文化人類学入門 (中公新書 560)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121905604

感想・レビュー・書評

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    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    文化人類学の入門書
    文化人類学がどのような学問なのか、どのように研究されているのか、どのような研究分野があるのかが書かれており、各研究分野については広く浅く基礎知識が解説されているため、非常に面白かった。
    内容は色々と関心しながら読み、新たな見識も増えたので読んで非常に良かったという満足感があった。
    また、さらに文化人類学を深く知るために参考書や大学で文化人類学を学びたい人への紹介があることも好ポイントだ。

  • 兼ねてから文化人類学について興味があり、入門書として読了。グローバル化などによる影響から、社会の変革のスピードは大規模かつ急速に進んでいる。そのような現代において、文化・民族・伝統がいかにして適応していくかを考えさせられた。

    また、最後に付属的に書かれている「学問・研究の意義」にも共感させられた。どんな行動であれ、伝統的な文化に接することは、我々の所作や言葉によってそれを破壊してしまうという可能性も内包している。

  • 授業の参考書籍

    手始めに読んでみた。この学問がどんな学問でどんなことを対象にしているのか、書かれていた。

  • 無文字文化を理解するために、
    フィールドワーク(観察と面接)を行い、
    他との比較により差を見つけだす学問。

    そのため、
     観察者の主眼がはいってしまうこと
     観察、面接以外の武器がないこと
    などが問題になる。

    このあたりは、気をつけたい。


    とくに前半が面白く、
    言語が人と動物をわけ、
    他社とのコミュニケーションができ、かつ、
    記憶と思考を助ける。
    このため、文化ができていく。

    という、サピエンス全史の理解も深まった。

  • 2017/01/08

  • 著者:祖父江孝男(1926-2012、文化人類学)

  • やっと読めた。文化人類学で調査する側は話を聞いて伝えてそれだけで問題を解決してくれるわけではないということはドキュメンタリー製作においても同じであり、調査される側の思い、視点を持っていなくてはいけないわけで。学問に何ができ、なぜ必要なのかということは問われ続けるだろうな。
    そして今いろんな文化がぶつかり合っているなかで文化人類学が何をできるのか、より考える必要があるのではないか、と思うのですが。

  •  人間という種に特異な事項が叙述対象の場合は、面白い指摘も多い。特に、宗教や文化面。
     しかし、無文字文化の変遷を、合理的証拠・根拠で解明することの困難さからだろうが、余りに推測範囲が広すぎ、どうにも首を捻ってしまう箇所が見受けられる。また、文化面とは異質な領域、つまり①石器・火の使用・狩猟採集経済といったホモ・サピエンス特有と言い難い領域、②進化過程から見て、類人猿や古人類(特にホモ・ハビリスなど)との連続性を考慮せざるを得ない領域、例えば、家族関係、子育て、性交渉(男女関係)では正直、疑問符しかつかなかった。
     現在、あるいは調査記録が残存しているところにおいて、各地域の比較分析は可能と感じるが、その淵源や変遷を証拠立てつつ検討するのは、かなり困難のように感じる。
     また、例外が多すぎて(特に婚姻や家族制度)、むしろ、経済や生計確保の方法論の比較、定住性の異同、他地域との交流頻度など、分析対象の本質に迫っていないもどかしさを感じた。
     実地調査で判明しうるのは、精々200年くらいじゃないのかなぁ。まぁ考古学的知見で埋め合わせするのだろうが…。

     著者は国立民族学博物館教授。1979年刊行。

  • 約30年前の本だが、文化人類学の概観をテーマごとに知ることができる。文化人類学は、(語弊があるかもしれないが)そこから人間の普遍的な有様を描写することができるなと感じた。

  • 【目次】
    まえがき(一九七九年一一月 祖父江孝男) [i-iii]
    改訂にあたって(一九八九年一二月)[iv-vi]
    目次 [v-ix]

