ナボコフ・コレクション 賜物 父の蝶

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105056094

作品紹介・あらすじ

ロシア語時代のナボコフ最高傑作に蝶への情熱に満ちた初邦訳の短篇を付す。ロシアから亡命し、ベルリンに暮らす駆け出しの詩人フョードルは、祖国への郷愁、鱗翅学者の父への追慕、急進的知識人の伝記執筆、ジーナとの恋愛を通じて芸術家へと成長していく。言葉遊戯を尽くし、偉大なるロシア文学作品の引喩に彩られた「賜物」と、その関連作品としてナボコフの死後に発表された「父の蝶」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • дарは「贈り物」や「才能」の意味がある。この小説でдарだったものはなんだろうと考える。主人公が生まれ育ったロシアの地、敬愛してやまない父親、ロシアと家族の思い出、主人公が持っていると信じる天賦の才、いたずらをしたチェル氏に対する間に合わなかった返礼の本。

    亡命者として故郷から切断されてしまった主人公はまだ子供だけれど、それらのдарを腕一杯に抱えて、これから人生を歩き始める。彼は何も持っていないけれど、豊潤な過去と手付かずの未来の混合のプールにゆったりと浮かんでいるようだった。読んでいる間はいっしょにぷかぷかできて、のんびりできた。

    人に対しても土地に対しても愛情深い小説なのだけれど、当然というべきかロシア文学への愛も溢れている。『賜物』をおもしろく読み返すためにも、ロシアの小説にもっと触れたいと思った。まずはプーシキンから。

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著者プロフィール

1899年ペテルブルク生まれ。ベルリン亡命後、1940年アメリカに移住し、英語による執筆を始める。55年『ロリータ』が世界的ベストセラー。ほかに『賜物』(52)、『アーダ』(69)など。77年没。。

「2022年 『ディフェンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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