嫁をやめる日

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120049613

感想・レビュー・書評

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  • 男性視点で読んでいくと、”嫁”を家族の一員として迎えることの大変さを改めて感じます。表面的な部分ではなくそれぞれの裏側ではさまざまな感情が渦巻いているのかもしれません。どこまでいっても本当の家族にはなれないのかと複雑な心境になります。
    登場人物としては夏葉子のお父さんが秀逸でかっこよかったです。相手の批判するような言い方はダメというあたり、コミュニケーションの要諦を抑えているし、高瀬家で弓子のことを聞き出すくだりは刑事もので犯人と思しき人間から何かを聞き出す”駆け引き”にも似た雰囲気がありそのシーンが目に浮かび読み進めてしまいました。

  • 結婚して、他人が一族ごと身内になる。
    これってよく考えたら、不思議な現象ですよね。。

    何事も、ほどほどが良いです。

  • 結婚して東京から長崎に来た夏葉子は、夫に先立たれた。でも悲しくない。夫とは心が繋がってはいなかったから。しかし、近所に住む義母は、勝手に我が家に押しかけて来たりして自分の娘のように扱おうとするが、すごく不快だ。私を介護要員だと思っているのか。そして夫には秘密があったようだ。怪しげな女が登場して・・・

    おー。これは意外な収穫。

    大きな事件があるわけでもないのに、まるでミステリーのような「この後どうなる感」が持続する。一気に夜中まで読んでしまった。

    パートで働く主人公の仕事をバカにする義父母。義娘を大切にしている風に見えるけれど、本人の意思を無視している。こういう人たちいるだろーなーと思わせる。

    夫との冷めた関係もミステリアス。裏に何があったのか。

    結婚とか離婚とかその副産物について色々考えさせられた。結婚してる人、離婚した人、特に女性が読むと、共感したり、考えさせられたり、あるいはヒヤリとしたり、そして面白いと思うような気がする。私は精神的におばさんなので、充分に堪能できた。

  • 一気読み。

    脳溢血で夫が死んだ。
    東京出張と聞いていたのに地元のホテルで。
    この日から妻という立場はなくなり嫁になる。
    大きな新しい仏壇と墓に赤く刻まれる自分の名前。
    さて、さて、この後どうする?
    色々考えさせられたわぁ。

    うわぁと自分に置き換えてみたり、
    あの人はどうなるかとか考えてみたり。

    考えさせられる、というより
    私も出すなぁ姻族関係終了届。
    いや、意外と出せないもんなんだろうか。

    まぁ、 私はいい嫁ではないから
    潰してもいい人にはならないかなぁ。

    でも、自分の思いや感情とは違うところで
    「嫁でしょ?」っていう縛りはしんどい。
    100%しんどい。

    夏葉子がなんだか浮かれるのはわからなくもないけれど
    あいつはないわなあ。

    夏葉子のお父さんがいて良かったよ。
    こんな親になりたいな。
    父ちゃん、カッコイイ!!

  • 本当のところは亡くなった夫に聞いてみないとわからない。でも、本当のことを話すとも限らない。何を信じればいいのだろうか? 自分の心が納得するところへ落とし込んで日々を過ごすしかないわね。
    千亜希というしっかり者で冷静な友人がいてくれたおかげで救われていると思う。
    それにしても父ちゃん、いいところで力になってくれるよね。こんなイザという時に駆けつけてくれるお父さんって素敵だわ。

  • 「子育てはもう卒業します」を読んで面白かったので、他のも読んでみたいと思い、借りてきました(垣谷氏の本を読むのは3冊目・・・かな?)
    いちばん最初は主人公の思いにイラっとしてたけど、そのうち、ああ、そうだよねエ、これは仕方ないかもね・・・と思えてきた。
    けれども
    これは「ダンナさまが死んだ」40代の主婦だからこそ。ちょっと他人事のようにも思えるし、「仕方ないよね」と思えるところがミソなんだと思う。共感性には乏しい。
    あと、あくまで長女目線なんで、この本を読んだ次女や末っ子がどう思うのか知りたいなあ。と思いました。
    つぶれてもいい人間かあ。こわいこわい。


