世界は終わりそうにない

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047244

作品紹介・あらすじ

愛すべき、私たちのしょっぱい日常。恋愛の苦み、読書の深み、暮らしの滋味…膝を打ちたい気分で人生の凸凹をあじわうエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 角田さんのエッセイあり、対談あり、書評ありと
    盛り沢山でした。

    よしもとばななさんとの対談で、角田さんに対してばななさんが『自己評価が低い』と言っていて、
    こんなに大人気作家さんなのに
    どうしてこんなにも謙虚なんだろうって思っていた私もそうそう!と思っちゃいました。
    なのですが、本人の性格の他にこんな理由もあったのかと…。

    でもそんな人間角田さん、とてもいいと思います!
    だからこそ、私は角田さんが書くものが好きで、
    引き寄せられてしまうんだと思います。

    家計簿のつけ方、面白いです。(参考にします)
    メールの文章の後につける(笑)の意味合いや
    締切のこと、自分磨きのことなんか、私と一緒やん!って楽しくなりました。

    作家さんってこんな風に書評を書かれているんですね。

    文庫本の文字の大きさや形、段組みやレイアウトに至るまで、そして紙の質感。

    表紙のデザインにしか目がいかない私には、
    こんなにも各社で特色があることも全然知らず…
    色々な方々との対談部分も面白かったです。

    角田さんが感じてきたことがとても細やかです。
    旅に対しても、恋愛に関しても。
    そこでひとつ感心しましたが、恋愛と旅って似ているんですね。

    またまた読みたい本が増えてしまいました。
    読む速度が遅い私にはちょっとため息もでてしまう一冊です。

  • 雑誌、新聞等、様々な媒体で発表されたエッセイ・対談・書評をまとめた一冊。エッセイに関してはもう安定の面白さです。短いながらもさりげないユーモアと絶妙な落としどころでふふっと笑わせてくれる。日々の暮らしで改めて気付かされることがこんなにもあるのかと、角田さんのエッセイを読むといつも思うよ。
    何より、今回面白かったのは対談である。三浦しをんさんとの対談は漫才のようだった(笑)笑いながらも、書評のあり方について色々考えさせられたわ。船戸与一さんとの対談ではハードボイルドの定義について知ることが出来たし、よしもとばななさんとの対談では「海燕」の話が懐かしかったし(旧・福武書店の小説が好きだったよ!)。成島出さん(映画・八日目の蝉の監督)との対談は唯一既読。「八日目の蝉」映画公開の頃に発売された「ユリイカ」で読み、今回久しぶりに再読となったが、「この後大きく評価され、様々な映画賞を受賞したんだよね」と思いながら読むと感慨深いです。映画版、実はテレビで飛び飛びでしか見ていないので、いずれ改めてちゃんと見たい。
    最も「目からウロコ」だったのが、坪内祐三さん、祖父江慎さんとの「やっぱり文庫が好き!」鼎談。出版社各社の文庫の書体、紙などの違い…以前は割と意識して読んでいたけど、今はあまり気にかけていなかったなぁ。評論家、ブックデザイナーのお二人の目の付けどころがさすがで、切ったりちぎったりして文庫を読んでいたというところがさすが!文庫との付き合い方は人それぞれなんだと改めて思った次第である。これからはフォーマットなどブックデザインにも気を配りながら読んでみよう。

  • 角田さんの小説・エッセイはほとんど読んでいるけれど、最近の角田さんの本は落ち着いているものがほとんどで、正直物足りなさを感じていた。でも、この本は、落ち着きがありながらも久々にパンチがきいていて、昔の角田さんのエッセイを思い出させるものでとても良かった。
    ところで、若い頃って、こだわりがあったり、考えが偏ってたりして、それらを比較的抵抗なく主張ができるのに、大人になったら、社会に揉まれるってこともあって、だんだんパンチがなくなる。あと、社会的にも落ち着いてきて、気持ちも落ち着いて、パンチがなくなるのかなぁ。体力的にも、ずーっとパンチがある性格だと疲れるかもしれない。

    その中で印象に残ってるのは、辛いけどランニングやってる、っていうページ。若い頃は辛いことは嫌で避けていたけど、今は辛いことを避けなくなった、むしろやりたくなった、という。それはランニングだけでなくて、小説も同じだという。
    私も、今は辛いことは避けがち、というか積極的にはやりたくないと思ってるけど、自分が辛いって思っていることを、やろうと思える時期が来るだろうか。ここ最近から、とんでもなく嫌だけど強制的にランニング(まだジョギング段階)を始めたけど、本格的に運動したことないから本当に体力がない。1キロ走るだけでひいひい言ってたし、3キロ過ぎたら足が上がらなくなった。それを続けていたら、何かにたどり着けるかなぁ。辛いことに対する耐性が出来るかなぁ。角田さんを見習って私も頑張ろう。あとは恋愛のページが総じて面白かったなー。

