スカイ・クロラ (中公文庫 も 25-1)

著者 :
  • 中央公論新社
3.62
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本棚登録 : 7148
感想 : 707
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122044289

感想・レビュー・書評

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  • 閉塞的な世界観が好きだなぁ


    読後に感じた現実味に、少しの恐怖と驚き

  • 読後感が好き。

  • 死んでも、記憶はないけど、また複製されて同じようにパイロットとして戦うのならば、いっそのこと終わらせてしまったほうがいい。
    自分は誰を殺したのか、自分を殺した人間は誰なのか、それすらないから、生きていることが希薄になっていく。
    草薙は前の函南(栗田)を殺して、函南は草薙を殺した。
    それが、互いに覚えているということが、彼らに生きていたという実感を与えるという皮肉は、とても悲劇的だ。
    函南と草薙は、複製されても同様に殺し合うことを繰り返すかもしれない。
    この繰り返しに、なにか変化はあるだろうか。
    そんなセンチメタルな感覚にとらわれる作品だった。

  • 戦争がビジネスとなり民間軍事会社に委託される世界を描いたSF小説、スカイ・クロラシリーズの第1巻です。
    1巻目ですがシリーズの時系列では最後の物語となり、映画化もされましたがそれとは決定的に異なる結末となります。
    一定の秩序は保たれつつも退廃的で不気味な雰囲気を持つ世界、戦闘機乗りの函南優一(カンナミ・ユーヒチ)を中心に物語は進みます。
    新薬実験で偶然誕生した思春期後に不老となる人間“キルドレ”と呼ばれるものがあり、彼もその一人です。
    事故死か病死か自死でしか死ぬことがないため、キルドレの死生観はどんどん簡潔になるか考え抜いて狂ってしまうかのどちらかであるようです。
    不老不死は人類の夢の一つと言えるかもしれませんが、もし技術の進歩により実際となった暁には寧ろ悩みが増えるだけのように思えました。
    矛盾を隠さず臭い物に蓋をしないカンナミの生き方は理想に近いのですが、ここまで達観するには人間性を削るほどの苦しみがあったのでしょう。
    読者によって十人十色の解釈や感想となるであろう考えさせられる一冊。
    2巻にも期待します。

  • 飛行機の操縦の図解とか見てから読んだ方が楽しめるかも

  • もりひろしさんの本、シリーズ一作目。
    淡々とかたられる描写には戦争という大きいものに対して何も知らないキルどれからの目線がしっかり書かれている。日常も含め後半に行くにつれどんどん判明していき(複雑さが)明るくなる感じがいい。
    ラストは衝撃だった。個人的に草薙水素が好きだからかも。

  • 【あらすじ】
    主人公は戦闘機パイロットのカンナミ・ユーヒチ。カンナミが配属された基地には4人のパイロットと指揮官の草薙水素がいた。カンナミは何度か出撃を重ねながらも淡々と日々を過ごしていた。
    カンナミの前任者クリタは、噂によると草薙に銃で撃ち殺されたらしい。キルドレである草薙はカンナミに「死にたい、君も殺して欲しい?」と言う。キルドレとは、戦争のために作られた永遠に生き続ける人間である。
    カンナミは以前いたクリタの生まれ変わりだった。草薙はクリタを愛していたため殺した。そんな草薙をカンナミは銃で撃ってあげたのであった。

    【感想】
    生と死について考えさせられる、何度も読んでいるシリーズ。小説と映画では草薙の結末が異なる。時系列としては5/6番目に当たる。

  • 自分のものになった瞬間に、手が出せなくなる。
    自分のものは、何も壊せなくなる。

    つまらないことに執着するのが大人の特性であり、特権であり、そして役目でもある。

    みんな、僕が早く死ぬことを祈っていただろう。つまり、それが、エースだ。



    前半は、物語の設定を理解するのに少し躊躇う。
    第3章くらいから引きこまれる。
    淡々とした、詩のような文章で主人公の気持ちを表現する。

  • 『スカイ・クロラ』再読3回目
    JKになってお小遣いアップした記念(?)で大人買いしたシリーズ。
    つぅ…とした感じで起伏があまりないストーリーが相変わらず心地よかった。
    確たる自己を持っていないのに周囲に合わせない主人公に魅力を感じてしまい読むにつれこんな人になりたいと毎度思う。

    2017.7.26(3回目)

  • 大人にならない子供「キルドレ」たちが戦闘機に乗り、ビジネスの戦争が行われるどこかの世界の物語。

    常に死と隣り合わせでありながら、乾ききった、ドライな感情。死への恐怖とは別の焦燥感。死と向き合うのではなく、見つめるのでもなく、ただそこに在るものを許容するか否か。
    「キルドレ」の秘密など明確に説明されていないので、ヒントを頼りに考察するしかないのだが、実際この物語で重要なのはそんなことではないのだろう。

    ※「ヴォイド・シェイパ」シリーズと比して、こちらは「死」を見つめて書かれているように感じる。完全に個人的な感想。

    *2008.2 *2016.7

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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