- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122068957
作品紹介・あらすじ
「男と女の、社会的な同質化現象はさけがたい」――今や当たり前にも思えることを六十年前に民族学者の立場から徹底的に論じた梅棹忠夫。発表するや賛否両論の大反響を巻き起こした「妻無用論」「母という名のきり札」を含む慧眼の書。酒井順子氏推薦。〈解説〉上野千鶴子
感想・レビュー・書評
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かつて主婦論争というものがあった。
本書の著者梅棹氏自身は、当時自らが論争の当事者との意識はなかったようであるが、今から60年以上前に、「妻無用論」、「母という名のきり札」という刺激的なタイトルの論説を次々と発表したのであるから、賛否分かれるものだったことは推察できる。
家事や育児を外部化するためには一定の収入が必要であり、女性も職を持って社会参加すべきということになるのだろうが、就労環境も一周廻った感もする。フェミニズムを経た現在の時点で、また、家庭の在り方や結婚、子育てを巡る環境が大きく変化した現状を踏まえて本書をどう読むか、興味深く思う。 -
最初に出てくる昭和の主婦、完全に父方のおばあちゃん
梅棹先生はみんぱくの元館長で、ミュージアム論みたいなことも論じているけど、根本的にモノやヒトの機能や役割を考える姿勢は一貫しているんだなあとおもう。 -
私は料理するけれど、揚げ物は絶対家でやらない。家事について合理化をしようとしても、家族の女陣営が阻んでくるから推し進めにくい。いらないものは捨てたらええのに~❣️
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雇用機会均等法が施行された頃に、梅棹さんの予言したような世の中に法律だけでなく実態が移行していたら、失われた20年にはならなかったように思いました。逆に、このままでは、日本は、危ないのではと。
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梅棹先生、流石です‼️
半世紀以上前に女性の生き方について、こんなに的確な論考をしていたとは…。未来の予見もほぼ当たり。この半世紀の間に男女の関係はほぼ逆転しました。この先がどうなっていくのか、梅棹先生に伺いたいです。 -
梅棹先生、万歳!
時代は妻不要というより、夫不要の流れ。
なぜかと言えば、これだけ簡略化された家事すらもできない男が多いから。
そして、伝統と専業主婦たちによって無駄に高度化された家事を、男は引き継げないから。(例えば、ハロウィーン・クリスマス・おせち料理の段取りとか、きちんとやれる&やろうとする男なんか、ほとんどいないだろうなぁ。。)
女性たちは、知的産業の中で女性活躍の追い風の中で働き安定収入を得つつ、こまごまとした暮らしの機微を楽しむ。
タイトルこそ過激ではあるけれど、文体は実際のとげはなく、批判的でもなく、どこまでも世界の家庭を見てきた学者視点と、商家で育った経験からの、ニュートラルかつ発展的なコメント。梅棹先生は女性たちを応援しているように聞こえる。 -
誰にでもおすすめしたい、というか、酒場に持っていってこの話題で2時間飲めるんじゃないか。
家事、結婚、育児は比較的誰でも参加しやすく物申しやすいトピックだからこそ「燃えやすい」。当時は投書欄が「燃えた」らしいが(時代を感じる)たしかに専業主婦がスタンダードの時代にあって、この内容は「自分の仕事を否定された」と読者が感じたのも頷ける。
家事だって仕事のように効率化して仕事を減らせ、などの話は、令和の兼業主婦にとっては当然のことだし、読んでいてなんら変には思わなかった。