あの戦争は何だったのか: 大人のための歴史教科書 (新潮新書 125)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101250

作品紹介・あらすじ

戦後六十年の間、太平洋戦争は様々に語られ、記されてきた。だが、本当にその全体像を明確に捉えたものがあったといえるだろうか-。旧日本軍の構造から説き起こし、どうして戦争を始めなければならなかったのか、引き起こした"真の黒幕"とは誰だったのか、なぜ無謀な戦いを続けざるをえなかったのか、その実態を炙り出す。単純な善悪二元論を排し、「あの戦争」を歴史の中に位置づける唯一無二の試み。

感想・レビュー・書評

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  • 2005年に出版された本書。今回手に取ったのは2023年3月30日の第46刷である。
    ここには読み継がれるべき日本人についての問題が記されている。

  • 最近なんとなく、日本の政治なのか経済なのかよく分からないけど、よく分からないなりに、なんとなく違和感を感じていて、でもその違和感を言葉にできなくて、何が原因なのかも分からなかった自分は圧倒的知識不足だと思い、とりあえず重い腰を上げて積読になっていたこちらを読んでみた。
    読んだら読んだで、最近の本の中で1番おもしろいやないかい!!!何がおもしろいかってこれが限りなくノンフィクションであるということ。
    そして日本という国の特色だったり、太平洋戦争で何が起こったか、本当は陰でどんなことがあったのかなど、現代にも繋がるような問題が分かりやすく書かれていて、最後の最後まで驚きや学びの連続だった。
    歴史って漢字だったり難しい言葉が多かったり、どうしてもとっつきにくい印象があったけど、最初に読んだ本がこれで良かったなって思った!

    今回この本を読んだことで、いろんな角度から昭和史についての本を読んでみたいなって思ったし、ゆくゆくは私の感じてる現代への違和感も言葉にして伝えることができるようになるんじゃないかと思った。あとは昭和天皇と東條英機にフォーカスした本も読んでみたいなって思った。

  • どう言う経緯で第二次世界大戦が勃発して。
    どういうことが起こって破滅に向かっていくかが事細かく記載されており勉強になった

  •  陸相であった下村定が”敗戦”の文字をみて、「”敗戦”ではなくて、”終戦”としてほしい」と注文をつけたのに対して、当時の東久邇宮首相は「何を言うか、”敗戦”じゃないか、”敗戦”ということを理解するところから全てが始まるんだ」と一括したという。

     当時、わかっている人はいたのだ。でもいまだに終戦という。これが永続敗戦というやつか。ちょうど、終戦記念日という文字をみて、思い立って本書を読んだだけに、なおさら「終戦記念日」というものについて、あれこれ考えたな。

    太平洋戦争とは何だったのか。負けることがわかっている戦争をなぜ始めたのか。後世を生きる人間には、首をかしげるばかりの歴史だ。歴史と言ったって、俺の親が生まれたころの話であり、記憶に残る祖母は今の俺よりわかかったくらいなときなのだ。本書を読んで、俺に太平洋戦争とはなんだのか、わかったかといえば、正直まだ腑に落ちたわけではない。著者は膨大な資料をあたり、本書を書いた結果、怒るべくして起こったのだというが、えー?そうなの?という部分はあるんだよね。なぜかというと、当時の指導層の愚かさばかりが目につくから、どこかでいや、俺ならそんな愚かなことはしないよ、と思っちゃうところがあるんだろうな。もちろん、そんなことを言えるのは、後世に生きているからで、その時代に生きていたなら、俺もこれはやらなければならない戦いなんだ、と乗っかってただろうけどさ。歴史的事実を並べたら遠い話も、自分の祖父母を思い浮かべて、あの人たちより自分が賢いか、っていったら、そんなことは思わないから。

     あの戦争は起きるべくして起こった。あの時代にはガス抜きが必要だったのだ、と著者はいう。終わり方を想定していなかったのは、お粗末でしかないけれど。

     著者のまとめ方としては、そんなところだろうか。いや、もっといろいろあったし、その後もたくさんの本を出されているわけだから、一口には言えないだろうけど。もっとあれこれ読まないといけないな、と思ったね。

