バカの壁 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100031

作品紹介・あらすじ

イタズラ小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人は、なぜ互いに話が通じないのか。そこに「バカの壁」が立ちはだかっているからである。いつの間にか私たちは様々な「壁」に囲まれている。それを知ることで気が楽になる。世界の見方が分かってくる。人生でぶつかる諸問題について、「共同体」「無意識」「身体」「個性」「脳」など、多様な角度から考えるためのヒントを提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 著名に惹かれて購入。
    現代の教育、モノの考え方をズバリ批評する一冊で、読んでいて背中を叩かれるような思いだった。

    自分自身もバカの壁から抜け出すべく、以下を実践していきたい

    ・お客様の一次情報を取りに行くことにより、「お客様の常識」を知る
    →とにかく体を使って働く、出来る限り外に出る
    →自分の世界に引き篭もってしまうと、それ以上に進歩することはできない

    ・本や記事の二次情報で立てた仮説を基にお客様と対話、現場を知る
    →二次情報だけを溜め込み、「相手やその分野の常識(本当は雑多な知識)を分かったつもり」「頭でっかちになり、知りたくない情報を遮断」「自分の言葉で一生懸命説明すれば分かってもらえる状態」にならない

    ・病気の苦しみに対して、多面的な見方を持つ
    →あらゆる人生のイベントに意味を見出せなくなった時、人は自殺するしかなくなるため

  • 読みにくい。自分は、以下の様に理解しました。
    人間は都市化した(集まって暮らし、分業して同じことしかしなくなった。)ので、世界は不確かなもの(いつ死んでもおかしくない、死んだ後どうなるのか、生きる意味とは)なのに確かなものが欲しくなった。そこに付け込むのが一神教、一元論で、帰依すれば悩まず楽になれる。本当は考えて行動して、自分なりの答えを出すべきなのだが、易きに流れてしまう。すると、自分の信じるもの以外は認めないし、関係ないと思うものは存在しないものだとフィルターがかかる。これが壁となって、話が通じなくなる。壁を破るには、体験して自分なりに世の中には色んな人がいて、不確かであることを理解しないといけない。

  • 20年前のベストセラーを遅ればせながら読んでみました。当時この本を手に取った人たちも、日本人の情報への向き合い方への著者の「バカの壁」という指摘にハッとしたのかな。

    とはいえ最近SNSで発信される情報を「自分の都合のいいように」しか受け取れない人たちを「バカの壁」で説明しているのを見かけたので、令和においても読んでおいて損はない一冊といえます。

    さて、「バカの壁」とは「人間の持つ思考の限界」という説明がされていますが、本書ではさまざまな人間の持つ思考の癖により「バカの壁」に陥ってしまうことを警告しており、一言では言い表せない根深いものがあると感じました。
    「わかっている」「わからない」「わかってもらえるだろう」「これが真実だ」
    普段なにげなく情報を受け取る場面においてこのような思考になったら、「バカの壁」を思い出して自分の思考を疑ってみたいものです。

    興味深かったのは入力と出力の方程式【y=x】に係数【a】が掛けられることで情報を受け取った人の行動が変わるという話。【a=0】だと無関心なので行動を起こさない。【a=∞(無限)】だと原理主義になってしまうからこれも厄介。

    「バカの壁」に陥りやすい【一元論】的な考え方は楽だけど、それじゃ話が通じなくなって危険だと警告している養老先生。二元論を主張しているけど、最近は多元論とか中庸といった考え方のほうが現代的かも。

  •  まず、タイトルにインパクトがありますよね。「バカの壁」なんて。そもそも「バカ」の定義ってなんだろう。養老さんの考察は非常に達観しているものが多くて、この本以外にも私は色々な媒体で養老さんの考えに触れてきました。納得できるものをあれば理解できないものもあるけれど、この本に書かれている「バカの壁」については共感する部分が多いなと思っています。養老さんなりの考察を書いたこの本は、好きな情報だけに触れられることのできる現代っ子の君たちにこそ読んでほしい作品です。
    (B.K.先生) 

