嫁をやめる日

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120049613

感想・レビュー・書評

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  • 2019/1/15

  • H30/12/19

  • 突然の夫の死で一人残された夏葉子。夫とはずっと心から解り合えないままの夫婦だった。夫のいなくなった生活でようやく好きなようにのびのびと暮らせると思っていたが、舅姑が嫁である夏葉子になにかと干渉し、頼りにし始めて息苦しさを感じるようになる。そこで姻族関係終了届を出して法的関係を断つ事に。自由になった夏葉子だが、
    改めて舅姑と義妹との付き合いを考え直す。
    自由を求めて悩み、でもはっきり付き合いを断わることも出来ない夏葉子がリアル。ラストは救いがあるかな。
    夫の浮気疑惑や夏葉子の恋愛などもあり、夫の死から夏葉子が新たな一人での生活までが、描かれている作品。
    女性ならではの視点で面白かった。

  • 40歳で残りの人生、死んだダンナの家族の世話ばかり?冗談じゃない!思った以上に男女の違いや女性の人権にまで考えが及んだ。
    後半は特に一気読み。面白かった。
    やっぱり実の親ほど頼りになるものはいない。

  • 実母よりも慕う義母らの夫の急死による変化に雁字搦めにされた夏葉子の脱却。未亡人になり甘く見られ潰しても良い存在として扱われる夏葉子の味方として頼もしく活躍する実父が嬉しく、恋に自力で立ち向かう夏葉子が格好良く、それでいて優しさに満ちた柔らかい着地。長崎弁に囲まれた四十四歳の夏葉子に難なく寄り添えた。

  • 姻族関係終了届のお話。あまり知られていないけれど大事なことをテーマやな取り上げるのが上手い作家さんだと思う。日本、特に田舎における嫁というものの考え方はそう簡単に変わらないだろうな〜。と、嫁業を中退した身として痛感。

  • 40代で夫を亡くした妻(嫁)が夫の家族とどう付き合っていくかのお話。
    九州地方の一例としてではあると思うが・・ま~前半のイライラストレスがすごく読み進めるのが辛い。
    途中クズな男がでてくるあたりでギブアップしかけたがなんとか最後まで読了。
    イライラしつつもグングン読み進めてしまうところがさすがです。
    着地としては良かった。
    難しい問題だと思うけどこんな生き方もあるねと納得。

  • 読後、爽快。嫁をやめるのは案外簡単なんですね。

  • 題名は、どんなひどい仕打ちで、嫁をやめるのか?と、思っていたのだが、、、

    主人公の夏葉子は、突然、主人がホテルの一室で、亡くなった事を電話で、知らされる。

    出張という言葉も嘘であった。
    余りの突然の出来事に、涙も出ないのだが、、、義理の両親は、一人息子を亡くして、落胆していた。

    金銭的には、家の支払いもしないで行けるし、保険金もある。
    パートの仕事もそつなく継続できている。
    そして裕福な義理の両親が、援助してくれるのだが、、、
    名士の家だけあって、知らない人も、自分の事を知っている。

    何処にいても、監視されているようなのに、義母が、家の合鍵を持っていて、何事にも、家にやって来ては、世話をしたがる。
    仏壇の立派な仏壇を購入してくれたり、お墓も、赤字で、名前まで刻まれていた。

    少しづつ、自分のストレスが溜まって行くのを感じてしまう。

    そして、夫の通帳から、学生時代の女友達に、ずーと現金を振り込みしていたのを知る。
    段々心が、萎えて来る。
    そして、義理の父母たちは、夏葉子のパートの仕事を軽んじている事も、、、

    一人息子がなくなったし、子供は居なかった為に、これからの老後は、嫁を頼りしたがっているのがわかって来て、息苦しくなって来る。

    しかし、東京の実家でさえ、姉妹の妹は、離婚して、狭い家に転がり込んでは、親に甘えているのだが、、自分は姉として、しっかり者で、通って来たので甘えるという事を知らない。

    でも、実父は、娘の為に、長崎迄、やって来て、夫の両親ヘ、談判しに来る。
    穏やかに、、、言葉を選びながら、、、そして、夏葉子は、役所で、姻族関係終了届を出して、元の姓に戻るのである。

    でも、少し火遊びの話も、きっぱりと、綺麗に清算して、夫の妹からの夫の若い時の誤りと女性関係は無かった事等、全部聞いて、晴れやかに前に進むことをになる。

    義理の親であった両親も、年老いて行くのだから、自分自身が介護するのでなく、周りの出来る事、タクシーを呼ぶことなど、簡単なことを手助け出来たら、、、と、、、、
    突き放したわけで無い事に、何故か安心してしまった。

    「つぶされてもいい人間」という言葉に引っ掛かりを感じたが、この間の日大のラクビー事件も、そして、人の事を心配ばかりしている私も、この種類の人間と同様に感じてしまった。

    星5つ!
    人の為になった時は、私も、自分に星5つ!と、言ってみよう!
    へこまないで、前進できるかも。。。

    現実味は、薄いけど、大変面白く読み終えた作品であった。

  • 嫁であった自分にも共有できる感情があった。相手を批判するのではなく、自分の気持ちを相手にわかってもらうことが大切なんだという、お父さんのアドバイスは本当にその通りと思う。だけどこれがなかなか難しい。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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