- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122044432
感想・レビュー・書評
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こんなんでも愚弟が大好きなんで、なんだか読むのが辛うなってしまいました。あんまり覚えておりません。
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時間を忘れて読み耽るような面白さがあるわけではないのに、いつの間にかこの作者の紡ぎだす世界に引き込まれてしまっている・・・。気持ち悪いくらいに生々しい描写も、静謐で透明な描写も、文章を読んでいる途中には素通りしてしまうのに、後からじわじわと沁みてくる・・・・うまく言葉で表せない不思議な感覚を感じます。
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病とか死とか
リアルよりリアルな描写
ちょっときもちわるいです -
主人公の女性の心の闇が伝わってくるようで、苦しく辛くなった。
精神を病み、強盗に殺された母、母の異常を恐れ離婚した父、残り僅かな命を静かな病室で全うしようとする愛しい弟、多忙すぎて午前3時にしか会えない夫。
彼女にとって、病室以外のものは全て汚れた有機質を含むものであり、大きなダストボックスに放り込んでしまいたい衝動に駆られる。
弟を介してしか関係のない抽象的な人間である一人の男性がなぜ心の拠り所となったのだろう。 -
小川洋子さんの本は沢山読んでいるのに、この処女作が収められた完璧な病室はまだ読んだことがなかった。
最初の作品だから、読む前は雰囲気や読みにくさとかあるのかと思ったけど、違った。
小川さんらしさ、寂しい感じ、残酷な感じ、グロテスクな感じがあり、入りやすかった。
完璧な病室が1番良かった。なんだかものすごく泣いた。
ダイヴィング・プールは胸がつまる。 -
短編集。
小川さんのお話は、いつも甘美て色っぽい感じがします。
残酷で登場人物達からは、生活臭みたいなのがしないんだけど、人間的なところがある…上手く言えませんが、そんな雰囲気でした。
どの短編も素敵です。 -
言葉で表せない出来事があり、言葉でしか現せない何かがある。
はっきりと見えているのに触ることができなくて、カタチはあやふやなのに重いとか…世の中には不思議と理屈で捉えられないものがある。
ひとつも断定的に語られていないせいで、いくつもの可能性を思い描いて奇妙な気持ちになる。
無関係なはずがとても共鳴してしまう。
ひやりと怖くて、ファンタジーにも思えるのにやっぱりシュール。
この世界感にしっとりと沈むのが心地よい。 -
やっぱり喪失がテーマの小川氏。ただ、初期短編集ということで、最近の作品よりはもう少し生臭さがあるように感じられました。もちろんそれは作者の意図するところでしょうけれど、初期には生臭さと表裏にあるどこか透明な感情や不安定さを描いていた人が、最近では生臭さを廃した硬質な透明さ(と喪失)を表現していることが興味深いです。
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洋子さんの書く、壊れかけた家族像は好きです。
静謐で温い、透き通った愛情とか、生々しい生活の彼処にあるもの・音とか。