八日目の蝉

著者 :
  • 中央公論新社
3.90
  • (785)
  • (1113)
  • (784)
  • (99)
  • (27)
本棚登録 : 5814
感想 : 1033
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120038167

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 子をさらって育てる話。

    自分も2児の母親なので、誘拐犯の主人公や誘拐された子供よりも、子供を誘拐された母親の方にどうしても同情してしまう。

    浮気していたとか、子供を10分程度一人にして外出したとか、同情するほどかいのない母親ではあるけど、子供を奪われるのはやっぱりかわいそうだと思った。

    帯に最後の数ページ震えがとまらなかったという大田光のコメントが載っていて、最後を楽しみに読み進んだけど、読後感はそんなによくなかった。

    ふたりが知らぬ間にすれ違っていたっていうのは、小説によくあるご都合主義じゃない?

  • 不倫相手の男の子どもを誘拐する季和子。逃亡生活を送るが…。第二章では大学生になった子ども、恵理菜を主人公に、母性を問う。ドラマ化、映画化されている。

  • やっと地上に出てきたと思ったら1週間で命が尽きる蝉。八日目まで生き残った蝉は果たして何を見るのか

    取り違えもそうだが、子供を自分で育てない時期があると実の我が子だと言われても急に愛せるものではないだろう
    それは自分がいた環境とか生活とか全く異なるものでそれが怖かったり受けいれられなかったりする理由なのか

    自分も被害者なのに 犯人のムスメのような感覚で育ってきたんではないか 「自分はあの人のようにはならない」と思っているところがある

  • なぜかわからないけど、読み終える頃に涙が出てきた。

  • 逃亡中は結構緊迫感があったが、第2部以降はその謎解きと、心理描写のために使われ、なんとも言えない感じだった。

  • 一気読み

    犯罪者なのだが、野々宮希和子に一番共感
    逃亡のために宗教団体に逃げ込む、、、とか。
    確かに生きているのに、母子手帳がないと、小学校に入学できない、、、とか。
    宗教団体施設の中しか知らずに育てられた「子供」の心情とか。

    ※1993年12月14日に実際に起きた「日野OL不倫放火殺人事件」を題材にして書かれた小説らしい

  • 本当にあった事件を題材にまとめられた作品。
    不倫をして子どもを堕胎した女(稀和子)が不倫相手の赤ん坊(薫)をさらって逃走。エンジェルハウスと呼ばれる一種の宗教団体のような組織や小豆島でひっそり暮らすが、偶然撮られた写真をきっかけに逮捕されてします。
    話は、この事件で薫が本当の実母の下でどのように育ったかまで広がる。薫が成人して稀和子とおなじような境遇をたどり、小豆島を訪ねる。そこで薫と稀和子はすれちがう。大人たちの身勝手なふるまいのために、運命にもてあそばれた子ども。なんとも言えない余韻を残す作品だ。

  • 映画を観たかったが観るタイミングのないまま、書籍を読み、映画も見てみたいなと思った。小豆島の美しい景色がより際立つと思った。

    男はクズばかり出てくるが、男の人のことなかれ主義は納得。

    はじめの全てから守りたいという気持ち、逃げ出したときに全て奪ってきたものを与えたいという気持ち、いつだって母は子のために全てをかける想いがあるのだと思った。

  • ずーっと八月の蝉だと思っていた
    作中に「八日目の蝉」という一文が出てくるまで
    まったく気づかなかった・・・

    映画だドラマだで
    なんとなく内容を知っていたから
    特別、期待はずれな感じはなかったが
    予想を裏切るおもしろさもなかった

    ラストの港のシーンが
    ちょっと都合よすぎるなーと感じたが
    あれは読者の期待を最大限汲んだ場面なんだろうか
    たしかに、ちょっとそうなればいいなとはオモッテイタがw

    フツーかなーと思うので
    星は3つ

  • 愛する人の娘を誘拐した希和子。薫と名づけた子を実の娘のようにかわいがり逃亡を続けるが、そんな生活も長くは続かない。希和子と薫(恵理奈)が実の親子であったら、小豆島の豊かな環境の中で幸せな生活が送れたのかもしれない。と思う一方で、永遠には続かないという思いがあったからこそ、そこで過ごした一時が輝いて見えるのかもしれないと感じた。

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

角田光代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×