幻視時代

著者 :
  • 中央公論新社
3.30
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本棚登録 : 210
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041594

感想・レビュー・書評

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  • 1988年に死んだはずの少女が1992年の写真に写りこんでいたら? 幽霊?いや、それとも―――

     写真の中の「幽霊?」を推理する異色作。 当時を知る三人による推理合戦のように作品は進んでいきます。 現在軸は2010年となっており事件自体は風化していて陰惨な雰囲気はほとんどないです。 推理する側は盃を交えつつですし、過去の描写も明るくてユーモラスミステリーに近いような軽快さが感じられます。 
     推理合戦だけあって情報の整理がしやすいですし、250頁の軽めのボリューム。 あっと言う間に読み終えてラストの写真の秘密にも満足です。

  • 亡くなったはずの同級生が写真に写っていた。彼女との関わりをひもとくなかで、制作をめぐるあれこれがすったもんだして、きれいにまとまった作品。
    母、恐るべし!

  • 高校の文芸部に属する主人公矢渡利悠人は小説執筆に打ち込む同学年の風祭飛鳥に惹かれていく。飛鳥は文芸誌の新人賞に輝き一躍時の人になるが、第3作発表の前に無残にも包丁で刺され家も放火されてしまう。これを引きずったまま20数年後、独身のまま評論家となった主人公の前に写真の中の幽霊として飛鳥は姿を現す。悠人と悠人の後輩でミステリー作家となった生浦蔵之介と編集者の3人で飛鳥の死の真相を論じ合う。ああでもないこうでもないと何人かで論じ合うのは西澤保彦の小説の得意とするところだ。この中で、悠人の死んだ母の未発表の小説が鍵を握っていることが分かり、驚愕の結論を導き出す。うーん、飛鳥の行動には納得できないところもないでもない。しかし、こうなると何というか、悠人の人生は悲しい。これからどうやって生きていくのか。

    • りまのさん
      悲しい話なの?goya626さん、いいね!たくさんありがとうございました。まだ未読なのに…
      悲しい話なの?goya626さん、いいね!たくさんありがとうございました。まだ未読なのに…
      2020/08/03
  • 18年前に起こった大地震の写真に、それ以前に死んだはずの少女が写り込んでいた。その謎をめぐって繰り広げられる3人の推理。
    確かに他の人のコメントにもあるように、西澤さんの作品にしてはすんなりといった印象。もうちょっとドロドロ(?)としたものを期待していた自分としては、結果は少々あっさりとしたものだったかも。

  • 過去の事件を回想し、謎を解いて行くスタイルのミステリ。解説では『議論型』という表現が使われている。
    謎解き自体はストレートで、既存のシリーズのようなアクロバティックなところは余りない。また、登場人物3人が行う議論もあっさりめで、個性的なキャラクターがああでもないこうでもないと言い合うシリーズものに比べると、こちらも薄味。
    だからといってつまらないわけではなく、あっさりめの分、取っつきやすく、パズルのように楽しめる。

  • 18年前に起きた大震災直後の一枚の写真に大学生時代の自分と瀕死の恩師が写っていた。そこにはもう一人、その震災の4年前に死んだはずの同級生だった女の子も写っていた。
    謎の死を遂げていた女子高生。幽霊なのか?生きているのか?
    高校時代の文芸部での出来事の回想から始まり、後半の推理合戦まで真相が気になり一気に読みました。
    強すぎる自意識が起こした若さゆえの過ちが一生ついてまわります。出来心は恐ろしい。居酒屋で語られる推理合戦はあれこれ違う方向へ振られながらも、最終的には伏線を見事に回収し、意外な真相へ着地させられた感じ。スピード感もあり面白かったです。
    結局のところ、写真の女子高生は・・・というところだけ物足りない感じがしました。
    西澤さんの作品にしては珍しく特異な性癖をもった登場人物もなく、正統派なミステリーでした。

  • 西澤氏にしては捻りもオチもなく。

  • 前半の学園生活はメリハリがなく淡々としているので何も起こらなそうな穏やかな展開でした。そんな中での『不可思議』の提示だったので、なんだかつまらない方向に逸れて期待が萎みそうな気がしましたが、そこはきっちりと裏返してくれました。
    後半は著者らしいお決まりの推理合戦でしたが、推論も解決も納得のいく内容でした。ピタリとピースがハマって綺麗に落ちた感じで良かったと思います。

  •  「死亡したはずの人物が写真に写っていた」理由付けがいかにも苦し紛れで興ざめ。ロジックに破綻はないが、ミステリの醍醐味である「驚き」に欠ける。

  • 思っていたほどホラーじゃなくて。
    謎解きの部分は言葉遊びのようになってしまっている。まあまあかな。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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