リライブ

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104718030

感想・レビュー・書評

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  • 死を間近に控えた人々の前に「獏」が現れてある提案をする。
    人生をある時点からやり直すことができます。
    その代わり、やり直す以前の人生の「思い出」をいただきます。
    ただし、やり直した人生に幕を閉じるとき、やり直す前の人生の記憶も蘇る、と。

    はたしてやり直した人生が幸せになるのか、引き換えに渡した「思い出」を失ったことを悔やむのか、それはもう一度生きてみないとわからないんですよね。すごく難しい決断だと思います。自分で選んで来た人生。それを捨てて別の人生を選ぶというのは、もう一度「生きる」というのは大きな勇気のいること。

    果たして自分だったら?
    考えずにはいられません。

    様々な人たちが獏に「思い出」を授け、もう一度別の人生を歩みます。そして再び死に直面し、最初の人生の記憶を思い出したとき、彼らがもう一度生きた理由が明らかになります。二度目の死を迎えたとき、彼ら自身も知らなかった、もう一つの隠されていた秘密が明らかになるんです。

    物語と人の想いが幾重にも重なり、その中から温かい光が溢れ出てくるようでした。
    とても切ないけど、悔いの無い静かな喜びに満ちた素敵な物語が詰まっています。

    人を愛するがゆえに悔やんだ思いが、実は愛する人をも苦しめていたり、お互いを思いやるが故に余計にすれ違ってしまったり。生きていくって難しいけど、でも素晴らしいことなんだなと改めて実感した一冊です。
    後悔しながらも、最後に振り返ったときにこれでよかったと思える人生を送りたいと思いました。

    お気に入り度:★★★★☆  (2010年2月9日読了)

  • 死ぬ前に人生をやり直す。思い出を食べるバク。

  • ★2015年11月29日読了『リライブ』小路幸也著 評価A
    かなり評価は甘すぎるかもしれませんが、この物語の設定がいたく気に入ってしまったのでAとしました。

    この物語は、思い出を食べる獏(バク)が登場し、死に行く人に、「それまでの人生の思い出をいただいて、代わりに違う人生を作り与える。人生の最期に幸せと思える夢をみてもらう」提案をして、本人のやり直しの意志を確認する。つまり、それまでの思い出を忘れて、ある人生の瞬間まで戻って、人生をやり直してみるチャンスをもらえる訳です。それらのやり直した人生が終わる時に、その前の人生と比べて、その人はすべてを振り返りながら人生を終えることとなる。人生やり直した短編が7編綴られている。
    小路氏の作品は、物語が甘っちょろいという批判もあるとは思いますが、本の中だけでも良い人生が歩めるって、私はホッとして好きです。

    私はまだ今のところ死にゆく訳ではないけれど、思わず自分だったら、どこまで戻ってやり直そうとするだろうか?後悔はないのか?と改めて考えさせられた。私が思いつくのは、私が意地を張り続けて、振られてしまった学生時代の長いお付き合いのやり直しでしょうか?(本当に自分中心で意地っ張りで悪かったなあとずっーと思っています。)

    あなたはどこまで戻って人生をやり直そうと考えますか?後悔というわけではないけれど、やり直せるなら、もう一度挑戦してみたいと誰もが思うことは有るはずです。そんなことを考えると本当に興味深い作品でした。この本は購入して手元に置いて何度も読み返したい一冊です。

  • 小路幸也氏の『リライブ』を読了。短編集なのだが、それぞれの短編で今際の際にいる人が獏という設定になっている存在から、いまいちど自分の戻ってみたい瞬間、感じてみたい瞬間に戻る事を、今までの記憶をくれることを条件に提案される。それぞれが二度目のいまわの瞬間に2度行きた事を思い出す事になり、自分の選択に関しての感想を再度獏から聞かれる。それぞれの短編でちょっと哀しかったり、寂しかったりいろいろな話が展開されこれまた不思議なファンタジー小説となっている。意外に面白かったかな。

