茶の湯-わび茶の心とかたち (中公文庫 く 18-3)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122070172

作品紹介・あらすじ

にじり口はなぜ狭いのか?廻しのみはいつ始まったのか?芸態から茶会の構造・空間・趣向まで下剋上を背景に発展した茶の湯を民俗・芸能の視点でとらえる


第一章 わび茶の創造

 特異なる文化

  孤独な茶の湯 日本文化の特殊性 日本と朝鮮 千利休の位置

 にじり口と廻しのみ

  にじり口の誕生 廻しのみ

第二章 中世からの離脱

 茶会の構造

  『喫茶往来』 切りすてられた後段

 茶会の空間

  市中の山居 露地のふるまい 籠る

 なぜ点前か

  点前か手前か 亭主と客の空間 茶立人から亭主へ

第三章 茶人のふるまい

 あぐらから正坐へ

  混みあう茶会 片膝とかしこまる

 あるきかたの源流

  あるく文化 練りあるく 地に足がつく

 茶人のすがた

  客の心得 新シキガヨシ

 茶名と十徳

  仮りの名前 十徳とは何か

第四章 茶会の趣向

 趣向の成立

  ハプニング 淋間茶湯 『祭礼草紙』の問題 風呂のあがりや

 風流・やつし・見立て

  風流 やつしの美 利休の趣向 付合と見立て

 季節感の登場

  時候のあいさつ 茶会のなかの季節 ばせを忌に薄茶手向くる寒さ哉

第五章 わび茶の周辺

 茶筅の歴史

  茶筅のおいたち 王服茶筌由来記 茶筅の民俗性

 茶屋の歴史

  煎じ物売り 檜垣茶屋 利休亡魂


史料による茶の歴史

感想・レビュー・書評

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  • 1977年に書かれた本が文庫版になった。
    茶人たちにとっては「そういうものだから」といったようなことも掘り下げてみるという試みと理解した。にじり口は芝居小屋のねずみ木戸や胎内潜りがあるのでは。茶の廻し飲みは一体感の情勢のためと、利休の生きた下克上の時代にふさわしい儀礼であったこと。茶会が五段まであったのが切り詰められた。茶立人が別にいたのが亭主が茶を立てるようになった。もともと片膝や安坐だったのが正座になった。摺り足なのは地に足がつくという考えから。風呂と茶。俳諧の影響で季節感が茶にも取り込まれたことなど。

  • 「わび茶の心とかたち」というタイトルとは内容が異なるような気がするが面白く拝読しました。
    茶の湯は芸術とか宗教とかいういい方はしっくりくるのだが、民俗学というとピンとこなかったけどこの本を読み現在のコロナ禍の状況を鑑みるとまさに民俗学なんだなと強く思いました。
    茶道は様々な方面からの切り口で楽しむことができるが現在の多くの愛好者が求めているのはお茶やお菓子を楽しんだり点お稽古に行って友人と楽しいひと時をすごしたりということであろう。その観点からするとまさに民俗学である。

  • にじり口はなぜ狭いのか? 廻しのみはいつ始まったのか? 芸態から茶会の構造・空間・趣向まで下剋上を背景に発展した茶の湯を民俗・芸能の視点で捉える。

  • 日本の伝統文化ながら、一般人には正体が掴みにくい茶の湯を解析する。狭いにじり口をくぐる事によって得られる茶室空間の演出や、道具は無論、額(の絵や詩文)や庭園など隅々まで気を配る凝り具合には、精神性の差異はさておき、オタク道に通じるかのよう。極められた所作は、一挙手一投足が見える相手との距離の近さゆえ、という解説には納得感。発展の経緯もよく纏まり、ボリュームも手頃で入門編としてお薦めの一冊。現況、ソーシャルディスタンス(笑)や、リモート普遍化による対面のあり方の変化など、狭い茶室での「一期一会」とは対極にある。数十年前の著作を今新装版として出すからには、茶の湯がそんな様変わりした世の中とどう折り合っていくか、その展望があれば尚良かった。

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著者プロフィール

林原美術館館長、国立民族学博物館名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授

「2009年 『茶の湯といけばなの歴史 日本の生活文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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