  • y=ax
    インプットの仕方でアウトプットが変わる

  • よく本屋さんの売れ筋コーナーにあって気になってはいた
    ただ名前が少し過激で買うのが恥ずかしい
    古本市場で80円で売っていたので、何となく手に取ってみた

    内容としては大学入試に出てきそうな文章で、身体の問題だったり脳の問題だったりが書かれている

    現代文キーワード読解で見たような事ばっかりで、目新しい知識は得られなかった、、、

  • 一元論は思考を固めてしまう。しかしキリスト教徒全員が思考を放棄しているわけではない。彼らは宗教と他のことを分別して考えているのだろうか

  • Audible で読了。

    絶対的な正解や正しさを安易に求めるな。
    頭だけで、聞いただけで、理解した気になるな。
    自分の目で、身体で体験し現物から情報を得ろ。
    一元論的な正しさに対して、日本は元来多神教的な国、文化である。

    概ね上記のようなことと認識した。
    理解としては全く追いついていないので、今度はAudible ではなく原著を手に取り、読んでみようと思う。

  • 養老先生に、地に足をつけて生きろ、と言われているような本。
    常識、二元論、無意識・身体・共同体、こういったものを大事にせよと言われてる。
    抽象的な概念を色々な角度から説明され、なんとなく大事にしてほしいことはわかった。

  • 正直、何度買ったことか!
    引越で処分したらしく改めて読み直す為に
    図書館で借りました

    思い出しながらも、読むとああそうだなと思う事
    多し、1番売れた本と言われるはずだ。

  • タイトルに惹かれて読んでみたけど、掴みの1章でほぼタイトルについて説明してしまっているので、正直、1章と8章読めばだいたい分かる。

    期待していたよりへぇ〜!ってことがあまりなかったかも。『超バカの壁』も気になります!

  • 面白かった。大学生になる前に読めてよかった。

  • 誰かに自分の言葉をうまく伝えられない時、この本を思い出します。

  • パンチの弱い橘玲。

    自己は永遠に連続するものではなく、毎晩生まれ変わっているようなもの。個性などというものは意識的に作らなくてもみんな最初から持っている。不変なのは情報だけで人間は普遍ではない。思考停止の一神教は危険。
    この辺は面白かった。ただ、問題提起したあとの解決策がおじいさんの説教にしか聞こえなかった。

  • 自分のの脳には自分では気づいていない壁があり、それに支配されないためには、立ち止まって考え、壁の中にいる前提で外側を含めた全体を俯瞰することが重要と感じた。今の政治の危うさ、戦争についての現代日本人の価値観など気をつけねばと思う

  • 多様性を受け入れる社会の矛盾感。
    知っているつもりの若者。

  • 学ぶ姿勢忘れずに、自分から線を引いてしまわないように、心がけよう。

  •  内容の大部分が哲学的すぎて難解であった。
     本書は著者の独白を他者が文書化するという手法をとっているため主語がなく、分かりづらい箇所が多数あって集中力が途切れた。
     また推論について過程やエビデンスが省略されたまま結果のみが記されているため、推論に説得力が感じられなかったのと、著者の先入観で物を断じているのか、固定観念が強いのかも思われる箇所が多数見受けられた。
     しかし脳の構造仕組みの説明は具体的で分かりやすかった。

  • 世の中に絶対的な真実や「これさえ信じていれば大丈夫」「世界のすべてを理解できる」ということはなくて、だからこそ人間は何か確かなものが欲しくて宗教を作り出してきた。

    自然宗教で多神教の世界である日本は、そういった一元論的な感覚が本来は馴染まないはずだが、今は殆どの人が都会の人間で基盤となるものを持たないので、一元論的な宗教などがつけ込みやすくなっている。一元論にはまれば強固な壁の中に住むことになり、それは一見楽なことだが、自分と違う立場のことは見えなくなり、話も通じなくなってしまう。

