- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104260072
感想・レビュー・書評
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平野啓一郎の作品が気になり、最初の一冊となったのがこれ。
作品の精度云々ではなく、内容そのものがきつくて正直好きになれません。まだ上巻しか読んでいないので、どんな結末を迎えるのかわからないけれど、スマホが広がりこの作品が書かれた時代より更にネットが生活に密着し過ぎている今、その恐ろしさが身につまされます。
主人公の優秀な兄が語るセリフもかなり専門的で難しいのでつい読み飛ばしをしてしまいました。
この平野さんは京大在学中に芥川賞を受賞したそうだけれど、相当賢い人なんだと言うのが十分うかがわれました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ダヴィンチで、若林さんお勧めの一冊だったので。
崇の独白部分は、独特で読みにくいのだけど、読んでいくとその独白や言葉の部分がかなめになっていることが分かる。
心の闇…みたいな言葉では何か違うような、この違和感!
犯罪小説でありつつつ哲学的な感じもあり、下巻が楽しみ!しかし、重たくて、毎日読んだ後ぐったりだったぜ。 -
圧倒的な存在感。
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読んでて辛かった
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もう少しひねるのかと思ったが哲学的でした
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読むのつらかったあ。不条理。
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冤罪と家族に纏わる話。
家族・・・兄弟間と云っても良いかも知れない。
読了はとても爽やかとは云えず、胸にドンッと重いものが残った。
その重いものを忘れずに生活してゆくのも、読書の一つの形だと思う。
時間や経験を経た後に再読したい本だ。 -
決壊の上巻です。
ネット社会に潜む闇…… -
最近読んだ小説でいちばん心に刺さった作品。読後感は最悪。でも傑作。
序章から、嫌な感じ。1家族の日常生活の描写が淡々と続くだけで、特に大事は起こらない。のに、ふつふつとイヤ〜な感じがしてくる。それが上巻の2/3くらいまで続く。まだ、起こらない。この寸止め感、そしてある1点からの堰を切ったような怒濤の展開、お見事というしかない構成でした。
とにかく文章が上手過ぎる。日常を不穏に描く描写力といい、いじめられっ子少年の独善的な心の動きの描写といい、ある男のきちがいじみた独白のねちっこさといい…。
社会的に恵まれなかったひとつの家族と、どこにでもありそうな平凡なふたつの家族、合わせて3つの家族が、加害者と被害者という立場でつながり、社会というフィルターの中で衆人環視の下にさらされることで、崩壊していく描写に、救いがなさすぎて身震いする。犯罪被害は誰の身にもフイに起こること、加害者と被害者の立場もフイに逆転すること、加害者と被害者のつながりが心の支えになってしまう矛盾、そういうどうしようもない連鎖に圧倒される。
つまり俺たちは、被害者・加害者・傍観者、そのどれもにいとも簡単になっちゃう可能性のある社会に生きているんだって事実を突きつけられる。それが刺さって痛い。
主人公の三十路男子と同じ、「弟を持つ兄」という自分の立場もあって、痛みがハンパなかったです。東野圭吾氏の『手紙』とは真逆の内容ながら、兄弟に対して感じる痛みは似ている感じ。
やるせなく、怒りとともに無力感に襲われ、生きることは決断と覚悟だという当たり前のことを改めて思い起こさせてくれる、気づきの名作。