  • なぜ戦力差4倍のアメリカに無謀な戦争をしかけていったのか、著者の観点・批判は
    ①目的も曖昧な戦争を3年8か月も続けたのか説明責任が果たされていない。
    ➁戦争指導にあたって政治軍事指導者は同時代から権力を付与されたろうが、祖先,児孫を含めてこの国の歴史上において権限を与えられていなかったこと。
    著者も言っているが日本人の本質は戦争前も戦争後も何も変わっていないようだ。
    日本人り本質とは思想・理念といつた土台はあまり考えず、戦術のみにひたすら走っていく対症療法にこだわり綻びにつぎを充てるだけの対応策に入り込んでいく、現実を冷静にみないで願望や期待をすぐに事実におきかえてしまう。



  • うーん。説得力に欠ける。
    テーマとしては非常に良いんだけど、結論があまりにも投げやりな感が否めない。というか、結論になっていない。
    ただ、旧日本軍の機構制度、成り立ちについては体系的に書かれており、非常に分かりやすい。
    一般徴収兵と職業軍人、いかにして旧日本軍の兵士が生まれていったか、帝国陸海軍の機構についても分かりやすい。
    ただ、真珠湾攻撃に関してはあまりにも根拠に乏しい内容だ。米飛行場撃破の成功と記されているが、撃破したのは空の飛行場で、近接の燃料庫は図ったように攻撃していない。また、戦艦駆逐したとも記されているが、実際、撃破したのはもう廃艦にする予定のものであったはずだ。
    アメリカ側の史料は確認していないのだろうか。
    参考文献もなく、ある筋からの証言によりというあまりにもな内容でした。
    ま、帯の書評が塩野七生ってのが分かる気もするな。

  • 太平洋戦争における問題点を時系列の中で的確に把握できる良書だった。
    当時の軍部の戦争指導の失敗、それを引き起こした国家としての体質のまずさは、教訓として現代に活かさなければならない。
    特に、情報軽視の体質について興味深く感じたため、「大本営参謀の情報戦記」「失敗の本質」を読み、情報の重要性について見識を深めたい。
    また、昭和天皇の人物の大きさに意外さを感じた。

  • 太平洋戦争を時系列に追いながら、その時々の日本の中枢部の判断や情勢を解説。

    僕は歴史に明るくないがよく理解できた。
    真珠湾攻撃やミッドウェー海戦など、情勢を決定づけていく事件の背景などは興味深かった。
    同時に、陸海軍の対立や、終着点、意義を見出せずに突き進んでいく危険性、戦略と戦局を取り違えるなど、大筋を見逃して重箱の隅をつつく姿は、日本的な企業や政治に今でも見られると思う。

  • 単純な善悪二言論を廃して、なぜ日本が太平洋戦争に突入したのか突き詰めるという著者の姿勢に興味をもって読んだ。

    どうしても、戦争の話になると感情論や個々の苦労話が先行してししまう。大局的にみて、なぜ日本があの戦争を原爆落とされるまで続けていたのか、っていう疑問に答えてくれる物はいままでなかったと思う。

    で、そんな感情的な話ではなくて、ロジカルにあの戦争の事を知りたくて読んだ本。しかし、僕が感じたのは、まさに"怒り"の感情だ。

    一部の軍人の思い込みやら、見栄のために、一体何人の人間が戦死したのだろう。(本にはたしか、戦中で310万人と記載があった)。
    細かい点を挙げればきりがない。知らされる内容に怒りを感じずにはいられなかった。

    他にも、自分の勉強不足やら何やら色々思ったことは多々あるけど、レビューとしてはこの辺で。

  • 太平洋戦争のアウトラインを掴むには最適な1冊だと思います。特に筆者が主張する8月15日が終戦記念日とされていることへの強い疑問は、本当に考えるべきことだと思います。

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著者プロフィール

1939年生まれ。同志社大学卒業。ノンフィクション作家。とくに昭和期の軍事主導体制についての論考が多い。

「2022年 『時代の反逆者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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