承久の乱-真の「武者の世」を告げる大乱 (中公新書 2517)
- 中央公論新社 (2018年12月19日発売)
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感想 : 61件
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- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121025173
感想・レビュー・書評
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フィクション『実朝の首』を読んだことが切っ掛けで本書を読む。2018年12月に出版された本書を読めたことは幸運と言える。歴史学者の視座で、後鳥羽上皇が院政を執るに至る経緯を丁寧に書き起こし、続いて実朝暗殺という史実から、本論である承久の乱へと続く道程がとてもよく分かる。勝敗の分析も良い。武家が日本を支配する世の大きな一歩となる出来事だが、その武家は徳川でさえ300年しか君臨できなかった。日本人の精神の中に、無条件で天皇という存在を肯定する何かがあるのか、その大きさを改めて感じた。
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東2法経図・6F開架:B1/5/2517/K
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面白かった。
公武の力関係が逆転した決定的な事件。
本著では、合戦の勝敗を客観的に分析しており、勝敗を左右した点として、後鳥羽院の東国武士に対するリアリティの欠如が指摘されている。
鎌倉を本拠とする北条義時に対して、周辺の武士を多く味方に付けることが勝敗のポイントであったが、後鳥羽は東国武士を惹きつけるだけの魅力的な褒美(インセンティブ)を提示しなかった。
一方で北条義時方は即座に魅力的な褒美を提示した。このため、東国武士の多くが北条義時方につき、敗れたということである。
現場のリアルを理解し誘導する重要性はいつの時代も普遍的であることを教えてくれた。