- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120052712
作品紹介・あらすじ
「ポリアモリー(複数愛)に理解があること」が条件のシェアハウスで暮らす四人の男女。たがいの愛のありようをはかり、揺れ動く感情に翻弄されつつ、表面上は日々はおだやかに過ぎていくが……。気鋭の書き下ろし小説。
感想・レビュー・書評
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本書で「ポリアモリー」(複数愛)という言葉を初めて知った。ポリアモリストのシェアハウスが舞台とのことで、どういう展開になるのか予測できず読み進めていったが、シェアハウスに住む男女4人の醸し出す空気感が心地よく、一気読み。
一口にポリアモリストと言っても、様々な考えの人がいるだろう。すごくフリーダムな印象があったけど、むしろ誠実に人と向き合うことができないと、関係を築くことはできないのだと知った。
個人的にはシェアハウスの暮らしの場面が大好きで、特に住人の黎子が作る料理の描写が最高。(フード描写にそそられる作品は、ポイント高い。)
そんな4人の関係が、後半からぐらりと揺らぐ。少しずつ明らかになる、登場人物の過去。描かれるテーマの一つ一つがなかなかに重く、それだけで小説のメインに持ってこれそうなほど。
つまらない常識に縛られず、でもお互いの生き方を尊重しながら、踏み込みすぎずさりげなく寄り添いながら暮らすこと。その意味を考えさせてくれる作品だ。
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ポリアモリー(複数愛)という言葉ははじめて。話の主軸ではないが、ところどころに出てくる食べ物がすごく印象に残った。良成のたい焼きも、黎子さんの手料理も、千瀬ちゃんの金鍔もみんな食べたい。
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わたしは好きでした。奥田さんの書く話が好きなのであらすじなど何も知らずに、こう言う話だと思わず手に取ったんだけど、好きだった。まさに、愛の色いろ。複数愛。黎子の気持ちが一番わかりづらかった、そう言う思考ではないわたしからしてみれば。良成は離婚と親権争いでどこかのネジが外れたのかなって感じ、千瀬は切なくて。本当にいろいろある、少し枠からはみ出ると、外からはカルトに、コミューンに、見える。
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穏やかな結末。題名が染み入ってくる感じ。愛の形は人それぞれ。
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【ポリアモリー】という言葉を私はこの本を読んで初めて知りました。意味は複数の人を同時に誠実に愛するライフスタイル。
この小説はそんなポリアモリスト(複数愛者)であることが入居条件のシェアハウスで暮らす男女4人の物語。それも相手は異性だけとは限らない所も多様性の現代を象徴しているようなお話でした。
悟郎さんは両親がカルト教団に入っていた事がポリアモリストになった原因の1つなんだろうけど、千瀬ちゃんは嫉妬もするし独占欲もあるからポリアモリストにはなりきれなかったのかな。
世の中には色いろな愛の形があるのですね。
奥田さん2冊目でしたがなかなか斬新な内容。他の作品もまた手に取ってみたいです。
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複数愛者は前から知っていた。自分がするしないに関わらず相手の話をきちんと受け取る訓練って大事だよなと思う。閑話休題。一夫多妻制のある国は奥さんを平等に愛さないと総スカンを食らうそう。愛と聞いて家族愛、恋人、推し、まず何を思い浮かべるか
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装丁画の絵の具がべったりついてるの、実物はもっと綺麗です。
複数愛者か…世の中にはまだまだ知られていない愛の形がたくさんある…。 -
同時にひとを幾人も愛せるのか?
家族なら愛せるなー。
既視感しかなくて読み進めたけど、唐揚げが「豚こま」ってところでやっぱりこれ読んだことあるー!ってなって、最後のページのほうを繰ってみたら、やっぱり、なー、となりました。 -
奥田亜希子さんの繊細な心理描写が好きで手に取ったけれど今回はハマる事が出来なかった。
伍郎が始めたシェアハウスで生活を共にする良成・黎子・千瀬。
このシェアハウスで暮らす条件は複数愛者である事。
LGBTの知識はあったが、ポリアモリー(性別、年齢関係なく複数の人と「きちんと」関係を築く性愛スタイル)と言う愛の形がある事を本書で初めて知る。
中々踏み込んだテーマであるが、特に大きな盛り上がりもなく、終始淡々と進んで行くので退屈さを感じてしまう。
世の中に色々な愛の形がある事に驚きつつも感情移入出来ず物足りない読後感。