夫の墓には入りません (中公文庫 か 86-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066878

感想・レビュー・書評

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  • 読みながらつくづく思ったのは、私も夫のことをほんと知らないな、ということ。
    ぼやかしておくのが優しさかと思っていたけれど、はっきりすべき時はズバッと聞くべきなのだろう。
    だって、明日永遠のお別れになってしまうかもしれないのだし。

    相手を責めず、自分を主語にして話すというのは、夫婦間はもちろん子どもに対しても言えると感じる。

    家族だからわかるよね?ではなく、家族だからきちんと自分の気持ちを伝え、相手の気持ちに耳を傾けて受け止める努力をしていきたいと感じた。

  • 旦那の急死、義母の過干渉、義姉の面倒、旦那の愛人疑惑…
    想像するだけでもうわーーーーとなる状況。
    垣谷さんは嫌な身近の問題を描くのが上手。
    最後は前向きになれてよかった。

  • 夫の死後、一体いつまで舅姑の面倒を見させられるのか。しかも引きこもりの義姉まで居て…。主人公:夏葉子の気持ちに共感し、自分ならどうするかをずっと考える時間を過ごした。いわゆる都合の良い子である主人公に実の父が助け船を出してくれたところが大きな転機だろう。そこを大山として、物語はクライマックスへと突入していく。ラスト少しで、ある真相を知ることになるので最後まで面白かった。工藤の存在はもうアレでしかないでしょ、と最初でわかってしまうので星4つで。

  • 夫が死んだのに、行きていた時以上に夫のことを思い出し、夫の親族に振り回される日々。嫁って大変!嫁であるま 前に1人の人間なんだけど!って声高に叫びたい気持ち。

  • 2019.04.27 #013

    視点が面白く、登場人物がどの人も個性的!
    人を描くのが上手いと思う。

    後半で主人公の父の言葉がとても刺さった。

    そして未亡人は「未だに亡くなっていない人」
    なんかそう解釈されると...この言葉って、日本の特徴をよく反映してるなぁとも。

    さて、夫の墓に入るかどうか、私も悩むところである。

  • おもしろかった!!!!
    垣谷さんの作品は読んでる途中はイライラして、「もー!」なんて思うのに、なんだろう、この読み終わったあとの爽やかな感情は!
    本当に読後感の良いお話は幸せを与えてくれる。

    亡くなった夫の浮気疑惑や、良好だったはずの義理の両親との関係…そして実の家族への不満。
    主人公・夏葉子に同情すべき点もあれば、あんたも悪いわ…とイラッとする点もあり、本当に色んな感情を揺さぶられた。
    以前あさイチで姻族関係終了届を特集していたのを見て、それはどういう人たちが出すんだろう…と未婚の自分には不思議だったけど、なるほど、こういう時に出すのか~と勉強になった。
    ゴチャゴチャに絡まっていた糸が、夏葉子のお父さんのお陰で真っ直ぐ一本に伸びて、すごくスッキリした。それと同時に夏葉子も芯が通ったようになって、すると視界が切り開けたのか、世界が優しさに満ちだした。
    親族ではなくなったけど、義理の両親たちにも出来ることはしてあげよう、という考え、「だから甘いんだよ」って思われるかもしれないけど私は嬉しかった。
    誰かと目が合って知らんふりを装うのは気後れするから、という夏葉子の言葉はその通りだと思う。この優しさを夏葉子がなくさないでいてくれて良かった。
    これからの人生に幸あれ。

  • 「夫が亡くなった時点で、自分は誰の妻でもなくなり、晴れて自由の身だと思っていた。だがどうやら違うらしい。今もこれからも「高瀬家の嫁」なのだ。それも、夫が生きていた頃よりも、もっとずっと明確に。」(カバー帯「本文より」)

    夫が死んでも「嫁」が残る不思議さ。小津安二郎の「東京物語」を彷彿させるところもあるが、もっとシャープで現代的だ。だのに古い。また、夫婦の物語でもある。結婚とは何か。ヒロイン嫁の高瀬夏葉子(かよこ)が東京は下町生まれ、舞台を九州は長崎にしたのが迫真。いかにして逆転させたのか。手に汗握るおもしろさ。これから結婚するひとも、してしまったひとも、してしまって歳取ってしまった女性にも必読書。

    おまけ
    夫はよく誉め言葉でとして​「田舎でよく言うところの”いい嫁を貰った”だねぇ」​と言うことがある。ま、わたしが日頃心地よい家庭を作っていることに対する感謝だと思うし、もちろん冗談で言っているのはわかるが、一度ならず何回も言うと、(この頃は一度言ったことを忘れて繰り返すようになったから)ものすごく嫌な気持ちになる。まったく「嫁」という言葉はおっかない。

  • 人の複雑な気持ちと、それを相手にはっきり言えない様子を描くのが実にリアルで上手い作家さんだなと思う。不愉快でドロドロな中身でも、ラストは救いがあるのも良い。主人公がこれからの人生を自由に謳歌してくれることを願う。

  • 「嫁をやめる日」の改題・文庫化でした(ーー;) 文庫の新刊は要注意の注意ですね(^-^) 単行本のタイトルの方が合ってる気がしますが・・・。

  • 読みやすい。どの本も家族のいやな部分を再現しててイライラします笑
    お父さんが頼りになるのが主人公にとってとても良かった。
    私も経験があるが、どんな良い関係で亡くなると本当に揉める。
    主人公のお義母さんは本当に良い人だったからこそこれからもご縁が続けていける流れになれたのだと思う。
    義姉も一歩進もうとしてるのが良かった。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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