- Amazon.co.jp ・本 (124ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103507215
感想・レビュー・書評
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2つの短編の舞台は大阪。
なんか悲しい街として描かれています。
芥川賞候補だったこの表題作。断片的に変わる視点。みんな悲しいのだもの、正直混ざってよくわからなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『断片的なものの社会学』に出てくる人々。それぞれ1人ずつが小説の登場人物のようだったが、本書では彼等が実際に動き出す。大阪の土地勘がほとんどないにもかかわらず、景色が眼に浮かび、会話が耳で聞こえてくるような‥リアルで不思議な読後感だった。
惜しくも芥川賞受賞を逃したことをネタにされる著者のお人柄も含め☆☆☆☆☆ -
第156回芥川賞候補(表題作)。
ダメだな、筆者が社会学者だって情報が先に入ってきてしまったせいで、かなりバイアスがかかった評価をしてしまう。
いいですか、今から私すごく愚かなことを言いますね。
これ、小説ですか?
いや、手法としてアリなんだろうと思います。小説ってのはさ、どう書こうと自由なんだから。わかってますよ、そんなことはね。だけれどこれはどうなのよ?学者さんが面白がって市井の人々の陥った隘路をショーケースに並べ立てているようにしか、自分には感じられなかった(多分作者が社会学社だと知らなければ、こうは思わなかったと思う。哀れなり)。
カップリングされた「背中の月」はまあいかにも文学的な感じはするものの(こういういかにもな感じは自分は嫌いではない)、やはりその陥った悲劇のテンプレ感というか、書き割り感がすごいなあ、と思ってしまった。 -
底辺でもないけど、特に住みたいとも思わない大阪の、絶妙な土地柄。
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「断片的なものの社会学」で、アカデミズム以外の一般読者からも注目されている社会学者の初の短編小説集。タイトル作の「ビニール傘」は芥川賞の候補にもなった。
市井に生きる人々の生活を不思議なタッチで描く。1人の人間のことを語っていたかと思うと、急に視点がスライドして別の人物の話になっていたりするので、油断できない。
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読後、どこかに行けるわけでもなく、どこにもいないような気になった。
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収録されてる二編を読むと住んでいない町のことなのに、身近だ。それは僕らが生きている今はそれまで生きてきた過去の断片たちと共にあるから。未来は現在を引き連れて、現在は過去に背中を押されている。だから、知らない町の誰かと自分の何かが共鳴し、しない部分が鮮明になる。