- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122059603
作品紹介・あらすじ
長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽井沢の教会で逃亡犯を待ち受ける(「不審なプリン事件」)。『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役の、文庫オリジナル短篇集。
感想・レビュー・書評
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「プレゼント」は96年に刊行。それから18年後に刊行された本書では、完全脇役の新米刑事だった御子柴くんが、なんと主演を務めている。警視庁に出向していて、日々仕事の合間に上司のお菓子を調達をしていた。
葉村晶シリーズがあっという間に終わりそうなので、浮気して彼女のデビュー作から派生した本書を紐解く。よくある、仕事はできるけど実は甘味に異様に執着を持っている主人公という設定、というわけではない。彼は真面目で、かつ優秀な捜査員なんだけど、作者の趣味で甘味を登場させざるを得なかったというのが実態のようだ。あと味が良い方ではない事件が次々と起こるのだけど、電電くるみ餅や、酒饅頭本舗つるやの酒饅頭や、軽井沢プリンや、駒ヶ根ファームスの信州味噌ピッツァや、飯田屋飴店のあめせんべいなど、長野県名物の甘味が綺麗にあと味を甘くしていて、読者は読後コメディミステリを読んだ気にさせられてるというわけだ。かつて葉村晶と主演を分け合った小林警部補が、ほぼ声だけ出演だけど、必ず美味しい所を持っていくのでした。
まてよ、この設定ならば、警視庁への県警パイプ役の刑事ならば全国から来ているわけだから、岡山県警版もできるではないか?岡山には、廣榮堂の吉備団子だけがあるわけではないのですよ、皆さん。橘香堂のむらすずめ、落合羊羹、映画「三丁目の夕日」で本店がロケ地になった藤戸まんじゅうなど、お勧めの甘味がたくさんあるぞ!
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事件はビターというか、これだけ同情の余地のないものばかりなのも凄い。が、それでも温かくユーモラスなのは御子柴くん始め、玉森や竹花、小林警部補の人柄の良さ以上に、あとがきの若竹さんの適当キャラが好きすぎて、なるほど、これは面白いわ。
(111108さんに、敬意と友情を込めて)-
たださん
お返事ありがとうございます‼︎
あ〜よかった返事きて!笑い過ぎた上
「全然わかってなかったんかい٩(๑`^´๑)۶」と、見放され...たださん
お返事ありがとうございます‼︎
あ〜よかった返事きて!笑い過ぎた上
「全然わかってなかったんかい٩(๑`^´๑)۶」と、見放されたかと思っちゃいました笑
改めてレビューのスタイルに敬意を表していただきありがとうございます♪最低限5行くらいなら書こうかと思ったところから始めました。制限ないのにおさめるために無理矢理別の言葉に言い換えたり、書きたかったこと省略したりと無駄な努力?してます。だから後で読み返して訳がわからないこと多々あります。たださんのレビュー、内容ももちろんその時の気持ちがよく伝わってくる(そしてつられて読みたくなる)無駄な言葉なんてないレビューです♪
御子柴くんシリーズぜひ続編も楽しんでください。玉森って‥確か調子いい奴?だったかな?あとがきの若竹さんエピソードも何だろう?気になるので再読したいです。他のシリーズでは葉崎市シリーズおすすめします(^^)
2022/12/30 -
111108さん
ちょうど昨日まで五連勤でしたので(元旦からまた仕事です)、夜しか落ち着いて、お返事を書く時間が無かったので、毎回すぐに反...111108さん
ちょうど昨日まで五連勤でしたので(元旦からまた仕事です)、夜しか落ち着いて、お返事を書く時間が無かったので、毎回すぐに反応できず、ご心配させてしまい、すいませんでした(^^;)
111108さんのレビューは、ご本人が、後で読み返して訳がわからないと思われている中にも、こちらが想像して、こういうことかなって、あれこれ思わせる所に味というか、深みを感じますし、一種の職人芸のようですよ(^^)
玉森は、「低音ボイスのモヤシ」ですね。
最初は、御子柴くんのスイーツをすぐに奪って食べたり、彼のことを「長野」と言ったりして、嫌な奴だと思ったのですが、終盤は御子柴くんをフォローしたりと、優しい一面もあって、正義感の強い人だなと思いました。が、教会でのチロリアンハットみたいな、天然の要素もあるので、そうしたギャップ感に、とても惹き付けられました(^_^)
あとがきの若竹さんのエピソードは、「あれ、小林警部補なんてキャラいたっけ…」みたいな感じで、包み隠さず書かれている、その人柄に、とても好感を持ちました。
葉崎市シリーズ、有名ですよね。ぜひ、挑戦してみます。
ありがとうございます(^o^)2022/12/31 -
たださん
ありがとうございます。五連勤!の上、元旦からお仕事とのこと、本当におつかれさまです。いやいや、私なら完全寝落ちパターンです。こん...たださん
ありがとうございます。五連勤!の上、元旦からお仕事とのこと、本当におつかれさまです。いやいや、私なら完全寝落ちパターンです。こんな中お返事書いていただくなんて本当ありがとうございます!