  • ☆☆☆☆☆5つ
    なかなかに面白い作品である。
    いやわたしの個人的好みに照らし合わせてみるとむちゃくちゃ面白い物語である。
    「東京バンド・ワゴン」シリーズを読んだあと、こみちくんのめぼしい作品を手当たり次第に読んでいるのだけれど、いまのところ概ねハズレは無い様子である。
    しかしまあこういう風に「ユウレイ」関係の話に偏る傾向はあるな。
    別にそれでいいのだ面白いので。
    オチもしくは結論を書く場所をキチンと設定しているところが良い。
    (蛇足だが、昨日読んだカッコつけるばかりで何も中身と意味のない本とはおおちがいだ。すまぬ)

  • 命の灯火が消えるとき、自分の人生の分岐点まで戻り、選択を変えることで新しい、そこからの人生をもう一度生き直せる。
    すごくおもしろいテーマだと思ったけど、ちょっとわかりにくかったかな。オチが二段階になってる感じで混乱しました(笑)

  • 普通にあたりまえのことができるのが、いちばん大切なんだよって言った。
    どんな人生でも晴れもあれば曇りもあります。

  • 命の灯火が消える瞬間、(バク)が囁きかける。運命の恋人を失った夜。いまの仕事を選んだあの日ーー頭に浮かぶ、人生の分岐点。そこからもう一度、やり直させてあげましょう。

    私ならどの瞬間に戻るのだろう?そして、人生がどう変わるのか……。そんなことを思いながら読みました。

  • 「あらざるもの」がすき

  •  以前読んだ人生をやり直す話とは趣が変わって「死の直前に、ある瞬間を選んでそこからやり直す」という心温まるお話の数々でした。
     人生をやり直すというのは自分の為だけではないという事で、なるほどなぁと思いました。
     少々ピンとこない部分もありましたが、全体的に好きな雰囲気で面白かった。

  • 死の間際にバクが現れて「もう一度人生やり直せますよ」と言ったら私は何を願うかな。
    きっと後悔はたくさんあると思うんだ。あそこでああしていたら、という想いは星の数ほどあると思うんだ。
    その中で何を選ぶかなー。
    むしろ断わるかなー。
    「後悔も含めて自分の人生だ」て。

    一番ジンワリきた話は「あらざるもの」。明かされたバクの正体。

    “私は、漠です。
    あなたの、思い出を食べます。
    善き人の人生の思い出をいただいて、代わりに違う人生を作ります。
    人生の最期に、幸せだと思える夢のようなものを見ていただきます。
    何を望むかは自由です。どんなことでも。
    あなたが、それを望むなら。”

  • ◆輝子の恋・・・わたしが戻りたいのは学生の頃。下宿していた2人の男性から選んで、素直に想いを告げていたならば・・・。
    ◆最後から二番目の恋・・・わたしがやり直したいあの恋。もしあの時、親友の父親と結婚していたならば・・・。
    ◆彼女が来た・・・俺が戻りたいのはあの瞬間。親友の彼女に手を出したあの朝の出来事。
    ◆J・・・私が戻りたいのはあの日。ジョン・レノンが亡くなってショックを受けているあの子に、私がしてあげるべきことがあったんだ。
    ◆生きること・・・私が今の人生で選んできた選択肢は正しかったのか?あの時、あのことを黙っていたならば。可愛いあの子の恋をそのまま応援してあげていたならば。
    ◆あらざるもの・・・私は見えてはいけない墓守、あらざるもの。人に存在を気づかれることはすなわち死を意味する。しかしぼっちゃんは都へ行くため、私を指ささなければならないのだ。
    ◆すばらしきせかい・・・どうしようもない暴走族だった俺が、涙を流して感動したあの子の歌。あの子を守るために、俺は人生をやり直す。

    以上7編の連作短編集。死を迎える寸前の人間の前に現れる獏(バク)。獏はその人間に、今までの人生の中で後悔している選択や戻りたかった瞬間、選びたかったもう一つの人生がなかったかを問いかける。もしあるならば、その瞬間にまで戻って、もう一度人生をやり直さないかと提案する。しかしその代わり、その瞬間から今までの人生の思い出は自分が食べてしまうというのだ。やり直すかやり直さないか、やり直しても今よりも良い人生になるかさらに後悔する人生になるかは獏にもわからない。しかし彼ら7人は全員、やり直すことを選んだ・・・。

