騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534334

作品紹介・あらすじ

その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。

感想・レビュー・書評

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  • 振りまいた伏線はやはりいつも通り回収されたんだか謎のままにされたんだか。イデアたる騎士団長に関しては置いといて、免色さんとやらとその娘の関係性や旅先で主人公が出会った謎の男などはほぼぼやかされて終わったのがモヤモヤする。結局いつもの村上春樹でしょうか。前2作よりは良かったけれども。

  • 小説のモチーフや一つ一つの要素が、ほとんど過去作品から持ってきたような感じ。自分が描いた作品だからオマージュとは言わないのか…?全体としてはねじまき鳥クロニクルに似ていた。

  • 「ドン・アンナ」が登場してから、「ドン・ジョバンニ」(モーツァルト)の序曲を何度も何度も再生させながら読んだ。
    ファンタジーでありながらファンタジーでない。絵を通して歴史に潜む真実みたいなものを語っている。
    現実と非現実は曖昧で、存在自体も不確かである。
    自分の中に沈思し、自分の本当の姿を見つけ、自分が欲していることを見つけていく。そんな話だった。
    妻の懐妊は、1Q84の天吾と青豆を思い出した。1Q84はふかえりをなかだちにしていたけれど。
    何と言ってもわたしと秋川まりえのからみが面白い。わたしとの繋がりでまりえの中の塊が溶けていくさまがいい。二人の時間をずっと見ていたかった。
    暗黒の中でも、希望と信が仄かにたゆたう作品だった。

  • 直喩や隠喩の数々、性愛・肉欲、変わった名字、知らない音楽、怪しい実在……。おそらくちゃんと読んだ村上作品としては『1Q84』に続いて2作目である。タイトルに惹かれて手に取ったが予備知識なしに読んだので、想像していたような中世やヨーロッパ世界の雰囲気は感じず、かといって現代社会の喧騒からも離れた、意識の隙間を刺してくるような印象を持った。正直、村上作品は好きになりきれないのだが、面白くないかと問われたら間違いなく面白い。とくに今回は絵画を題材にしていたので心惹かれた。
    小説だが、絵師の話。挿絵も一切なく、この世に実在もしない絵画について、あらゆる角度から文字で描かれる。まさに「実写化殺し」の作品(うまいこと言ったつもり)。一度その手の話を考えたことがあるが、生成AIで挿絵を入れれば耳目を集めやすそうだと考えていた自分を恥じる。
    結局、どんな絵なのかは読者が想像するしかない。無限の可能性。ならばいっそのこと、本書を読んだ体験が、どこかに自分を導いてくれると信じたほうがいい。騎士団長が実在したのを信じたように。

  • なんかすごかった。普段読むような雰囲気とは真逆でファンタジーの要素もある。中盤ぐらいがとても面白かった。いつか機会があったらまた読みたい。

  • 1Q84もそうだったけど、中程でダレてしまい読んだけど記憶に残らない部分がある。それは騎士団長を殺すところ

  • まりえが主人公に語りかける「私の絵を描いている先生の中に入ってそこから自分を見てみたい。それで自分自身の理解が深まる。先生も私のことをもっと深く理解できる」とは深い言葉。また主人公が自分自身の手を眺めながら「私自身にとって私という人間が意味を持たない存在であるように思えてきた。私の手に見えず、見覚えのないよその人間のもののように見えた」との言葉も、人間とは何かを問いかけている。井戸のような「穴」に異次元世界との接点を感じさせ、また意味深な象徴的、含みがあることが実に興味深いところである。第2部では主人公の実に不思議な世界の体験が、これぞ正に村上ワールドという感じで、私が魅きつけられる点でもあり、ついていけない人もいるところだと思う。
    終結部の平和さが、それまでの不思議な物語とどのように繋がるのかなど、これからも解説書などで研究してみたいテーマが多い。

  • あーあ、終わってしまった…
    が、今の感想。

    本とAudibleを併用しての読了。

    「ノルウェイの森」の妻夫木聡さんの朗読に続き、高橋一生さんの朗読が最高でした。
    いや、高橋一生さん、素晴らしすぎた。
    彼以外にこの本は朗読して欲しくないくらい、もはや彼の物語だった。

    聴き始めてから、本で実際に読んでいる時にも彼の声が頭の中で聴こえていて、スルスルと最後まで読んで、聴いていられた。本で読み、Audibleで聴き、時には読みながら聴き、しばらくこの世界に浸っていたので、終わってしまってただただ今は寂しさが残っている。

    ファンタジーは得意じゃないけど、村上春樹さんのファンタジーはファンタジーではないというか、嘘じゃないというか、不思議なことが起こっているのには違いないのに妙にリアルで、んなバカな…とは思わず、すんなり入り込めるのが不思議。

    目で耳で村上節にどっぷり浸かることができて、すごく幸せな時間だった。本当にこの感覚が好きだ。しばらく余韻に浸っていたい。

  • (図書館)

    どうでもいいけど、プリウスが止まる音を説明してほしかった。今だに帰ってきてもわからないんだよね(猫も気づかない)。

  • 元妻と復縁するまでの話

    村上春樹初めてだったけど鼻につくレベルの気取った文書も慣れたら楽しめた。主人公が一応芸術家だったから受け入れられたのかも知れない。主人公と免色以外の一般人すら気取ったこと言ってくるのは最後まで慣れなかった。
    メタファー回廊?の中の話はただただつまらなかった。あとは面白かった。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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