  • 脳科学の土俵に引き込んだ議論は面白かった。

  • 読んだことなかったので。
    20年前の時点でニューラルネットについて触れられていて、かつ説明が的確だったので驚いた。見えてる人には見えてるのねー

  • NDC分類 491.371

    「イタズラ小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人は、なぜ互いに話が通じないのか。そこに「バカの壁」が立ちはだかっているからである。いつの間にか私たちは様々な「壁」に囲まれている。それを知ることで気が楽になる。世界の見方が分かってくる。人生でぶつかる諸問題について、「共同体」「無意識」「身体」「個性」「脳」など、多様な角度から考えるためのヒントを提示する。」

    目次
    第1章 「バカの壁」とは何か
    第2章 脳の中の係数
    第3章 「個性を伸ばせ」という欺瞞
    第4章 万物流転、情報不変
    第5章 無意識・身体・共同体
    第6章 バカの脳
    第7章 教育の怪しさ
    第8章 一元論を超えて

    著者等紹介
    養老孟司[ヨウロウタケシ]
    1937(昭和12)年神奈川県鎌倉市生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。95年東京大学医学部教授を退官し、現在北里大学教授、東京大学名誉教授。著書に『唯脳論』『人間科学』『からだを読む』など、専門の解剖学、科学哲学から社会時評まで多数

  • 何年か振りに再読。以前読んだ時には、「バカの壁」= わからせ作業は無意味。相手の考え方を受け入れる、つまり傾聴の大切さを知るきっかけとなった。今回は、急速な社会の変化による日本の教育現場の閉塞感、ネット依存、無気力感etc. 簡単には解決しない問題山積かつ、当たり前の擦り合わせが困難になっている今、何を指針にしていけばよいのかについてのヒントを得たような気がする。背負うものが増え、身に沁みたフレーズが多かった。ていねいに何度も読み返したい。

  • 久々に満足できた。再読したいと思えた。
    色んなことを見つめ直す機会、きっかけを見つけた気がした。

    全てのことに言えることだが、なんでも疑いを持つことが大切なのだと思えた。

  • 前半はとても参考になることが多いが、後半はいるのかな?とも思ったので、
    一貫性という面では少しずれてしまったのかなと個人的には感じた。
    しかし前半部分はとても好きである。

  • 養老さんの「崖登りは苦しいけれど、1歩上がれば視界がそれだけ開ける。しかし、1歩上がるのは大変です。手を離したら千仞の谷底までまっ逆さまです。人生とはそういうものだと思う。だから、だれだって楽をしたい。」がすごくいい言葉だと思いました。

  • 哲学の本。
    バカの壁は、ある所までしか理解しないこと。原因は一元論。いいかげん目を覚ませ。一元論は持続しない。

    著者の考えと読者の考えが異なることを願う。
    客観的な事実は、つまるところ信仰であり、科学的とは、曖昧さを含むことを受け入れること。温暖化
    一神教は絶対的なものがあるから本質を追求できる。イデア、aとthe⇆八百万の神の日本は弱い
    脳のy=axの係数を固定したがる。一元論
    万物流転。人は変わる、情報は不変。世襲制→二元論

  • 社会問題や人生論といった世間一般の論に対して、ズバリ切り込みつつも読者に極端な印象や誤解を与えないように文章が工夫されているのが興味深く感じた。特に人々が食うのに困らなくなった現代において次の目標は何かということについて深く考えてみたいと思う。

  •  『バカの壁』は誰にでも存在する。だからこそ、思考停止に陥る事は、どれほど恐ろしい事なのか。……それを改めて考えさせられる一冊でした。
     確かに『知る』事は『死ぬ』事だなぁ……と、つくづく感じる。
     考えさせられる内容に対して文章はとても読み易く、『平成で一番売れた新書』というキャッチコピーは伊達じゃなかったです!

  • 脳への入力をx、出力をyとしてy=axという一次方程式のモデルを考える。aは脳の中でxと掛けられる係数で、プラスにもマイナスにもゼロにもなる。このまとめ方はなるほどなと思った。とてもシンプルに、だけど正確に、人それぞれ異なる情報の受け取り方と発信の仕方を表していると感じた。
    日本で謳われている「個性」の矛盾や、人間とは変わり続ける存在であることについてはとても共感出来るものだった。
    後半の身体や脳に関する話は少し理解に苦しんだ。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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