- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104083022
作品紹介・あらすじ
十五年ぶりに再会した十九歳の息子は、ひきこもりだった。働く意欲のない姿に苛立つ父。二人の心が通いあう日は、果たして来るのか-。清々しい余韻の傑作長編。
感想・レビュー・書評
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浮気のために離婚し、その後、金融やベンチャー企業で働いた後、
那須高原で牧場経営を始めた主人公、高峰。
彼の元に、4歳の時に別れたっきりの19歳になった息子が訪ねて来た。
あることがきっかけとなり、引きこもりを続けていたという。
作者の名前、全く知らなかったんだけど、何よりも装丁に惹かれて図書館で借りてきた本。牧場と赤いトラクターのかわいらしいイラストが描かれていて、本当に爽やか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高峰は脱サラをした酪農家。
ある夏の日、15年前に別れた19歳の息子が牧場の仕事を手伝いたいとやってきた。
長い間、疎通のなかった親子が絆を取り戻すことが出来るのか、引きこもりだった悠平は立ち直れるのか、という点は、多分解決するだろうと思いながら読みましたが、鉄板でもやっぱりラストはグッときました。
自らの意思で決断し、小さくないリスクを冒してまで行動すること、…与えられたものだけでは男の子は育たない。
母親はつい余計な手を出してしまいがち。私はそうです。
なので、この言葉には考えさせられました。
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酪農を営む高峰の元に、離婚のため、4歳から会っていなかった息子、悠平がやってきた。19歳の悠平は引きこもりになっていたが、酪農という環境から徐々に変化が。ラストの悠平の行動に「結局何も変わってないじゃないか」と腹立たしく思ったが、それも決して無駄にはならなかったのが良かった。自身の経験から悠平の目線を変えさせた森や晴子のような存在がいてくれた事が羨ましくも感じた。そして悠平が残していってくれた物にも…印象に残る一冊です。
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子の親としてではなくて男として息子に、女として娘に教えることがある気がする。それは実の父親や母親から教えるとは限らない。森社長のように研修生たちに牧場の魔法を通してメッセージを送ることもあるだろう。でも、血の繋がった子どもであれば、DNAではなくて生き様として伝えたいものがあると思う。でも、何で人はそういう大切な家族があっても浮気しちゃうんだろう。
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推理作家として知られる著者が、新たなジャンルに挑戦した第1作。舞台は那須高原の牧場。発病を機に、会社を辞め空気の良い高原で牧場経営を始めた父。19歳で引きこもりの息子。15年ぶりに再会したふたりの、1年間の成長の物語。子どもとの距離の縮め方がわからず焦る父と、なかなか心を開けない息子。普通の家庭でもありがちなシチュエーションに苦笑いしながらも共感してしまう。
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#読了。那須高原で小規模な牧場を営んでいる高峰。彼のもとに、4歳のときに離婚してから1度も会っていない、引きこもりの19歳の息子悠平がやってくる。自然、そして牛たちに囲まれて、悠平の成長、父息子の親子関係を描く。爽やかな小説。
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離婚して15年、再会した息子は、19歳の引きこもりになっていた…。
離婚により子供を捨てた父親と捨てられた息子。
15年の歳月は長い、小さかった子供を気難しい青年に変える。いつも一緒に居てもたまにわからなくなる子供の気持ち。長く離れていた父親には、扱い方が解らないのは、しょうがない事。
しかし、那須高原の自然、乳牛達、周りにいる人間達とのおおらかな時間、生まれて失われる命のドラマのお蔭で、乗り越えていく二人の姿が良かった。 -
自分がいかにありふれた人間なのかを知りました。ここに出てくる悠平は、わたしそのもの。いかに自分がワガママで子供なのか自己反省、、、。こういう本がいままで読みたかったと思わせてくれる本です。ニート、ひきこもりにおすすめ。