夫の墓には入りません (中公文庫 か 86-2)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066878

感想・レビュー・書評

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  • 夫が急死してしまった奥さんの、その後に発生する煩わしい出来事のお話
    義両親との関係、夫の死による日常の変化、夫の浮気疑惑、見知らぬ女性への援助の事実発覚等々

    夫の家が名家を自称する家柄ってのもあって、義両親がうざく思う部分がちらほら
    ま、フィクションで描かれる定番っちゃぁ定番だけど

    あと、田舎であるが故の煩わしさもある
    どこで誰が見てるのか、巡り巡って伝わってたりね

    最近のメルカリで離婚届が売られているとかって理由にも通じる、田舎特有の監視体制がね……
    「姻族関係終了届」を「死後離婚」とかって表現してる人もいるようだ
    作中でも言う人がいるように、「良い嫁」って表現がどんな解釈をしても好意的には受け入れられないなぁ
    子供に対して「良い子」って言うのは「自分にとって都合の良い子」の略というのと同じかな
    自分にとって都合のいい事をしてくれるかどうかってだけで、それを一般的な規範で語られてもねぇ
    ま、それは逆に嫁側が舅姑を評する言葉でも同じだけどね



    面白い発想だなと思ったのが、旅館の女将の餃子が焼きか蒸しかというエピソード
    これ、雑誌で読んだときに僕は気づく派だな、多分
    世の中、気づかない人は結構いそう


    夫婦のあり方とか、お互いの本音と口に出す事の違いとか
    もっと早くこの本を読んでたら、今の状況が変わったのかな?とか思わないでもないけど
    でも、以前に読んでいても、今とは違った感想を持っただろうからこの仮定は意味ないな



    一番よかったのが、お父さんが助けてくれるときの方針かな
    相手を否定するような事は言わない
    でも、自分の気持ちは伝える
    というところ

    日常でも誰かに何かして欲しい事や頼み事をする事もあるけど
    何をして欲しいかを言ってしまうと角が立つ事あるよね
    その判断基準として、「相手を否定していないか?」を考えるとうまく伝えられるかもしれない
    ただ、気持ちだけ言っても相手が読み取ってくれなかったり、見当違いの方に解釈してしまうので万能ではないんだろうけどね
    でもまぁ、手段の一つとして持っておくのはいいと思う

    この物語には根っからの悪人はいない

    義両親にしたって認識の違いであって悪意ではない
    昔、何かのドラマで「お嫁さんと仲が悪くなりたい母親なんっていない」というような台詞があった気がする
    そう、出発点は悪意ではないんだよ
    でも、それぞれの常識や認識の違い、お互いに望んでいることのすれ違いによって生じる感情が厄介

    いや、ホント、結婚ってめんどくさいよなぁ

  • 『嫁をやめる日』の改題だと知らずに手に取りました。
    という事で、実質再読。

    前回から2年経過。
    我が家の義父母、実父母との関係は変わっていません。
    とは言え、今回と前回とでは読後感は微妙に違っていた気がします。

    嫁という立場の難しさを感じます。
    自分がどこまで出来るのか、どこまでやりたいのか。
    ただそこには、夫が健在であるという事は必須で、そこがなくなっている場合はどうなのか。
    設定の絶妙さに、自分自身の答えは出せずにいます。

    私は夏葉子のような選択はしないかも。
    でも、それはそれで負担ではあるし。
    難しい問題ですね。

    物語のラストは、いつも通り主人公の明るい未来の見える終わり方で良かったです。

    ただ、改題には注意が必要は実感しました。

  • 「あなたの人生片付けます」が面白かったのでこちらも読んでみた。夫が亡くなった主人公が、姑やまわりの人に縛られるお話。都会と地方では感覚が違うなあというのが感想。以前、友人が転勤で田舎に行ったら、同じ嫁でも考え方が都会と田舎では違っていて、地方では「嫁はダンナの親の面倒を見るのはあたりまえ」と誰もが口をそろえていっていたそうな。家をまもるという意味ではいい面もあるのだろうが、そういう考え方の古い、新しいが実感できて面白いお話だった。

  • 「つぶしてもいい人間」「姻族関係終了届」、この2つは衝撃的なれど現実を捉えた言葉!

  • なんとなく、そうだよね、そんな単純じゃないよねというところ

  • 昭和?の常識を覆し続けてくれる垣谷美雨さん。さすがです。
    旧家に嫁いでしまった方、ご近所の方という監視カメラに縛られている方、是非読んでください。

  • これを読めば次から次へと、柿谷美雨さんの作品が読みたくなる作品です。

  • お父さんの世間知が深いところに共感。頼れる父が素敵。見習いたい。それにしても姻族関係終了届は知っておきたい知識だね。

  • 読みやすく面白かったです。
    姻族関係終了届…覚えておこう…
    ((φ(・д・。)

  • 垣谷美雨さんの話は他人事とは思えない身近な設定の女性が主人公で自分ごととして読んでしまう。
    ハッとしたフレーズ→悪人でなければ許容範囲、捨てても良い人。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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