補給戦: 何が勝敗を決定するのか (中公文庫 B 14-10 BIBLIO S)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046900

感想・レビュー・書評

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  • 《16-17世紀》
    ・補給とは現地調達であった。補給線という概念は無い。
    ・補給(略奪)のために移動しなければならなかった。
    ・河から遠い場所離れた場所を攻撃する事は困難であった。大砲などの重量物輸送は水上輸送が効率的だった。

  • 兵站術
    軍隊を動かし、かつ軍隊に補給する実際的方法
    指揮下の兵士に対して、それなくしては兵士として活動できない1日当たり3000キロカロリーを補給できるか否かの問題

    16、17世紀のヨーロッパの軍隊は規模が増大
    補給は河川を利用するほうが容易
    食料を得るために絶えず移動し続けなければならない
    水路の支配が重要

    普仏戦争では鉄道はそれほど重要な役割を果たさなかった
    第一次世界大戦のシュリーフェン計画でも現地挑発だった

    第二次世界大戦のドイツ軍のソ連侵攻では、自動車化が進んでも鉄道の役割は依然大きかった。鉄道は電撃戦を支え得る柔軟な手段ではない。当時のドイツ軍がすべての資源を自動車化に集中したとしても、自動車輸送だけで対ソ戦を遂行できるとはいえない

    ロンメルの北アフリカにおける戦いの問題は、港湾の能力不足とアフリカ内陸地域での輸送距離の長さ

    歴史上、指揮官が政治状況や戦略状況の変化のため、理想的とされる数量及び種類に近い物資を用いて戦争を遂行することが不可能であった事実、そして、その事実によって指揮官に高い個人的資質が求められる。資質で重要な要素は決断力

    結局、人間の知性だけが戦争を遂行する道具ではなく、さらには、戦争を理解する道具でもない事実を認めることが重要

    リベラリズムの立場から戦争を論じる研究者
    「戦争の変遷」
    「軍事力の有用性」 『戦争の本質と軍事力の諸相』所収

    ジョン・キーガン
    「戦略の歴史」
    「戦争と人間の歴史 人間はなぜ戦争をするのか?」

  • 兵站とは戦争のインフラである『補給戦』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2013/05/post-8bf7.html

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    文庫&新書百冊(立花隆選)137
    軍事

  • 戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る。という言葉さえあるらしい

    兵站が戦争の仕事の十分の九を占めるという事実

    。。。経営「戦略」を語ってるのも素人なんかな。プロだったら資金調達とかサプライチェーンマネジメントの話をするのかな(そういえばApple CEOティム・クックはたしか物流出身)

  • ・戦争での補給の重要性は良く指摘されるが、では実際にはどのように重要なのか、を時代ごと(16世紀〜第2次世界大戦)に解説。

    《16世紀〜ナポレオン戦争》
    ・軍隊は純粋に、戦略/戦術の理由で活動できる訳ではなく、実際には糧食(人、馬)の都合で、合戦場所が決まる事が多かった。
    ・特に、馬は人の10倍もの食料(かいば)を必要とする為、本拠地から補給物資を輸送するという発想は非現実的だった。
    ・逆に、弾薬の消費量はそれほど多くなく、最初に携帯した弾薬数で足りる事が多かった。
    ・つまり、補給物資のほとんどは食料(人、馬)なので、現地で手に入る為、わざわざ本拠地から補給物資を輸送するより、現地で調達(=略奪)する方が(軍隊としては)合理的だった。(=近隣の住民には迷惑)

    ・時代が下るにつれ、軍隊の人数が増えて大規模化すると、補給の問題も大規模化した(特に騎兵の場合、馬は人間の10倍の食料を必要とする点に注意)。しかし、現地調達の伝統を改めなかった為(輸送技術の問題で、改められなかった?)、軍隊は一箇所に留まることが非常に困難になり(周囲の土地の食料を食べ尽くしてしまう)、常に移動しつづけなければならなかった。
     →まるで飢えたイナゴの群れだ。
    ・補給食料の問題は非常に深刻で、行軍の進路についても、前回通ったルートは周囲の食料が枯渇している為、戦争の度に毎回異なるルートを通るほどだった。(ナポレオン)
    ・籠城する敵を攻める際も、過去に何回か攻められた城は、周囲が荒れ果て現地調達が難しいため、攻撃するのを躊躇するほどだった。
     →攻撃側の方が、防御側より人数を多く揃える必要がある。しかし、攻撃側が人数を多くする(=有利な点)と、その分、食料も多く必要になる(=不利な点)というジレンマ。


