四神の旗 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120052965

感想・レビュー・書評

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  • 藤原不比等を取り上げた前作が面白かったので手にとってみたこれは不比等の息子たち武智麻呂、房前、宇合、麻呂の俗に言う藤原四兄弟の話。偉大な父親の遺志を継いで権力を掴んでいく過程を描いている。四兄弟の祖父にあたる中臣鎌足が蘇我氏を倒してくれたあとなので大物と言えるのは皇族たち、特に長屋王だけで彼といかに対峙しどう排除したのか、という物語。武士が主人公の歴史モノと違って貴族による闘いなのでどうしても陰険というか...腹のさぐりあいであったり讒言であったり、というじっとり感は拭えない。そこが面白い、と思える人であれば楽しめるのかな、という気はした。長屋王から藤原四兄弟~橘諸兄~恵美押勝~藤原氏の復権という権力闘争の流れだとかその前の時代、大化の改新と壬申の乱ではじまる飛鳥、奈良時代の歴史は実はかなりの激動でもっと掘り下げていくと楽しめるかな、という気がしている。ちょっと残念なのは主人公が4人いるような感じなのでちょっと散漫になったところと結末が少しバタバタと蓋閉められちゃった感じなところかな。

  • 長屋王派(?)だった私には、とても新鮮でした。
    藤原四兄弟をついつい一緒にまとめてしまって、長屋王の怨念で亡くなった方々位にしか思っていなかったのですが、不比等の血を受け継ぐものとしてのそれぞれの個性が丁寧な描写で描かれておりました。政を指揮する絶対的な存在の薄いこの数年は、疫病も流行りつらい時代だったのでしょう。色々思うことはあります。

  • 馳星周さんの歴史小説で四神(東西南北の四方を守る神)の青龍(東)、白虎(西)、朱雀(南)、玄武(北)の四神を藤原四兄弟に重ねてのタイトルで興味を持って読む。
    時は平安時代、飛鳥時代の藤原の鎌足を祖として一時力を落とした藤原家は、藤原不比等の力で朝廷内で力を付け復興を遂げるが、理想の継続的な繁栄の為、皇族との血縁繋がりを狙うも天皇輩出迄に至らず道半ばで四人の子供(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)に託す。武智麻呂は中納言、房前は内大臣として若く継いだ首皇子を補佐する朝廷の重役として不比等の夢を継ぐ。首皇子の次なる世継ぎとし藤原の血を引く安宿媛に念願の男子が誕生する。4人は藤原家の世にすると言う共通の野心を持つが、其々の立場、性格での葛藤を抱えながら国の中枢で渦巻く謀略を進めて武智麻呂は、次期皇子候補で朝敵の左大臣-長屋王を陥れ自害させる。首皇子と安宿媛の念願の男子が疾病で亡くなり、藤原の策略にも暗雲が。。最後は、武智麻呂、房前、麻呂も次々に疾病で夢半ばで倒れる。

    余り興味も知識も無かった、武士の世の前で朝廷が力を持っていた時代、武力とは違った調略戦で上り詰めようとする内容も中々面白く読めた。
    何時も時代も皇室男系継承の重みを感じる、藤原一族は古い慣しを壊しながら一族ので永遠ので繁栄を夢見るが女系天皇迄はさすがに踏込なかったか?
    世継ぎ問題のベースは。この時代から脈々と受け継がれていると思う。

  • 藤原四子が主人公とはちょっと感慨深い…というか、長屋王を善玉、藤原氏を悪玉にする創作の影響がいままで強すぎた。
    木本好信氏の著作にアイディアを得たらしく、武智麻呂と房前の間に確執がある設定。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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