    主人がこの本の表紙(というか題名)を見て、ギョッとしてました(笑。

  • 主人公は夫を亡くしたばかりの40代の女性。
    生前から仲良くも悪くもないというよそよそしい関係の夫が亡くなって喪失感よりも解放感を感じている彼女。
    夫が亡くなり自由になった、と思いきや、夫の死を機に、それまで良識のある人たちだと思っていた夫側の両親や親戚の態度が変る。
    合鍵をもつ義理の両親は自由に彼女の家に出入りするようになり、線香をあげたいと他人が頻繁に訪れ自宅にいるのも落ち着かない。
    さらに、義理の両親たちは自分たちの老後をみるのが当然のような態度。
    そして、周囲に自分の事を監視されているかのような生活。
    さらに、さらに、亡き夫はある女性に結婚前から送金をしており、その愛人らしき女が彼女の前に現れる。
    そんな中、彼女は義理の両親たちとの縁を切る決意をしー。

    主人公の女性と共感できる部分が多かった。
    あまりにリアルで身につまされるような話・・・。
    前半はとにかく亡くなった夫やその両親たちの身勝手な態度に腹が立った。
    最後はきれいにまとめたな・・・という感じだけど、前半がそうだったのにちょっときれいにまとまりすぎのような気がする。
    大体、義理の両親との縁を切る手続きをとった事を言った際やその後、もっとなんやかんやあるのでは?と思ったけど、結構あっさりという印象。
    ・・・と言っても、義理の母親の態度には何だかんだと腹が立つばかり。
    いくら自分の息子の家で合鍵もってると言っても電話の一本もよこさず来る?
    しかも、自分の友達なんて引き連れて・・・。
    そして、謙遜だかなんだかしらないけど、嫁をけなすような事を言って・・・。
    普通ならもうここで縁を切ろうと思う。
    最初「やさしい姑」と主人公は彼女の事を称していたけど、読んでいる限り、どこが?と思うような所ばかりだった。
    それなのに、もううんざりきて縁を切ったはずなのに、どこか悪い事をしたような気になるなんて・・・。
    そういう風に中途半端な優しさをもつ人間って、結局自分で自分を苦しめてしまうんだよな・・・と思う。
    自分を含めて。

    以前、夫が亡くなった後、義理の親との縁を切る公的な手続きについて、テレビのコメンテーターがそういう事をする人に対して批判的な事を言ってたけど、そうとばかりは言えないでしょ、と思った事がある。
    夫がいなくなった後もつきあいを続けられるかどうかはそれまでの関係やお互いの良識によるものだと思うし、人は自分の幸せを第一に考えて生きていいんだと私は思う。
    この本を読めばそういう思いを抱く人がちょっと増えるかもな・・・と思った。

  • 家で読むにはいささか不謹慎?なタイトルで(笑)
    夫がぎょっとしてました。
    嫁をやめる日は、死別する時か、離婚する時でしょ。って当然のことのように思ってたけど、
    そうではない事情とともに、物語が進む。 
    人間のエゴとかズルさを描きつつ、当人なりのそうなってしまう事情も交え、多角的に人物を捉える著者の視点にとても好感を持ちました。
    主人公の父が最高!!


  • 役所で「姻族関係終了届」用紙をもらおうとしたときの、最初の役所の人の対応が印象に残りました。「死亡届を出せば届け出は完了ですよ」と。

    その人は若い男性でした。これは、この制度がまだ世間に浸透していないことを敢えて作者が表現していると思いました。とくに男性が、嫁がその立場に不満や疑問を抱えていることなど全く考えが及んでいないと。なんともうまい手口だ!

    未亡人になって比較的早い段階で男女の関係がでてきて、そこはちょっとやな感じがしました。が、「じゃあ未亡人になったら、いつから次の男女交際はしていいのか?何日経った後ならいいんだ?」っという新しい疑問が湧いてきました。

    最後は「縁」に感謝しながら、元姻族と良い関係を築けています。そこは主人公に拍手です。

  • 急に嫌なところが見えてきた姑にはイライラしたが、悩んだ末の決断が清々しくかっこよかった。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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