すれ違う背中を

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 507
感想 : 94
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103710110

感想・レビュー・書評

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  • 前科もちコンビのその後が読めてよかった。普通の人より真面目に慎ましやかに生きる姿にものすごく共感してしまう。前作同様今回も途中まではあまりに自分に厳しい芭子に息がつまりそうだったけど、ぽっちが出てくる頃から明るい兆しが出てきてほっとした。2人とも幸せになってほしい、っていうか幸せになるところまで書いて欲しい。

  • 食べ物の描写がとてもすてき。おなかが鳴っちゃう! 人生でどんな状況にあっても、日常の満足ってとても大事なこと。日々を丁寧に生きていくことが人の幸せにつながる。その2つを伝えたいために、あえて「日常」の象徴である「食事」を丁寧に描写してるのかなっと思いました。はやく続きが読みたいなあ。

  • ムショ帰りの芭子と綾香コンビシリーズの第2弾。
    ええ、そんなシリーズあったかいな? と思いつつ読み進める。
    いろんなことに気を遣いながらも2人が一生懸命生活しているのが好印象。特別なことがなくても健康で毎日暮らせているなら幸せよね〜。
    他人のことまで心配したり、心優しい二人なのかもしれない。

  • 『いつか陽のあたる場所で』の第二弾。
    綾香が「ムショにいたときは~」に芭子の「ちょっと綾香さんってば」がお決まり。
    ふたりとも幸せになってもらいたいとほんと思う。

    ◆小森谷芭子
    睡眠強盗。ペットショップ。心配性

    ◆江口綾香
    殺人。パン屋。能天気。

    ◆高木聖大
    ボクの町の主人公。警官。

  • 前科持ちコンビの第2段。読めば読む程、芭子と綾香を応援する気持ちが強くなり、この2人にはどうにかこのまま平穏に過ごして欲しいと思う。きっと第3弾もあるだろうから、その時また一歩前進した2人に会えるのが楽しみ。

  • ムショ帰りの女性が、過去に怯えつつもペットショップでアルバイトをしながら手作りの犬服の委託販売をしたり、お客さんが返品したセキセイインコを飼ったりして、自立への道を探ります。
    インコの仕種が登場人物たちの複雑な心を解きほぐすかの様に描写されているのがいいですね!又、私もインコを飼って手作り品の委託販売をしているので、かなり感情移入してしまいました。
    主人公の置かれている環境は当事者にとっては厳しいものだけど、それを感じさせない物語の展開が楽しませてくれる本だと思います。

  • 「過去」の背中に怯える芭子。「堀の中」の体験をいまだ不用意に口走る綾香。しかしやっと、第二の人生が、ここ谷中で見えてきた二人だった。コトが起こったのはちょうどそんな頃。二つの心臓は、すれ違った彼らにしばし高鳴り、しばし止まりかけた。ムショ帰りコンビのシリーズ、大好評につき第二弾。

    《2011年1月6日 読了》

  • 「いつか陽のあたる場所で」第二弾

    「過去」の背中に怯える芭子。
    「塀の中」の体験をいまだに不用意に口走る綾香。
    しかしやっと、第二の人生が、ここ谷中で見えて来た二人だった。
    コトが起こったのはちょうどそんな頃。二つの心臓は、すれ違った彼らにしばし高鳴り、しばし止まりかけた。
    ムショ帰りコンビのシリーズ。

    "梅雨の晴れ間に" "毛糸玉を買って"
    "かぜのひと" "コスモスのゆくえ"
    の四編。
    タイトルの通り、芭子と綾香の二人が出会った人々とのことが書かれています。過去の過ちから、家族も失い、帰る場所もない彼女たち。お互いだけが支えのような生活から何か変わるのではないか、全てを話せるような人が他にも現れたのではないか、と期待しながら読んでました。でも、一人、こんな存在がいるだけで充分幸せだよなぁと思う。二人ともすこしづつ前に進んでいる様子がとてもうれしかった。
    特に残っているのは、"コスモスのゆくえ"のまゆみさん。哀れだなぁ。

  • ムショ帰りコンビの第2弾。
    ますますコンビニ磨きがかかり、シャバの生活にも慣れてきた2人と、ご近所さんやぼくの街の聖大くんもますます活躍しています。
    第1弾よりも熟成が進んだ分面白かったです。

  • +++
    「過去」の背中に怯える芭子。「堀の中」の体験をいまだ不用意に口走る綾香。しかしやっと、第二の人生が、ここ谷中で見えてきた二人だった。コトが起こったのはちょうどそんな頃。二つの心臓は、すれ違った彼らにしばし高鳴り、しばし止まりかけた。ムショ帰りコンビのシリーズ、大好評につき第二弾。
    +++
    「梅雨の晴れ間に」 「毛糸玉を買って」 「かぜのひと」 「コスモスのゆくえ」
    +++

    『いつか陽のあたる場所で』の続編である。芭子も綾香もなんとか職を見つけ順調に谷中での居場所を固めつつあるようでひと安心するが、反面この穏やかな暮らしを続けていくために強いられる負い目や緊張感もひしひしと伝わってきて切なくなる。犯した罪を忘れてしまっていいとは思わないが、しっかりと反省し罪を償ったからには、彼女たちにも充実した明日を生きさせてあげたいものだとも思う。個人的には、巡査の高木聖大に頼ったら絶対に力になってくれると思うのだが、彼女たちにとってはただのおまわりさんなのだから仕方がない。切なくじんとする一冊である。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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