- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122066571
作品紹介・あらすじ
2LDKのマンションを埋める数万冊の蔵書が雪崩となってくずれてきた。風呂場のドアが開かない。これは読書の快楽への罰なのか。抱腹、超絶、悪夢の本との格闘が始まる――。本好き、古本好き、積ん読派に恐怖と共感の嵐をまきおこすこと必至の随筆集。単行本未収録原稿を増補。解説・平山周吉
感想・レビュー・書評
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本が好きな人、いや、本を買い込むのが好きな人がこの本を読むと、ちょっと、本気でこわくなるかもしれない。
あなたが一人暮らしで、だんだん本が増えて行って、やがて、今そこでのんびり本なんか読んでる部屋から、ちょっとトイレ化なんかに入って、用を済ませて、ドアを開けようと思うと「開かない」、どうしても開かない。叫んでも誰も来ない。もう何時間、便器にこうして腰かけているだろう。
そんなことあるわけないでしょ。いやそれがあるんです。表紙をご覧になればわかりますでしょ。こうなれば、一番好きな○○に命を取られることになるわけです。究極のしあわせ。
そうなりかかった人がこの本の主人公です。何とか生き延びたようですよ。読みませんか?
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202005270000/
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本に埋もれる
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蔵書の山が崩れて部屋に閉じ込められたという体験談はおもしろいが、あまりに多いせいか本を乱雑に扱っている点がいただけない。
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お風呂に入った途端、入り口に積んであった本が崩れる。なにしろ、家中本が積み重ねてあるから、一カ所崩れると、それをかき分けるにもかき分けようがない。筆者はかくして風呂の中に閉じ込められることになるが、その間に考えたこと、やったことを書き連ねてできたのが本書。草森さんは本が大好きで本ばかり読んできた。本が崩れるというのは、愛書家にとって幸せなことなのか。ぼくも一時は本を研究室の床に積み重ねてきた。これは草森さんもいうように技術がいる。古本屋さんはこの点、天才だ。しかし、積み重ねると、下の方の本を取るのが至難の業になる。あげくのはては、諦めるか買い直すことになる。人はなぜ本を処分しないのか。それは、自分が歩んできた読書人生を振り返りたいからである。本が全部なくなったときにどうなるか、それはまるで自分自身の知的生活がゼロになるような気になるのではないか。内田樹さんは、本がない人の部屋を訪ねると,話のとっかかりがなくなると嘆いていた。草森さんは本を書くためにもたくさん本を買い読んできたが、本質的には読むのがすきなのだろう。そして、読んだ本たちに囲まれていることに至上の喜びを感じていたのではないだろうか。
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「随筆 本が崩れる」
久々の随筆もの。
草森紳一作品を初めて拝読した。雑誌編集者を経た文筆家とあり、多岐に渡るジャンルを手がけた書き手である。逝去後も著作が刊行され、本書は19作目と言う訳で、きっと著名な方なのだろう。表題に始まり、野球と喫煙に関する随筆を加えた作品集である。
本が崩れるとはどれだけの本を抱えているのだろうか。本棚に溢れている?倉庫を借りている?はたまた、まさかの段ボールに詰め込みですか?と思いながらページをめくったところ、なるほどどれも違った。一人暮らしにある洗濯物を山にしたアレの本versionが見事に鎮座している笑。凄い。確かに凄い。が、こりゃ崩れて風呂に閉じ込められてもしゃあないすわ先生、と言っちゃう。
よく一見ぐちゃぐちゃに物を持つ人は、いやいや、ちゃんとどこに何があるか分かってるのよ、と言うけど、本当に?と毎回思っていたが、著者も本の分類はしっかりされていると言うが、本当に??である。何がどこにあるのか分かると言うが、それは良く読む本のみに対してのことで、興味が無くなった本はどこにあるか覚えてないに違いない!と思うのだがどうだろうか。
本が崩れて風呂に閉じ込められるのは、大事に至らず良かったが、ちゃんと本棚を買ってくださいと余計なお世話で思っちゃったのである。本棚あれば整理しやすいし、見栄えよいし、何よりこんなに床に鎮座させちゃうと埃がたんまりになる。その埃が本に被らないようになると言うメリットがあるのよ先生!と誰かが著者の肩を揉み揉みしながら本棚を売り込むべきだった。
本筋から幾分離れてしまったが、随筆と言うと堅苦しいものをイメージしていたが、読みやすかった。きっと随筆にも色々あるのだろうが、逝去後にも著作が刊行される理由は読み易さにもあるのだろう。 -
偏屈な仙人みたいなじいさんが本に埋もれて暮らしていた、と思うとちょっとうらやましい
須賀敦子氏の「塩一トンの読書」を読んだ時と同じ、このくらいじゃないと本好き語っちゃだめかー -
数万冊の蔵書が雪崩となってくずれてきた。風呂場に閉じこめられ、本との格闘が始まる。共感必至の随筆集。単行本未収録原稿を増補。〈解説〉平山周吉