  • 角田さんの小説が好きで新刊が出ると読んでいるが、エッセイ本は読んだことがない。雑誌に掲載されたものをいくつか読んだぐらい。

    エッセイを読むことが少なめなせいだけど、その作家さんのエッセイを初めて読んだ時いつも気になる作家さんのエッセイは読んだ方が面白いなということ。どんな人がどんなことを日々考えたり興味をもって小説を書くのか。

    このエッセイは対談、書評なども含まれ、読んでいて、共感することも多く読みやすかった。やっぱり、角田さんの小説が好きな人のほとんどがエッセイにも共感できるのかもしれない。ズバリそのものを小説で書かれていないとしても、ちょっと裏から見てみたり、離れて全体を見ると感覚が伝わってくるからかもしれない。
    三浦しをんさんとの対談(書評の書き方、面白くないと思う本について等)が特に面白かった。その場の楽しさも伝わってくる。

  • 角田光代のお母さんの話で、家の中を常に完璧にきれいにしておかないといけないという追い詰め方が自分の母親に似ていてぞっとした。
    「出したらしまう」
    この言葉もどれだけ母から聞いたことか。
    確かに家はきれいな方がいい。最近は地震もあるし火事になった時のことを考えると逃げるルート確保のためにも片付いていないと危険だ。
    でも安心できるはずの家で居心地が悪くなるなら、何のための掃除なのか。
    程々にきれいで床に物がないのなら、髪の毛の一本や二本落ちていても何の問題もない。
    この後のおせちの話や母親との旅行の話からも、著者の母親が癖のある人物だと感じたが、そういうところもちょっとうちの母に似ている。
    この本を私の母親に読んでもらったら、一体どういう感想を持つのだろうか、気になる。

  • 何歳になっても恋をすべき。すなわち、枯れるな、ということ。加齢すると「まあいいか」が増える。わくわくする感じが、どんどん枯れていく。恋は他人を意識するということ。外界とつながるから心が自然に開かれる。髪型にも御洒落にも注意を向けるし、知的好奇心も興味も広がる。意識が外に向いていれば、人を思いやることができるし、自我を押し通すこともない。
    恋をしたらすぐに行動。変化を先延ばしにしている状態が、一番つらい。次の関係が今よりいいとは限らないけど、少なくとも、終焉付近で足踏みしているよりは、新しい場所に歩き出した方がはるかにいい。思い切って「今」から出るとき、人は自分でも思わぬ力が出せるもの。新しいことをはじめるのは自らの変化の時期でもある。
    恋愛と結婚の違いは旅と日常のそれに似ている。旅ならば恥は旅先に置いて来られるし、生活の責任を負う必要がない。人間関係に悩むこともなければ退屈であれば移動すればいい。けれど日常は恥や失敗はいつまでもつきまとうし、掃除、洗濯の果てしない繰り返しが続く。恋愛は良かったのに結婚はそうでもないカップルがいる。恋愛の終着点は結婚にあらず。恋愛と結婚の折り合いは自ら見極めるしかない。大切なのはともに時間を過ごせて良かったと思える関係性。自分に合う生活を作り上げたと思っても常に状況は変わる。恋愛なんてしないと思っても巻き込まれることはある。そうした変化の波を受け入れていける、しなやかさが肝要。恋愛はそんなにいいものではないかもしれない。でも、するだけの価値は間違いなくある。

  • 小説だと思って読んだらエッセイや書評を集めたものでした(...何度目?)
    そうはいっても楽しんだのは角田さん、坪内祐三さん、祖父江慎さんの『文庫本』についての対談。特に祖父江さんの、職業柄かはたまたお人柄なのかは不明なれど異色な文庫の見方・読み方・集め方・偏愛の仕方が新鮮ですごくおもしろかった。
    それから、私自身が先日読み終えて感想を書いた佐野洋子『問題があります』について書かれた一編があり、とても近い気持ちだったところがなんだかくすぐったかった。(その感想を表現する力は当然圧倒的に違うけど。)

  • 三浦しをんさんとの対談が興味深い。

  • 様々な雑誌に寄稿したエッセイを1冊にまとめたもの。割と短編で静かな内容が多い。旅先でのドタバタ、飲んべえ話とかではない。
    この本の真ん中でいくつかの書評と、対談が載せられており、それが非常に面白い。角田さんが読む作品、感動する作品は読んでみたいので、ブクログに登録。
    角田さんはエッセイをたくさん読んだからか、すごく親近感があり、身近な作家さん。共感できることが多く、自分が感じていることを文字にしてくれている感じですごくよい。大好き。

  • 角田さん、好きやわ。
    テレビのトークとかの感じも、ちょっと不安げでオタオタしてて、可愛い、
    そんな彼女のネタをみせてもらったみたいな本でした。
    内面の美しさは外に向かって開かれていること!!ええ言葉みつけました。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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