     どちらかといえばほんわかする話や結末が揃っているのかと思いきや、ほとんどの話が最初のオチがハッピー、二つ目のオチがややダークと、二段落ちの構造となっている。人によっては二つ目はいらなかったと思うのだろうが、私はこの落とし方がすごく気に入った。ピリリと山椒がきいているような感じで。「あらざるもの」が、獏誕生の秘密のような話で、他とは少し違う感じ。

    ◆J・・・教師と生徒の話で、いつもならこういう熱血な感じは嫌いなのだけれど。でも、人の生き死になんて実はこんなささいなことの有無なのかも、と改めて考えさせられた。
    ◆生きること・・・これはかなりの裏切りを示唆するラストなんだけど、怒りよりも切なさを多く感じてしまったのはどうしてか。

  • 命が消えるほんの少し前に「バク」が現れて、もう一度自分の運命の分岐点を経験させてくれるという。一人一人の人生が、他の人生と重なって、感動的な展開も。泣ける話もあり。

  • 思い願う人がいて、思われた人が、再度思いを返す
    人を思いやる気持ちって大事
    親友、最愛の人に巡りあうことだね

  • 人生をやり直す…まさに事実として。
    良くなることばかりではないが、人生をやり直したいと思う時は、そこまで考えられないのも事実。
    貴方ならどうしますか?

  • 死に際に人生のある地点に戻り、もう一度生きるという短編集。
    全て40ページぐらいなのであっという間。

    実際はもう一階層あって、
    最初の話を読んだときそれを理解できなかったけど、
    読み返してああそういうことかと。

    これによって物語の深みが増した気がします。
    人は一人で生きているわけではないってことですよね。
    誰かの人生と一緒に生きているのだと。

    なんだか考えるととても深い気がする。
    ビジネス書よりも、こういう本をテーマに読書会するといいと思います笑

    しかしながら他のレビューを読み、そうか、あの話は元ネタがあったのかと。
    気づかなかった私はやっぱり読書家ではない…。
    古典は読まないんです、という言い訳。

  • ■面白い設定だね。あのときに戻れたらー。一度死んで、死後の世界にいく前に獏が現れる。あのときに戻って違う選択肢選んだら。。

  • バクが誰なのかが分かると話に深みが増し、
    心にじんわり温かさが広がります。
    「すばらしきせかい」が特に好きでした。
    ただ、全体的に起伏がなく、物足りなさもあったかな。

    【生きることは、選ぶこと。選ぶことは、悔やむこと?命の灯火が消える瞬間、“バク”が囁きかける。運命の恋人を失った夜。いまの仕事を選んだあの日―頭に浮かぶ、人生の分岐点。そこからもう一度、やり直させてあげましょう。ただし、ひとつだけ条件がありますが―。かれらが何を選んだのか?あなたの予感は、覆される。】

  • 人が死ぬ寸前、バクを名乗る声から取引を提案される。この人生の任意の点に戻って、そこから別の人生を始められる。引き換えにその分岐点から今までの思い出をもらうと。主人公はそれに応じ、生き直し、前の人生で残った悔いを解消し、また死の間際になってバクと話す。それで終わりかと思いきや、バクを名乗って話しかけていたのは主人公の身近な人物。相手の人生について気になっていたことを確かめたり、軌道修正させたりしていたというわけ。【メモ】「輝子の恋」下宿屋の娘/「最後から二番目の恋」同級生が母になる/「彼女が来た」照明スタッフとミュージシャン/「J」ジョン・レノンファンの彼女とジョン・レノンを失った高校生と教師/「生きること」お弁当屋さんに料理を習う/「あらざるもの」阿部晴明?の幼少期/「すばらしきせかい」元暴走族の青年が移植待ちの少女のために募金あつめ なんか最近、この人の本で泣ける。私には帰りたい過去もやり直したい過去もない幸せ。

  • フォローしてるkanaeさんの本棚で見て借りてみました。kanaeさんは読解力が無いのが悔しいとおっしゃってましたが。。私も右に同じ。。。ちょっとあっちに行きこっちに行き、くるくる回って大変でした。(^^;)きちんと読めてなかった。。。

