進化論はいかに進化したか (新潮選書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106038365

感想・レビュー・書評

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  • 進化論の変遷や詳しいことを知りたいと思って手に取った。前半は非常に自分の需要にマッチしていて、ダーウィンの進化論がどのように解釈されたり誰がどのような主張をしたりしたかがまとめられていてよかった。
    しかし後半はちょっと違う毛色だったので残念だった。
    欲を言えば中立説などの話については数学的な解説が欲しいと思っていたので、他の本をあたってみようと思う。

  • タイトルに引かれて。
    前半授業、後半課外活動。
    ダーウィンの種の起源から熱量が増した進化論の中で、ダーウィンの提唱した説と、今の進化論と、その他の多くの人が提唱した進化論を比較し、何が違うのか、どういった意味なのか、今の進化論でいうとどれに当たるのかなどを解説している。
    課外活動部分も面白い。恐竜から鳥への進化や、人間の進化について仮説、著者の考えが書かれている。

  • いやあ、おもしろい。そして、わかりやすい。読んでいるときはよく理解できた、と思う。けれど、いつものことながら前半で残っているのは「退化は進化の一種だ」という名言だけだ。そう、進化というのは何もより良くなるということばかりではない(何を良しとするかはまた別問題だが)。時代を追って変化していくということが進化の意味するところだから、退化だって立派に進化なのだ。後半の最近読んだ章は具体例も多く、いくらかまだ覚えている。ほ乳類の歯は、特殊化しているため作るのが難しい。よって生え変わるのは1回だ。だが、作りが簡単な魚類とかは虫類の歯は何度も生え変わる。恐竜の化石といっしょに羽毛の化石が見つかっている。羽毛というのは体温を一定に保つために持っていたはずだ。よって恐竜は恒温動物であったのだろう。マグロなどの魚は泳いでいないと死ぬ。呼吸ができないからだ。口から入った海水がえらを通ることで呼吸をしている。えらで酸素を得た血液は全身に運ばれる。心臓にもどってくる頃には酸素が少なくなっている。進化して肺ができると、取り込んだ酸素はまず心臓に運ばれ、それから全身に行くようになった。人類が直立二足歩行をするようになった理由。サバンナに出ても直射日光を浴びにくい。しかし、森の中にいる頃にすでに直立二足歩行を始めていたらしいので、この理由は成り立たない。立ち上がることでまわりがよく見渡せ、大型の肉食獣から身を守ることができた。しかし、二足歩行の人類は足が遅い。クマにだって勝てない。だから逃げてもムダである。よって、遠くが見渡せるというだけでは理由にならない。直立二足歩行はそれほど良いものではないのだ。人類は集団で生活しながら一夫一妻制で子育てをするようになった。オスとメスの割合がほぼ同じくらいで、メスの発情期というものがなくなったため(常に発情期になったため)メスを奪い合う必要がなくなった。それで、犬歯が小さくなった。と同時に、二足歩行であいた手を使って食料を運ぶことができるようになった。こうして子孫を多く残せるようになる。これならば、唯一人類だけが直立二足歩行へと移行してきた理由としてもよさそうだ。こういった研究も日進月歩のようだから、これからの動向にも気をつけていきたい。

  • ○ダーウィン進化論の間違いもあるが、現代進化論が正しく認識されていない。

  • 自然選択だけが、進化を引き起こすわけではない。
    どちらの遺伝子が伝わるか、は偶然による。
    そのため、遺伝子の出現頻度が集団の中で変わる。
    これを遺伝的浮動といい、これも進化を引き起こす。

    後半は、人間がなぜ、直立二足歩行か、の話が特に面白い。
    直立二足歩行により、食べ物を持ってこれるようになる。
    そこでとくをするのは、配偶者と自分の子供、
    このとき、子供が自分の子である可能性がたかいほど、
    運んでくる方にメリットがある。

    直立二足歩行と同時に、人類は牙をなくす。
    これは、オス同士が争う必要かなくなったから。
    それは、一夫一妻という形態をとったから。

    このため餌を運ぶ相手は、自分の子、となる。

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著者プロフィール

更科功
1961 年、東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。民間企業を経て大学に戻り、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は分子古生物学。現在、武蔵野美術大学教授、東京大学非常勤講師。『化石の分子生物学――生命進化の謎を解く』で、第 29 回講談社科学出版賞を受賞。著書に『若い読者に贈る美しい生物学講義』、『ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか―生物の死 4つの仮説』、『理系の文章術』、『絶滅の人類史―なぜ「わたしたち」が生き延びたのか』など。

「2022年 『人類の進化大百科』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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