決定版 日中戦争 (新潮新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107887

感想・レビュー・書評

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  • 宣伝戦は日本は下手。こうやって正しく振り返っておく必要がある。

  • 日中戦争は、本当によくわからないものだったので、一つの理解の筋を得られたように思った。はじめてしまったら、なかなか終われない。なんでとそうだが、難しい。終結の難しさ。御前会議での陸軍の頑固さは何かと思っていたが、中国での戦いを考えると、確かに理解出来る面がある。目の前の相手に、全く負けていないのに、降伏せざるを得ない。それは出来ないなぁ、と。でも、全体を見渡すと、降伏せざるを得ない。

  •  日本の行動を見ると、遅れた戦争をしているとつくづく思う。まるで第一次世界大戦時のドイツの劣化コピー。
     第一次世界大戦時のドイツも皇帝・軍部・政府・議会・各州各地域に権力が分散していた。第一次の時に敗戦したことが権力集中を可能にし、皮肉にもヒトラーの台頭につながったといえる。
     第一次の敗戦を経験していない日本には権力集中など土台無理な話。元老たちが世を去って逝くにしたがって、中心は失われていった。そのため本の帯にあるように「ズルズル」現場に引きずられながら、いたずらに拡大に拡大を重ねた。

  •  新書ながら、執筆陣の豪華さに目を引かれる。決定版かどうかはともかく、通史+α(一部個別テーマ)という感じ。南京事件や「傀儡」(本書でこうカギカッコをつけているのもあえてだろう)政権のようなデリケートな対象は、一方的ではなく注意深く、穏当に評価している。
     第一部では、開戦前から戦争初期、局地戦を想定する陸軍と、華中・華南を影響下に起き全面戦争にも備える海軍の対比。
     第二部では、第二次上海事変後に日本は国際社会向け宣伝戦に失敗し、中国支持と日本批判を広げてしまったこと。また「傀儡」政権は、むしろ対日協力政権と言い換え、(日本の統治を支える存在に過ぎなかったとする一方で)参加した側それぞれの事情にも目を向けている。
     第三部では、日中交渉に米を巻き込むなど国際化したい中国側と二国間交渉にしたい日本側の違いからハル・ノートに至るまで、またカイロ会談での蒋介石など、日中戦争と日米(+英)戦争のリンク。

  • 229頁2行目で、
    カイロ会談当時、「中華民国国民政府主席」であったはずの蒋介石の肩書きは「総統」と書かれる。
    専門者にとっては、とんでもないミスではないか...

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著者プロフィール

現職:筑波大学名誉教授
専門分野:日本政治外交史
代表著書:『「徴用工」問題とは何か――朝鮮人労務動員の実態と日韓対立』中公新書、中央公論新社、2020年
『幕僚たちの真珠湾』朝日新聞出版、一九九一年/吉川弘文館、2013年
『宰相鈴木貫太郎の決断――「聖断」と戦後日本』岩波書店、2015年
『国家と歴史――戦後日本の歴史問題』中公新書、中央公論新社、2011年
『太平洋戦争とアジア外交』東京大学出版会、1996年

「2022年 『国家間和解の揺らぎと深化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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