半席

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103342335

感想・レビュー・書評

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  • ナゼの真相が全く響かず。
    毎話、半席云々等、同じ描写の繰り返しが紙幅の無駄との感。

  • 罪状は確定していて、刑を執行するだけであっても、なぜその犯罪を行ったのかはっきりしないケースがある。それを追求するという話の設定が面白い。急に関係ない人を切りつけたり、どうしてそんなことになったのか というテーマが多いようだ。

    ラスト、上司の優しい対応がいい。
    「それがしなら、いかようにでも」
    「そんなら、まずは、この部屋をちっとあっためてくれ」
    「はあ・・・」
    「その懐に呑んでるもんを出して、この火鉢にくべてくれ。少しは暖の足しになるだろう」
    というのがいいなぁ。

    手慣れた時代小説の文体で、また読んでもいいなという部分が8分、人情噺的なところがいかにも時代小説でたくさんはいいかなというところもある。

    このミス2017 4位、本の雑誌2016上半期9位、文庫王国2018国内ミステリ1位

  • 徒目付の青年が主人公の連作短編集。彼は徒目付を旗本になるための足掛かりとみなしているが、上司からの頼まれごとを断りきれずに役目から離れた探索事を引き受ける。それらは既に起きた事件の犯人と対峙し動機を探り出す事なのだが、話を引き出すためには当たりをつけておかねばならない。少ない手がかりから相手の心底を想像する過程が面白い。さらにそんな探索を重ねることで、ひとくくりにはできない人の心の機微を知ることで、主人公の生き方も変わっていく。雑に生きてるとこういう物語が染みるなあ。

  • 時代小説は好きで、結構読んでいるつもりだったが、まだこんなに知らないことがある、ところどころ感じる作品。

  • 永代御目見の身分になるため、徒目付から勘定所への昇進を望んで務める主人公。しかし上司が持ってくる本筋とは違う仕事(事件の犯人に真相を語ってもらうために推理し、行動する)をこなす中で人の心や行いの深さに触れ、そちらに惹かれるようになっていく。 それはそれでいいのかもしれんが、子供のために昇進しないと、ってスジは投げちゃってええのかなあ(^^;)

  • 江戸時代を舞台にホワイダニットに特化した推理短編集。
    旗本目指してお勤めに精を出す無骨な下級武士の青年が、
    上司から頼まれ、既に犯人が捕まっていたり
    目撃者がいて子細が明らかになっている事件の”動機”を調査する話。
    動機はいずれも些細なことだけど、その些細なことが毒のように悪意を満ちさせていく様がリアル。
    あと、特筆すべきは食事の描写のすばらしさ。
    落ちさごの卵の塩辛、蛤と卵を合わせて蒸した時雨卵、焼き塩振って遠火で炙った黒鯛の若魚、青柳の蓼酢に里芋の土垂等々。
    細かいところでは、事件の目撃者が鱮釣りは鱮の淡さを楽しむ釣りであるという持論を打つ場面も良い。

    老侍が釣りの最中に筏の上を走って入水した事件を追う表題作、
    老侍の集まりで出た真桑瓜が原因で刃傷沙汰になった「真桑瓜」、
    忠義者の使用人が自分に良くしてくれていたはずの主人を殺した「六代目中村庄蔵」、
    ドブ攫いをしていた侍に隠密筋の者が斬りかかった「蓼を食う」、
    相手の攻めを受け続けて疲弊させて制する念流の遣い手が襲撃された「見抜く者」、
    ひょんなことから旧友の父から命を狙われることになる「役替え」の6編を収録。

  • 読み始めてすぐ「しまった~、2度借りしちゃった。」と思ったら違ってました。少し前に借りた「約定」に収められていた短編「半席」を連作化して出版された本でした。最初の短編「半席」だけが既読、その他の5編は未読でした。
    徒目付・片岡直人が、事件を起こし既に刑の決まった武家の「なぜ?」を調べる時代ミステリー。いずれも恨み・妬みのような単純なものではなく、心理的な屈託が動機になっているのが面白い。
    もっとも、バラバラに発表されたものをそのまま短編集としてまとめた為なのか、”半席”という言葉の意味や徒目付の役割などが全ての短編で解説されているのが煩わしく。そこらは整理して出版してほしかった。
    ひょっとしたら、青山さんにとってのこの作品は、藤沢周平さんの「用心棒日月抄シリーズ 」のようなものなのかな。まだまだ続きそうだし。

  • 江戸の文化時期の徒目付の連作短編時代小説。

    ・半席
    ・真桑瓜
    ・六代目中村庄蔵
    ・蓼を喰う
    ・見抜く者
    ・役替え
    の6編収録。
    作者には珍しいミステリー仕立てで、既に裁きを終えた犯人の犯行理由を探るWhy done it?ものです。
    江戸時代らしい理由が面白いですが、基本チャンバラがないので6編を一気に読むと飽きてしまいました。
    最終話で一代御目見の半席から永々御目見となる願望をあきらめ、徒目付を生涯続ける判断をしたので、シリーズ化もありかと思います。

  •  なかなかに、洒落た味わいがある。
     続編は望まないけど。

  • 秀逸な連作推理短編集。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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