- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120041594
感想・レビュー・書評
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1988年に死んだはずの少女が1992年の写真に写りこんでいたら? 幽霊?いや、それとも―――
写真の中の「幽霊?」を推理する異色作。 当時を知る三人による推理合戦のように作品は進んでいきます。 現在軸は2010年となっており事件自体は風化していて陰惨な雰囲気はほとんどないです。 推理する側は盃を交えつつですし、過去の描写も明るくてユーモラスミステリーに近いような軽快さが感じられます。
推理合戦だけあって情報の整理がしやすいですし、250頁の軽めのボリューム。 あっと言う間に読み終えてラストの写真の秘密にも満足です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
亡くなったはずの同級生が写真に写っていた。彼女との関わりをひもとくなかで、制作をめぐるあれこれがすったもんだして、きれいにまとまった作品。
母、恐るべし! -
高校の文芸部に属する主人公矢渡利悠人は小説執筆に打ち込む同学年の風祭飛鳥に惹かれていく。飛鳥は文芸誌の新人賞に輝き一躍時の人になるが、第3作発表の前に無残にも包丁で刺され家も放火されてしまう。これを引きずったまま20数年後、独身のまま評論家となった主人公の前に写真の中の幽霊として飛鳥は姿を現す。悠人と悠人の後輩でミステリー作家となった生浦蔵之介と編集者の3人で飛鳥の死の真相を論じ合う。ああでもないこうでもないと何人かで論じ合うのは西澤保彦の小説の得意とするところだ。この中で、悠人の死んだ母の未発表の小説が鍵を握っていることが分かり、驚愕の結論を導き出す。うーん、飛鳥の行動には納得できないところもないでもない。しかし、こうなると何というか、悠人の人生は悲しい。これからどうやって生きていくのか。
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2020/08/03
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過去の事件を回想し、謎を解いて行くスタイルのミステリ。解説では『議論型』という表現が使われている。
謎解き自体はストレートで、既存のシリーズのようなアクロバティックなところは余りない。また、登場人物3人が行う議論もあっさりめで、個性的なキャラクターがああでもないこうでもないと言い合うシリーズものに比べると、こちらも薄味。
だからといってつまらないわけではなく、あっさりめの分、取っつきやすく、パズルのように楽しめる。 -
西澤氏にしては捻りもオチもなく。
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前半の学園生活はメリハリがなく淡々としているので何も起こらなそうな穏やかな展開でした。そんな中での『不可思議』の提示だったので、なんだかつまらない方向に逸れて期待が萎みそうな気がしましたが、そこはきっちりと裏返してくれました。
後半は著者らしいお決まりの推理合戦でしたが、推論も解決も納得のいく内容でした。ピタリとピースがハマって綺麗に落ちた感じで良かったと思います。 -
「死亡したはずの人物が写真に写っていた」理由付けがいかにも苦し紛れで興ざめ。ロジックに破綻はないが、ミステリの醍醐味である「驚き」に欠ける。
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思っていたほどホラーじゃなくて。
謎解きの部分は言葉遊びのようになってしまっている。まあまあかな。