幽霊たち (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102451014

感想・レビュー・書評

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  • 私立探偵のブルーが、ある男の見張りを依頼される話。登場人物がブルー、ブラック、ホワイトなど、色の名前で表されている。大きな変化はなく見張りをするだけという単調な物語たが、依頼者の意図は何か、相手は何者なのか、自分は何をしているのかと、すべてが懐疑的になる主人公の心の動きが非常に読みどころである。

  • いったい彼らが誰なのか?そもそもこの物語は何を描こうとしているのかすら分からないまま読み進める。

    ブルー、ブラック、ホワイト。

    登場人物たちのイメージはなんとも劇画チックで、アメコミのキャラクターを想像しながら読んでいました。
    とても難解なことを平易な言葉で端正に語っている印象があり、どこか孤独な閉塞感が終始支配している。

  • ムーンパレスを読んだときとはまるっきり違う感じ。新潮文庫の「ピース・又吉が愛してやまない20冊」にも選ばれていたとは。
    登場人物がみんな色の名前で、ただそれだけのことなんだけど匿名性?がとても高められていたように思う。人物の描写がなくても自ずとイメージが浮かんでくるんだけれど、色以上の余分な情報はシャットアウトされていて、そのバランス感覚はこれまで味わったことない種類のものな気がした。
    私立探偵ブルーが、ホワイトという人物から奇妙な依頼を受けて、ブラックを見張る。単調にすすむ日々のなかでブルーが異常を来していく様子はまさに狂気。我々のまわりは幽霊たちであふれている。

  • NY三部作第二弾。ごく普通の男が世界との繋がりを失ってどこかへ消えていくという流れ、最終的に入れ子形式の物語となっている作りは「ガラスの街」と同じ。でもこの作品の主人公には未来の妻や尊敬する先輩がおり、自己存在について考えこむタイプでもなく、望んで孤独という迷宮に踏み込んだわけではないところが前作とは大きく違う。
    世界と繋がって生きていたはずの人間が、ふと一歩横滑りしただけで世界から切り離される。与えられた観察対象が彼の世界の全てになり、気づかぬ内に世界の他の全てにとって彼は非在者となって…唯一繋がっていたその世界が裏返る時、彼の存在自体も裏返る。ブルーもブラックもホワイトもなくなる、色のない世界、でも色の名が溢れる一方でリアルな人間の表情が見えない空虚さは最初から物語全体を覆っていて、読み終わってもそれこそ全てが幽霊たちの話のよう。消失の物語のようで、全体が“非在”を語る作品と言えるかも。

  • ソローの文章に頭を抱えるブルーにわかるよ!と肩を抱いてあげたい。

  • 面白っ…わかんねえ

  • 「ニューヨーク3部作」の2作目。

    序盤は推理小説のような雰囲気を漂わせるけど、読み進めるうちに自分という存在、他者との関係性などを考えさせらるような内容。それでいてエンタメ作品として楽しめるのもすごい。解説にも書かれていたと思うけど。

    もやもや考えながら読み進めるのは楽しい。読むたびにいろいろ発見することができそう。

  • 変装したホワイトの依頼で、ある男ブラックを監視することになった私立探偵ブルー。ブラックは読書、執筆、散歩と決まり切った孤独な生活を送るだけ。痺れを切らしたブルーはブラックとの接触するために行動に移す。

    読んでいるとなんかソワソワしてしまう不思議な小説。もう一度読んだら、また違う楽しみがありそうな気がするから、☆は3.5。

  • 強く主張しているようでいて、その実像は掴めない不思議な小説だった。

    現代アートを鑑賞して、楽しみ方が分からなかったような読後感。

    アメリカの同時代の文学作品を、もっと読み進めていけば、自分なりの判断基準が持てるかもしれない。

  • シンプルながらテーマ(アイデンティティとは?みたいな)がしっかりしていた。
    けど、面白みは薄い。文章は読み易いし、読み心地はいいけど、これは翻訳者の力か?
    原書を今度読んでみたい。

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