- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122056503
感想・レビュー・書評
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初・井上荒野。
75歳の静子さん。
軽やかな振る舞いで、なんでもお見通しのカッコいいおばあちゃん。
そんな静子さんにも、かつて「怒らなければならない理由」(=悪い猿みたいなもの)があった。
彼女は長年その猿と折り合いをつけ、あるいは猿なんかいない、と自分に思わせて生きてきた。
つまりは、とても見事な良妻賢母を、彼女は演じてきた。
夫の死とともに、夫の妻であることをやめ、自由を手にした静子さん。
スポーツクラブでスイミングを習い、
息子夫婦の危機を未然に防ぎ、
孫の彼氏とも友達に。
若くはない、と自覚しながら、でも
「新しい歌を知ることはできるんだわ」と呟く。
「自由であるためには、心強くあらねばならない」と分かっているからこその、軽やかさ。
いつか自分も手に入れたい。
そして過去を懐かしく愛しく
振り返りたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
静子さんのように日常生活を過ごしたい。
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すごく可愛いおばあちゃん静子さん。皆から愛されていて、でも多少の毒も忘れない。何となくバラバラになった家族をそれとなく元に戻したり。わたしが一番好きだった所は、通っているジムでコーチと会員の不倫の噂のビラが貼られていたときに、そのビラをカゴに作り変えて、ビラを貼っても全部カゴにしてしまう妖怪がいるから貼るのを諦めるだろうという考えでせっせとカゴを作るのが最高でした。
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ナイスヒットおばあちゃん
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好奇心旺盛な洒落たおばあちゃまの日常
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未亡人小説。
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静子さん…憧れる。
クールな感じ、芯がとおり、いい女 -
初読みの作家さん。
好きな作家さんがこの作家さんの新刊をお勧めされる際に、こちらも話題に挙げられていたので、こちらから手に取ってみた。
静子さんは、とても上品で気品のあり、機転も聞く方。家族やご近所、フィットネスクラブでのトラブルも目立たぬようにこそっと解決していく姿は読んでいて爽快であり、痛快でした。
自分も年齢を重ねていくうちにこんな風になれたらと思う一方で、静子さんの夫婦生活ではなくなったご主人に、苦痛を虐げられており、夫亡き後の「自由を生きる」覚悟が、静子さんを凛とさせている要因の一つなんだろうなと思った。
連作短編集で読みやすかった。 -
さらりと読み終わった。
年齢を言い訳にせず
品のある人生を私も送りたいものだわ。