    《第1次世界大戦》
    ・弾薬など、食料以外の補給物資の消費量が劇的に増え、その結果、もはや補給物資を現地調達することは困難に。
    ・ようやく、本拠地、または補給基地から前線へ補給物資を輸送するという、現代人が思い浮かべる補給の形は、この時代のモノ。

    ・輸送手段として鉄道が登場。
    ・しかし、駅から前線の軍隊へは、相変わらず荷馬車しか輸送手段がなかった。
    ・また、鉄道は線路などへの破壊活動に弱かった。
    ・また、鉄道を効率的に運用するノウハウを持つ人材が乏しかった為、運行する列車の本数は少なかった。
    ・また、補給物資を送り出す駅ではどんどん送り出し、その結果、受け取り側の駅で補給物資は溢れ出して放置され、食料などは腐ってしまっていた。
    ・また、鉄道の有用性を理解出来ない将軍も多く、貨車を倉庫として使用していたりした。当然、列車の輸送本数は減る。
    ・結局、不足した補給物資を補うため、食料などは現地調達が行われていた。


    《第2次世界大戦》
    ・輸送手段としてトラックが登場。しかし、台数が少なく、輸送の主役は相変わらず鉄道だった。つまり、鉄道輸送の欠点は、さほど改善されていなかった。
    ・機械化師団で有名なドイツでも、意外な事にモータリゼーションの普及率は低く(自動車の普及率は70人に1人)。なんとか台数を集めた結果、車種などはバラバラだった。当然、補修する際は、多種多様な交換部品必要が必要となる為、メンテナンス効率は悪かった。
     →当時、世界で一番モータリゼーションが普及していたのはアメリカだった(自動車の普及率は10人に1人)。日本はとんでもない国に戦争をふっかけてしまったんだなー。


    《引用》
    ・ヒンデンブルクの金言、「戦争では単純さのみが勝つ」

    ・もしこのような略奪の連続が遂に一九一四年の第一次世界大戦勃発とともに破れたとしたら、その原因は戦争が突然人間愛に満ちたものに変わったからではない。弾薬や他の戦争必需品(その中には初めて自動車燃料も入ってくる)の消費量が膨大にふえた結果、軍隊がその補給物資をもはや現地徴発することができなくなったからである。一八七〇年の普仏戦争の時になっても、弾薬は全補給必需品のうち取るに足らぬ比率を占めているにすぎなかったが、第一次世界大戦の最初の数力月で弾薬対他の補給品の比率は逆転、第二次世界大戦では食糧は全補給物資の八ないしニーバーセントを占めるにすぎなかった。新しい必要物資は、基地からの絶え間ない補充でまかなうしかなかった。そのために、今や停止中の軍隊を維持するのは比較的容易になり、急速に移動中の軍隊を維持するほうがほとんど不可能になった。このような概念の逆転を理解するのに若千時間がかかったのは驚くに当たらない。

  • 一言で表すと、「戦争には補給が大切なんですけど、あんまり注目されてこなかったよね」という本かと。補給という観点からの戦史。歴史観。

    兵站術…軍隊を動かし、かつ軍隊に補給する実際的方法。
    各兵士に一日3000キロカロリーの補給を施せるか否か。

    広い意味の兵站術は、組織や社会で生活する私たちにも関係するものと言えましょう。(私が毎日の食事を記録していることは兵站術に寄与するかも)
    示唆に富んでいて面白い。

  • 読破。正直シュリーフェン計画とか興味は無かった。機械化された戦争の兵站に興味が有ったわけだが。しかし、一つの雑学として補給論を知るのもよい。なによりも興味深いのは一般に名将と知られるロンメルを兵站という視点で論ずるとあまりうまい戦いを行ってはいないということである。また、ヒトラーはあまりアフリカに於いて戦線を広げるつもりもないというのは面白。また、じっくり読みたい。

  • 戦争というとドンパチやってるイメージですが、兵站という観点から見ると、これもプロジェクトの一種なんだなあと感じます。歴史に疎いので細かい記述は読むのが少し辛かったです。

  • 補給が軍隊の行動、さらには戦争の帰趨まで左右するということに焦点を当てた名著。「軍隊は胃袋で行進する」

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