古事記 日本の原風景を求めて (とんぼの本)

  • 新潮社
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本棚登録 : 65
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (123ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106022777

作品紹介・あらすじ

神々に導かれ、いにしえの日本と出会う! ビジュアル古事記、ついに誕生。オホクニヌシが地上の王国を築いた出雲、天孫ニニギが舞い降りし日向、初代神武天皇が東征の果てに辿り着いた大和――。『古事記』の美しきふるさとには、いまも神々が坐していた! 泰斗による編纂1300年記念対談や、成立の謎に迫る解説、イラストすごろくなども充実。日本最古の歴史書を、分かりやすく徹底案内します。

感想・レビュー・書評

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  • 古事記のざっくりとした内容、古事記に登場する場所の写真と説明、古事記研究者の対談、そして三浦祐之氏(古代文学者)の古事記論からなる。

    712年に太安万侶が編纂し、元明天皇に献上されたことで知られる古事記は、神の世を語る上巻、神の世と人の世のあいだを語る中巻、人の世を語る下巻から構成されているが、神の世の話は何度読んでも面白い。
    ちなみにいつも対比される日本書紀は、720年天武天皇の皇子の舎人親王らによる編纂と言われている。

    本書では、ゆかりのある風景が見られるのが嬉しいし、また三浦氏の研究に基づく推察だが、以下の内容が興味をひいた。
    解を導くことが出来ない古代歴史の面白いところですね。

    日本書紀とくらべて古事記に古層の物語が多く含まれていることから、7世紀半ばから後半には成立していたのではないかとしている。また、日本書紀は天皇を正統的に捉え対外的な書とされているが、古事記では少し離れて捉え、時には貶めている場面すらある。
    古事記序文で、天武天皇に、氏族ごとにいろいろな歴史の伝えがあって誤りが多いと嘆かせているように、当時は各氏族に歴史書が伝えられていたらしい。ここから、古事記もそのような私的な歴史書のひとつだったと考えても良いのではないか。

    語り部というのは古来より、祭祀をつかさどる氏族が担ってきたと考えられ、太安万侶の一族は古くからの祭祀氏族だ。その子孫が古事記に序文を付け足したのだろう。彼らの本拠地は、多氏を祀る多神社(奈良県田原本町)近辺だったと思われる。

    ヤマト王権というのは最初は氏族の連合王権だったが、律令国家になるにつれ、中臣氏が祭祀を、藤原氏が政治を独占するようになる。両氏はもともと同族なので、結局中臣・藤原という一族が祭政をいっぺんに掌握したことになるが、これに祭祀氏族・斎部広成は危機感を抱き、天皇に陳情書を出している。このように、祭祀氏族の立場が危うくなった時代に、多氏が代々伝わる書物に天武天皇を引っ張り出して権威づけをはかったということは十分に考えられる。

  • シンプルに古事記をまとめていて、復習するのに役立ちました。
    途中の章から、『古事記の風景』が書かれており、興味深い内容でした。

  • 原風景って言われると首を捻るのだけれど(勝者にせよ敗者にせよ支配階級のお話なので)、古事記の諸々がコンパクトに記されており、様々な舞台のカラー写真も美しい。
    対談やフィールドワークのやり取りも読みやすく、特に後者はもっと枚数を割いて読んでみたかった。

  • ふむ

  • 遠い神々の話しが、身近にあると感じられる本。神話の舞台となった日本各地の風景写真も、美しく訪ねてみたくなります。

  • 古事記に関係深い土地の写真、ガイドだけだと思いきや、
    奏斗(哲学者梅原猛氏×歴史学者上田正昭氏)による対談から
    超速読ユルわかり古事記も楽しいイラストと簡単な系統図でざっくり読めて
    もちろん日本神話の舞台となった、淡路島、出雲、日向、伊勢、熊野、大和の写真、解説もあり
    国文学者の紀行、最新研究も掲載されており、古事記を読むことからさらに1歩踏み込んだ古事記を知れたようで
    大変面白かったです
    古事記を読んでから読んだ方が面白さ倍増だと思います

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著者プロフィール

哲学者。『隠された十字架』『水底の歌』で、それぞれ毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する〈梅原日本学〉を確立の後、能を研究。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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