職人芸?というか、想像して足りない所を補ってもらえる棚ぼた的レビューですね(^^)
「低音ボイスのモヤシ」なんか聞き覚えあるフレーズです。チロリアンハットの天然くんなのか‥やっぱり再読ですね!2022/12/31
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管轄を超えた犯罪、特に東京がからむことがおおい昨今。
地方の県警本部との調整役が、警視庁捜査共助課に常駐することに。
長野県警から出向になった、御子柴刑事の連作短編集。
『プレゼント』に登場した小林舜太郎警部補と御子柴くんコンビとのこと。
正直ほとんど忘れてしまっていたけれど、問題なく楽しめる作品。
軽いタッチでコミカルに進みながらも、展開はシュール。
そして、小林警部補が見抜く真相は、ブラック。
筆者らしい世界観。
スイーツがたくさん登場するので、甘いものが食べたくなる。 -
久しぶりの再読。
『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役。小林警部補と組んでいた時とは違い、警視庁と長野県警とを繋ぐ政治的な役割を担わされていて、そのためにあちこちからスイーツを手配させられて、本来の捜査以外のお仕事に振り回されている。
それでも毎回登場するスイーツは美味しそう。
最終的には元上司の小林警部補が探偵役となって御子柴君に真相を指南。小林警部補らしく謙虚にさりげなくではあるけれど、それで真相が明かされるのだからやっぱり小林警部補って名探偵。
元々は小林警部補を主役をする作品を依頼されたそうだが、若い御子柴くんを主役にしてくれたおかげで彼のキャラクターも明らかになったし、これはこれで面白かった。
最近シリーズ新作も出たようなので、そのうちに読んでみたい。 -
両親の出身が長野で毎年夏には帰省していたため、エセ長野県民を自称しています。好きな作家さんが思い入れのある場所を取り上げてくれる。こんな嬉しいことはございません。しかも葉山晶が初登場した初期の短編集「プレゼント」の脇役が主人公。懐かしさもこみあげてきます。
事件そのものはやはり楽しくはありません。問題を抱えた身内を切り捨てる家族に、どこまでも利己的な理由で罪を重ねる人々。ニュースで聞いたら一言暴言を吐き捨てたくなるようなケースばかりです。そこを鋭いユーモアとパシリ体質の御子柴くんのキャラクターが和らげてくれる。徐々に仕事面でも人間的にも成長してるんですね。またグルメの噛ませ方がよいです。御子柴くん本人がそれほど甘いもの好きなわけではないので、食べ物の名前がたくさん出てくるけどくどい説明にならない。これくらいの方が興味わきます。
本当の信州人には起こられるかもしれないけれど、長野の描写には「そうそう!」と頷き。いやそこは甘精堂でしょ!と拳を握り。知ってる場所が出てくると読書の楽しみ三割増。 -
あの葉村晶が登場する(らしい、未読)「プレゼント」という作品に登場した人物を用いた連作短編集。王道のミステリー短編だが、小道具として長野と東京のす名物スイーツが登場するのがもう一つの読ませ処。
最近、酒よりスイーツな生活をしているので、非常に気になるスイーツも多く。謎解き部分と合わせて非常に楽しめた。
なお、本歌「プレゼント」は読んでなくても全く問題なく楽しめる。 -
すごく読みやすい作品でした。
色々な甘味が出てきて、食べたくなりました。
事件の内容が甘くなくヘビーだなと思いました。
主人公の御子柴くんもよかったけど、個人的には小林警部補がお気に入りです。「なーんか変なこと思いついちゃった」ってお茶目な感じが素敵だと思いました。小林警部補が主人公の作品があることを知らなかったので読んでみたいです。 -
『プレゼント』の脇役小林警部補と御子柴くんが出てくるスピンオフ。
あとがきによると作者も忘れてたキャラなので、全く別物として読めます。
話もつながりはないし。
長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴くん。
甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されつつ事件に奔走。
スイーツは事件にめちゃくちゃ関係あるわけではないのですが、事件解決後に必ず各話タイトルに入ってるスイーツを賞味し、〆の台詞は最終話を除き「これはうまいわ」という、何と言うか時代劇のマンネリズムのような型のある作品集。
内容紹介ではスイーツといいつつ和菓子が多いのでタイトルは甘味なのかな。
ドラマ化したら郷土菓子の宣伝になって良さそうだけど、まだされたことはないみたい。
カバーイラスト / 杉田 比呂美
カバーデザイン / 中央公論新社デザイン室
初出 / 2013年4月~12月中央公論新社ホームページ掲載