夫の墓には入りません (中公文庫 か 86-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122066878

感想・レビュー・書評

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  • この前に『風と共に去りぬ』を林真理子さんがアレンジした『私はスカーレット』を読みました。
    そちらも主人公が、夫が亡くなっても
    全然淋しくない、悲しくない。
    たった3-4日の間に似たような未亡人の話を読んでしまったのか?

    でも、この本はそれだけでは終わりません。
    笑いながら読んだし、最後に
    「良かったなあ」と。

  • 51歳という若さで親族が亡くなったばかりで、ふと目にとまった本でした。

    姻族関係終了届というものがあるのかと、勉強になりました。

    夏葉子の父が素敵でした。
    夏葉子の父の言葉と、姻族関係を切った後の夏葉子と姑のやり取りには泣けてしまいました。

  • つい先日友人達と、自分が死んだら墓に入りたいか?と言う話題で盛り上がったばかり。
    私も含めほとんどの人が、墓以外を望んでいた。
    海にまく、樹木葬がいい等。
    そんなとき本書が目に留まり、当然夢中で読み進める。

    ある晩、46歳の夫が急死してしまった夏葉子。
    なのに何の感情も湧いてこない。悲しみの涙もこぼれない。
    これで「嫁」ではなくなり、自由になれる!と思いきや、それからが大変。
    大きな仏壇が家に届いたり、墓に夏葉子の名が刻まれたり。
    田舎の嫁の恐ろしさを知る。
    軽いタッチで描かれているが、内容はすごい。
    でも登場人物達は皆、真の悪人ではない。
    そして夏葉子の父が途中から大活躍するのだが、本当にカッコいい。
    私自身、相談事はいつも母に持ちかけ、父を頼る事はあまりしてこなかった。
    だがこの作品を読み終えた今、父と話がしたいなぁと思う。
    最後は、未来にやわらかい光が差す感じ。
    面白かったです。

  • 近くに居過ぎると嫌な所がたくさん見えるのに離れてみると良い所が見えてくるのが物凄く同意。ある一定の距離って必要なのだなと感じた。いざって時のお父さんが頼りになって格好良かった!

  • 40代で夫に先立たれた主人公。
    夫の疑惑がうやむやのまま終わっちゃうのかな?と不安に思ったけど、最後まで読んで、もしうやむやだったとしても、信じたいように信じれば良いじゃないか。と私も思えた。

    父が言った「つぶしてもいい人」という言葉は、本当にゾッとする言葉である。
    でも、現実には密かにそう思われてる人って、いるかも。あの人になら無理言える、みたいな軽い考えなら、多くの人が持った覚えがあるだろう。
    兄弟姉妹間の可愛がり方の差、優劣は、どこの家でもあるでしょう。実の親ですら優劣をつけるのだから、我が子とその妻(義理の娘)なら大事な順番は歴然。
    この本ではお父さんのファインプレーでなんとかなったけど、義実家との関係を解消できず自分を犠牲にしてる女性がたくさんいるかと思うと、やるせなくなったな。
    女性がもっと自由に、自分で選んだ人生を送れたら良いなと思ったのでした。

  • いろんなパターンの友人がいるから「あぁ…あの人も、こんな事言っていたなぁ(--;)」と身近に感じた(^^;)縁を切るのも繋げていくのも大変だ(>_<)夏葉子さんには頼もしいお父様がいて羨ましい!(^^)

  • この作者、やはり面白い。社会派エンタメ小説というジャンルをとにかく極めている。これまでは「老後資金」「住宅問題」「老老介護」「震災後の被災地」と言った社会問題を取り扱ってきた。それらは決して財政破綻や貿易戦争といったマクロな問題ではなく、我々市民にとって身近になりうる問題だ。それらを何とも大胆に、そして巧みに物語と絡めてくる。
    垣谷美雨の作品には「テンプレ」感がある。大体において、機能不全のような家族が登場する。彼らは既に問題を抱えている。そこに上述のような問題を降り注ぐことで、問題を顕在化させたり悪化させたりする。そのパターンは、本作でも継承されているように思った。ただし、今作では次のように物語が始まる。

    「どうして悲しくないんだろう。夫が死んだというのに、何の感情も湧いてこない。」

    往年のファンとして、ここで笑わずにいられるだろうか。垣谷美雨の作品において、旦那というのは無知で無関心で愚鈍の象徴のような存在として描かれてきた。それらは嫁を苦しめる、とても厄介な存在としてのモチーフであった。しかし紛いなりにも、生命の息吹は与えられていたはずだ。それが開幕直後に死亡である。この作者、ついに旦那を亡き者にしたかと。爆笑である。

    しかし、そこはさすが社会派エンタメ小説家。夫が亡くなったからこその苦難というものがとても良く描かれている。生前の愛人が登場しても、怒りを矛先が消失していること。見知らぬ人が線香を上げにくるのが大変迷惑であること。そして表面的には立派で優しい舅姑たちが、じわりじわりと元嫁が逃げないように囲い込みを開始すること。
    従来のテンプレを踏襲しつつ、これまで扱ってこなかった社会問題をきちんと料理する。それでいて小説としてのクオリティは高く、スラスラと読めてしまう。やっぱり垣谷美雨は面白い!

  • お父さん、素敵過ぎです。こんな父親でいたいと心から思いました。夏葉子さんにはまだまだ長い人生を悔いなくいきいきと暮らしてほしいです。

  • 嫁ってつらーい


    終盤までつらい場面が多いし
    なかなかすっきりしないので
    読むのが苦しかったです


    最後はスッキリしましたが
    もう少し早く展開してほしかったかな


    なんか暗くなってしまうが
    でも読む手が止まらないのは
    面白いってことですよね

  • やっぱり面白かったー!
    ほんとに嫁って都合の良い存在と思われがち。
    納得納得。
    お互いがお互いを思いやってこそ。
    世話してもらって当たり前ではない。
    ここまでの状況にはなってないけど、なんか自分に重ね合わせてしまったよ。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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