都会の鳥の生態学-カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書 2759)
- 中央公論新社 (2023年6月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121027597
作品紹介・あらすじ
都市を舞台に繰り広げられるカラスと猛禽類(オオタカやハヤブサ)のバトル、人と共存してきたスズメやツバメの栄枯盛衰、都市進出の著しいイソヒヨドリ――本書は、これら都会に生きる鳥たちの生態を通して、都市とは何か、都会人とは何か、変化する鳥と人との関係などを紹介する。都市環境に適応して生きる鳥たちのしたたかな生態を解説するとともに、巨大都市東京の変貌をひもとく、都市の自然誌でもある。
感想・レビュー・書評
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都会に住む鳥たちの生態を詳しく教えてもらうことで、日々歩く道の風景さえ変わって見える!
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街中での鳥の観察が楽しくなります。
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◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD02622787 -
郡司ペギオ幸夫さんの本で苦しんだ(笑)ので、鳥つながりの本書で少し気分を変えてみた。
(噂によれば郡司さんはペンギン好きが高じて、息子さんに「ペギオ」と命名しようとしたというが反対され、ご自身のペンネームにしたというのは本当だろうか?)
タイトルのごとく、本書は都市(主として東京、千葉周辺)の鳥を取り上げる。
そのため、さして鳥類ファンでもない(というか鶏は怖いと思う程度の)自分にもおなじみの面々が次々に登場する。
ツバメ、カラス、スズメは章立てして、しっかり論じられる。
カワウ、カイツブリ、コアジサシ、コブハクチョウ、カモメらの水鳥も、ハヤブサ、チョウゲンボウ、オオタカ、ツミ、フクロウの猛禽類も登場する。
著者は長年都市鳥の観察を続け、都市鳥研究会の代表も務める方だけに、データもネットワークも幅広い。
そうした豊富な事例を通して、経年変化も描き出される。
人間の生活の変化に合わせて、鳥たちも大きく暮らし方を変えている様子が見て取れるのが興味深かった。
バブル経済崩壊後しばらくまでは、とにかく東京にカラス(ハシブトガラス)が増えていた。
それは彼らの餌となる生ごみが多く、しかもあまりうまく処理されずに廃棄されていたため、繁殖が進んだからだったそうだ。
それが、経済の変化で餌が減ったこと、ごみが荒せないように捨てられるようになったこと、そしてカラス駆除の成果で、東京のハシブトカラスが激減する。
それと入れ替わりに、里山に住むとされるハシボソガラスが都心近くに進出してきたり、カラスを餌とする猛禽類が都心に住むようになったり。
わずか数十年でそんなにも変わるのだと驚いた。
渡りの時期、巣の位置や、出入りする時間、親鳥の給餌方法などが紹介されていく。
これだけの観察を続けていくのは、本当にすごいことだと思う。
しかし、筆者は、観察中に近所の人に怪しまれた、という笑い話も加え、全体のトーンとして、鳥が大好きな先生の楽しい話を聞いているかのような雰囲気がある。
2023年の読書納めとして、なかなかよかった。 -
都会に暮らす鳥たちの生態についての長年の研究の成果がまとめられている。私は、さすがに猛禽類と会うことはないけれども、ツバメやスズメ、カラスなどはよく目にするなじみのある鳥だ。しかしその生態については意外に知らないことが多い、そう実感させられる本であった。特にツバメは、思い返してみれば巣で雛に餌を与えるあの場面しか目にしたことがなく、何も知らないも同然、巣立ちの後の渡りに向けた行動や、営巣のあれこれ、渡りの時期が早くなってきていることなど、興味深い話が多く書かれていた。さてこれから人と鳥の関わり合いはどのように変化していくのであろうか。ああ、故郷の空にはトビが当たり前のように旋回していたなぁ。
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はー、こりゃ面白いわ。知らなかっことばかり。みんなも読みなさい。
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街中で子育てを終えたツバメは、秋に南国に戻るまでの間、どこにいるのか、というと、本書によれば、川中州のヨシ原など、とのこと。ネコやイタチやヘビが近づきにくくてよいらしい。
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カラス、ツバメ、スズメ等から最近の猛禽類の都会への適応まで。都会の環境にたくましく生きる鳥の生態を追った楽しい一冊。
そういえば一時期よりカラスを見ないた思っていたら意外な理由。カラスよけネットだけでなく、超高層ビルを岩場と同じように生活の番とした猛禽類ハヤブサやオオタカの存在があるという。
あえて人間の生活空間の近くに巣を作り天敵から身を守るツバメやスズメ。
その他、都会に暮らす鳥の意外な生態を写真も豊富に解説した楽しい一冊でした。 -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/565733