古文書返却の旅: 戦後史学史の一齣 (中公新書 1503)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121015037

感想・レビュー・書評

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  • このような本を出されていることからも、筆者はじめ古文書返却に携わった方々が、貴重な資料を借りっぱなしのまま放っておいたことを深く反省されている様子は伝わってくるが、あまりの管理のずさんさに正直びっくりした。返却に行った先では持ち主の方々はみなさん快く迎えてくださったようだが、返却を待ちながら亡くなった人々は一体どんな気持ちだったろうと胸が痛くなる。様々な研究がこれらの古文書をもとに大きく進んだことは間違いないが、資料としてだけではなく祖先から受け継がれた物としての大切さを理解して取り扱わねばなと思った。

  • 水産庁が海洋史編纂事業を頓挫させて、全国から多くの古文書を預かったまま放置をした
    筆者は、その返却作業の徒然に考えさせられるのだ

  • 借りたものは返す。失敗史というあまりないものに惹かれました。

  • 今年の夏に史料管理の実態等についで学ぶ機会があったので。
    いろいろ事例があったけど、所蔵者の方との関係がとても大切ってことが、ここからもよくわかった。

  • 中央で書かれたものには出てこない、そんな地方の古文書を研究のために借りていたものを、まさに返す旅。
    このような形で地道に研究がされていること、そしてその研究対象である古文書が、実は返却されていないという想像以上の扱いを受けていることに驚く。

  • たまたま1年半前、網野氏の遺志を継ぎ、古文書の返却を続けている日本常民文化研究所の田上研究員の記事を新聞で読んだ。
    見出しは「古文書返却終わらぬ旅」。
    その後に網野氏の著作を読み、その歴史観に脳みそ総動員で感動を覚えた。
    そしてたまたま、店頭でこの本を見かけぴぴっときて購入。

    古文書がどのようなものなのか。
    一体それをどのように読み解き、データとして蓄積していくのか。
    そもそもそんな古文書があるような、地方の旧家ってどういう人たちの集まりなのか。
    色々と自分の暮らしてきた環境とはかけ離れてて、興味がふつふつと沸いた。
    きっと、網野氏らの手に渡った資料は幸せで、今も日本中に眠り、朽ちかけている資料も大量にあるに違いない。

    もし、この本を高校生の時に読んで、
    今と同じような感想をもったならば、
    経済学部ではなくて文学部に進んだのだろう。

  • 2006/9/20読了

著者プロフィール

1928年、山梨県生まれ。1950年、東京大学文学部史学科卒業。日本常民文化研究所研究員、東京都立北園高校教諭、名古屋大学助教授、神奈川大学短期大学部教授を経て、神奈川大学経済学部特任教授。専攻、日本中世史、日本海民史。2004年、死去。主な著書:『中世荘園の様相』(塙書房、1966)、『蒙古襲来』(小学館、1974)、『無縁・公界・楽』(平凡社、1978)、『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)、『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980)、『東と西の語る日本の歴史』(そしえて、1982)、『日本中世の非農業民と天皇』(岩波書店、1984)、『中世再考』(日本エディタースクール出版部、1986)、『異形の王権』(平凡社、1986)、『日本論の視座』(小学館、1990)、『日本中世土地制度史の研究』(塙書房、1991)、『日本社会再考』(小学館、1994)、『中世の非人と遊女』(明石書店、1994)。

「2013年 『悪党と海賊 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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