- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103096320
作品紹介・あらすじ
21世紀にもつながるキリスト教vs.イスラム教、対立の原点。聖地奪還のための大遠征はどう始まり、どう戦われ、どう破綻したのか。美しく精緻な版画に付した簡潔な短文で描かれる十字軍史、最高の入門書。
感想・レビュー・書評
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元々はこちらが出版されてから十字軍物語が出たようですが、物語を見てから読むことになりました。でも、筋を把握してからドレの絵で見るのも楽しかったです。ドレの描いた十字軍の挿絵はたくさんあるらしいのでもっと見たかったです。
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キリスト教徒による聖地エルサレム奪還に向けた対イスラム戦争である「十字軍」の歴史を、見開きページの左側全面を挿絵画家ギュスターヴ・ドレの手になる絵、右側ページ上段は絵に描かれたエピソードが展開した土地を示した地図、右ページ下段は塩野七生さんによる簡素な解説という三要素を積み重ねて構成された、ビジュアルブック。
この後に三巻構成で進む本文の「十字軍物語」の序章という位置づけです。
十字軍への前提知識のない日本人にとって、簡略な流れを頭に入れておくのに最適だと思います。
そして、若き日の塩野さんが惚れ込んだというギュスターヴ・ドレの手になる約100枚の挿絵は本当に美しい。
19世紀フランス出身の超有名イラストレーターだそうで、シャルル・ペローの童話集やダンテの神曲、ドン・キホーテ、聖書の挿絵などを描いているとのことなので、もっと彼の作品を探して鑑賞したいです。眼福です。
これから読む「十字軍物語」がとても楽しみになる一冊でした。 -
十字軍の全体像を掴むことができた。しかし一方で、塩野さんの解説にもある通り、ドレがどの場面のどの部分を挿絵として残すか、に「歴史をどのように見るか」という視点が改めて感じられておもしろいとおもった。この本は導入扱いなので細部=本編の小説が気になる…!
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この本で唯一の写真であるフリードリッヒの彫像が最も心に残った。
血を流さずに十字軍の目的を果たしたために、同胞から蔑まれた第六次十字軍指揮官。彫像はキリスト教徒の手によって無惨に傷付けられている。
現代的な価値観では最良の成果を出した人物が、こんな評価を受けたとは。 -
ローマ法皇がエルサレム奪還したらみんな
天国に行けると扇動し食糧を奪い殺戮を繰り返し
てゆく第一回十字軍。
その後約200年に渡たる一神教を信仰する
キリスト教VSイスラム教が争いが
野蛮な西ヨーロッパの人達の狂気と
内紛ばかりのイスラム世界が
ドレの絵を通して知れました。 -
あまり馴染みのない十字軍だが、ギュスターヴ・ドレの挿絵により概略を楽しめる。
地図を多めに掲載されているので、地理感が分かってよい。 -
宗教の名のもとに起こされる戦争、十字軍。
自然科学が発達する以前、我々の常識は宗教であって聖職者が許せば殺しも許されたのです。
この本は本文と地図を脇役に、キリスト教とイスラム教の双方に平等なタッチの絵が主役です。
とても理解に助かりました。
今ではキリスト教によるそれは見られませんが、現代人にも大きく関わる歴史でしょう。
なぜなら、イスラム過激派による“ジハード”は終わっていないのですから。 -
これぞ、大人の漫画。
地図が同じようなものが続くので、そのスペースを利用して、系図、年表など他の資料を挿入してもらえればもっと理解と移入度が増した。
それを差し引いてもドレの圧倒的な版画と、、簡潔で明快な解説(というよりも版画に付随する物語のあらすじ)の融合はお見事。 -
ギュスターヴ・ドレの版画に、簡潔な解説を組み合わせた、十字軍絵巻。一通り重要なイベントはカバーしています。見開きに1エピソードで、それが何処で起きたのかを示す地図もあって便利。この著作は、これから出版される十字軍物語4部作の巻頭、オペラで言えば序曲にあたるものらしい。壮大な物語がはじまりそうな、期待感が湧いてきます。とは言え、この本単独で見れば、少し説明が足りずにもどかしい箇所もあります。ページをめくってイメージを作りながら、これから詳しく語られる物語を楽しみに待ちましょう。
もともとこの挿絵は、19世紀前半のフランソワ・ミショーの「十字軍の歴史」に、19世紀後半になってつけられたものとのこと。私がギュスターヴ・ドレに出会ったのは、旧約・新約の聖書物語でした。ドレの挿絵というだけでも買う価値があると思うくらい、この絵は美しい。臨場感のある壮大な構図、緻密に尽くされた技巧。この本の良いところは、挿絵が主役で、説明が必要以上にでしゃばらないところかも知れません。 -
塩野さんがこれから書く「十字軍物語」の予習版という感じ。しかしギュスターヴ・ドレの絵というのはいい選択ではないかと。ドレの「神曲」も素敵だし「聖書」も素敵。本当に挿絵という範囲の出来ではないと思う。