    第一章 文化人類学の世界 002
     文化人類学とはどんな学問か?
     アメリカにおける区分法
     英国における区分法
     ドイツ、オーストラリアの区分法
     日本における区分法
     民俗学と民族学
     この分野の歴史と変遷
     フィールド・ワークとマリノフスキー
     日本における研究の歴史
     無文字文化と文明――ひろがる研究の範囲
     文化人類学の諸分野
     人種と民族――人類学の基本概念

    第二章 人間は文化をもつ 025
     人間の特色は言語をもつこと
     動物の鳴き声を分析すれば
     人間の言語の特色
     言語の役割 その一 ――コミュニケーション
     言語の役割 その二 ――記憶と複雑な思考と人間だけがもつ文化

    第三章 文化の深化・文化の伝播 043
     一九世紀に始まった文化進化論
     モルガンの社会進化論
     進化論にかわって登場した伝播論
     民話・神話にみられる文化伝播の例
     イースター島の謎
     先史モンゴロイドの拡散
     ふたたび進化主義を考える

    第四章 経済の技術・生活の技術 062
     狩猟と採集から始まる人間の生活
     狩猟の規模によって異なる生活の形態
     狩猟採集の社会――発展は抑えられる
     農耕の起源――根栽農耕と穀物農耕
     穀物農耕ではじめて安定した人間の社会
     日本の場合はどうだったのか?
     ナラ林文化
     牧畜民の世界
     クラ
     生活の技術を考える――衣服の場合
     衣服の起源は羞恥心か?
     装飾・性と身分の強調
     非合理性のからんだ衣服の起源

    第五章 言語――その構造分析 086
     音声の知覚で分かれる日本のなかの三地帯
     音声と音素
     音声学と音素分析
     形態素という概念
     エティックの立場とエミックの立場
     言語の系統――比較言語学の分野
     日本語の系統
     サビア・ウォーツの仮説
     非言語的コミュニケーション

    第六章 婚姻・家族・親族 115
     原子乱婚制度と原始共産制説
     モルガンの方法における誤り
     一夫一婦制と一夫多妻制
     一夫多妻制家族
     婚姻後どこに住むかの分類
     定位家族と生殖家族
     父系制・母系制その他の出自
     母系制における人間関係
     リネージと氏族
     日本の同族
     イトコ婚とレヴィ=ストロース
     日本のイトコ婚
     レヴィレート婚とソロレート婚
     冗談関係と忌避
     冥婚・幽霊婚・位牌婚

    第七章 超自然の世界――宗教と儀礼 149
     宗教の形態
     アニミズムとアニマティズム
     宗教と呪術
     呪術の種類
     妖術
     ナヴォホ族の妖精
     日本にある妖術――憑きもの信仰
     シャーマニズムの世界
     日本のシャーマニズム
     シャーマンと両性具有

    第八章 文化・心理・民族性 169
     無文字民族の心理学
     ケンブリッジ大学調査隊トレス海峡へ
     ベネディクトの文化類型論
     パターンからエトスへ
     ミードの諸研究
     「文化とパーソナリティ論」の誕生
     四〇年代の研究におけるフロイドの影響
     『菊と刀』にもみられるフロイド学説
     民族性を形成する要因
     心理テストの使用
     文化と精神異常

    第九章 文化の変化がもたらすもの 194
     アカルチュレーション
     文化変容のさまざまな型
     北米インディアンに対する統治政策
     相対主義と絶対主義
     文化変容をどう評価するか?
     日本における文化変容の諸事実
     ゴースト・ダンス
     カーゴ・カルト

    第十章 残された諸問題 215
     現在関心を集めている諸領域
     神話の構造分析
     象徴人類学
     認識人類学
     都市人類学
     医療人類学
     映像人類学
     フィールドワークについて
     調査者はどこまで客観的にたりうるか?
     調査される側の論理
     研究の倫理
     文化人類学の目的と役割

    付録・文化人類学を学びたい方のために 238

    参考文献 [271-279]
    索引 [280-289]

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