    Down townの作者さんですね。割りと好きですこの方の世界。ほんわりとどこか懐かしくて。夢を食べて生きてる獏。私もはちろうだと思いました。そして「J」はまさかあの人??どれをとっても少し悲しく、結果ハッピーエンドが多かったけどどこと無く悲壮感がただよってたのはやっぱり「死ぬ」お話だったからでしょうか。。

  • 命が尽きる直前に現れるバク。
    思い出を食べる代わりに人生の分岐点からやり直せるという。
    誰もが一度は夢想したことがあるだろう。
    私ならいつどこから…。

    一篇一篇は面白かったが
    全体にトーンが同じで起伏に欠け物足りず。

    【図書館・初読・11/16読了】

  • 小路さんの作品らしく…軽ぅ~く読めましたが…、
    いつもと違って…、ちょっぴり…物足りないかなぁ~、

    と…思いながら…読み進めましたが…、

    各話(短編)とも…、
    最後の1ページ(エピローグ)を読んで…なるほどッ!!

    エピローグまで読んで…‘もう一度’読み直すと…、
    ぐいっと…深みが増す…。そんな感じ…。

    二度読み…推奨…な作品でした…(^。^)

  • 短編の終わり方が、少し難しい。
    自分が過去をもう一度やり直せるなら、いつの分岐点に戻るかな?
    最後のすばらしきせかいは、切なかったな。

  • 私の読解力の問題なのでしょうが、誰と誰が話しているのか分かり辛くなる部分もありましたが、それぞれの優しい物語で読後感は良かったです。

    最初は頭に?がいっぱいでしたが「J」で気付かされ、思わずそれまでの物語の終わり部分も読み返してしまいました。

    「すばらしきせかい」は感動しました。

    結局、一連の物語に出てくる「バク」は、八郎であるという解釈でいいんですよね(;´∀`)
    自分の読解力のなさがちょっと悔しくなる作品でした 笑

  • あなたの人生が終わる時、人生のとある瞬間に戻ってやり直せるとしたら、どうしますか??
    というお話。

    人生をやり直せるとしたら、というのは繰り返しいろんな作家に描かれているテーマではあります。
    (流星ワゴンなんかもそんな感じでしたね。)
    様々な人の人生の帰路を小路幸也らしく軽く柔らかく描いた、素敵なお話でした。
    物語の最初に出てくる『獏』との会話が全体の雰囲気をまとめていて、
    かついくつかの話がつながったり繋がらなかったりする感じがなんとも小路さんぽく、
    読後感もさっぱりほんわか切ない感じで良いかんじでした。

    この日とほんとに普通の人を書くのが上手い。
    そして有川浩っぽくもある日常感と、
    少しの切なさが優しいお話でした。

    日々お疲れのあなたにオススメの一冊笑

  • バクが思い出を食べる代わりに、人生を生き直す話。連作なので、その説明を何度も読まなきゃならないのがだるい。オチの書き方も分かりづらかったし…これは読解力の問題かも。ラストの「すばらしきせかい」が良かった。でも、私なら断るな。せっかく死ねるのに、もう一度生き直すとか、御免だ。

  • 生きることは、選ぶこと。選ぶことは
    悔やむこと?命の灯火が消える瞬間
    "バク”が囁きかける。

    人は、死ぬときになって
    あの時は、あ~すれば良かったって事思ったりするのかな。。
    そういう時、もう一度やり直すことができたら
    結果がどういう風になっても
    悔いなく、人生を終えることができるのかも。

  • 小路さんらしい不思議で優しい雰囲気の連作短編。
    2011/6/7

  • もう一度生き直すことができたら、自分はどう生きたいだろうか。

    あの時こっちを選んでいたら、どう変わっていたのかな?って思ったことは、誰しもあると思う。
    思うだけなら誰にでもできるけれど、
    実際、それをやれることはない。
    その現実と非現実のバランスがよいので、ファンタジーだけれど感情移入して読むことができた。

    図書館で借りて読んだ本なので、いつか買いなおして手元に置いておきたいな。

  • 思い出の代わりに選べなかった人生を与えるバク。でもその選び取った新しい人生は別の人の思いを含んでいた。初めて小路さんの作品を読んだのはバクシリーズの短編でした。裏があってもそれすらも優しい世界観。きっとバクはこれからも物語の中で幸せを運んでくれるでしょう。堪能しました。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

小路幸也の作品

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