的〟なものを極力排除しようとした跡がある。その象徴/対照となるのは、本作唯一のホラーパートともいえる邪教に溺れ精神が崩壊していくスミスの母親にまつわる挿話である。
人間を「超えてしまう」ことの怖さ、その能力を持つ者への偏見などのテーマを、キングは次作の「ファイアスターター」でさらに掘り下げる。
ちなみに、クリストファー・ウォーケン主演の映画化作品は、枝葉を刈り取ったストレートな構成と、主人公の凍てついた心象風景の映像表現が鮮やかで、記憶に残る秀作だった。 -
ワクワクするストーリー展開にはマイル。伏線となる話が心憎いほどに読み進めると効いてくる。たまらん。
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上巻を我慢して読んでいくと下巻が面白くなるナリ。翻訳特有の読みにくさも読み慣れてきて、いよいよ面白くなっていくナリ。ただ主人公が政治的な所に興味を示している序盤は「なんでだろう」と感じました。読み進めていけば納得ですが。
これは個人的な表現になりますが、「翻訳物としては比較的読みやすい」作品だと思うナリ。