スマート・ジャパンへの提言―日本は限界費用ゼロ社会へ備えよ

制作 : NHK出版 
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140817391

感想・レビュー・書評

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  • 「限界費用ゼロ社会」の日本向け版。
    太陽光発電、EV、IoTでスマートシティ。インフラ置き換えや技術開発で職は出てくる。日本は全部持っている!中国やEUは舵を切った、遅れるな!
    気候変動対策は待った無しだが、政府の対応を見てると無理だな、、、、

  • 第3次産業革命によって、コミュニケーション、再生可能エネルギー、輸送/ロジティクスの3つのデジタル化されたインターネットが構築され、今後30年間で総効率は上がっていく。→限界費用ゼロ社会へ

    しかし、日本がつまずいているのは、再生可能エネルギーの利用の遅れであり、これは垂直統合型の電力会社が、原発の運転断念を認めていないから。

    しかし、日本の秘めているポテンシャル(シェアリングエコノミー、スマートシティ実現への取り組み)は、持続可能な社会を作り出しうる。

    過去において、経済のパラダイムシフトが起きる要因は三つのテクノロジーにある。
    ①効率的なコミュニケーションテクノロジー
    ②効率的なエネルギー源
    ③効率的に輸送を行うモビリティ形態

    総効率:何かを一つ創造するのに投入された仕事量に対し、変換の過程で失われていくのを除いて、最終的な製品・仕事に変換された部分の割合のこと。

    生産性向上の主要因は、資本投下とパフォーマンスのある労働者、と思われていたが、実は生産性のうちの14%しか説明できない。残りの86%は、総効率。
    日本の工業力ピーク時でも、総効率は20%程度だった。つまり、今後は第2次産業革命の老朽化したインフラを駆逐し、第3次産業革命(デジタルな相互接続)を進めること、モノ全てがネットで繋がり、データを記録し相互にやりとりし合うことで、エネルギーの最大効率化を図ること、が重要になる。

    そして限界費用が下がると、いずれ利益幅そのものがどんどん小さくなる。その中で生き残るためには、絶えずネットで情報をやり取りし、あらゆるビジネスと協働する必要が出てくる。

    シェアリングエコノミー、特に再生可能エネルギーという限界費用がほぼゼロで生み出される新エネルギーの前では、従来の化石燃料ではコストで太刀打ちができない。

    地球温暖化の原因
    1位 建築
    2位 牛肉の生産と消費
    3位 車

    社会のあらゆる環境にセンサーが取り付けられている。
    最も有望なものがビルなどの建築物。これが日本中で結びつき、一つの大きな神経システムを作り上げ、活動をマネジメントし得る。

    ミレニアル世代にとって自由とは、自己を邪魔されないことではなく、何百万もの人たちと繋がることであり、その広大なネットワークに自由に自らの能力を捧げることである。パワーはトップダウン型ではなく、水平型である。

    市場経済のオートメーション化によって開放された人間は、より創造的な仕事に従事し、人々の社会関係資本を積み上げていくようになる。

    これからの教育システムは、第三次産業革命のためのIoTインフラを構築するスキルを学び、非営利のシェアリングエコノミーにおいて社会関係資本を作り出すのに必要なスキルを身に着けさせることが大切になってくる。

    グローバリゼーションは、パワーが一握りの企業に集中していた中央集権型の時代から、グローカルな方向へとシフトしていく。
    この先の世の中で大切なことは、地域が「自分たちで未来を作り出す」ように、自治体が支援してあげること。
    分権型ではなく分散型。分散型は地方自治体が部分的に自立しながら、権力の別の一部は大陸的な連合体に再集約され、その集合体がファシリテーターとなる。

    日本では、国内の電力会社を超えたネットワークの整備が必要。また、中国や韓国など、国を海中ケーブルで跨いだエネルギー構想もいる。
    空き家を潰して生物圏に戻したり、人が住まない広大な土地に太陽光パネルや風力タービンを設置し、エネルギーの確保を図る。

    一帯一路構想は、決して中央集権型の枠組みではない。IoT世界においては、全てが分散され、誰もが必要に応じてネットワークへの参加をオンオフできるからだ。これはユーラシアを繋ぐコラボレーション。

    発展途上国は、インフラが整備されてない分、一足飛びに進むことができる。古い規制や既得権力が存在せず、新しく構築するほうが早いから。
    ビジネスはインフラで作られており、そのインフラは政府と産業と市民社会という官民連携で作られている。

  • 「エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ」を読んだうえで、派生で読んだ。やはり"ジャブジャブ電力"の到来を予言している。そこに至るにはすごい紆余曲折があるだろうが、大局観でそうなる前提に立って、いろいろ事を進めていきたいと思った。

    ちょっと時間がないので、またヒマな時に詳細を書き足します。

  • 限界費用ゼロ社会の日本版ということで、書き下ろしコラムだけでなく、対談などあり、理解が進む。

    第三次産業革命により、インフラが作り変えられる途中にあるということ。そのビジョンが見えていないとなると、日本は相当にやばい。再エネのエネルギーインターネットを通じてそれを示すことか。

  • これから生きていく上で大事なことだと思う。限界費用ゼロというサブタイトルだか、期待した内容が書いてなかった。方法やどういう生活になるという具体性がやや薄い。ブログやyoutubeのコンテンツの生産が世の中を豊かにするがGDPは上がらないという考え方は面白いが、限界費用ゼロとはちょっと違うと思った。
    ジェレミーさんはアメリカ人と思うけど、人類には地球や生命を管理し続ける責任があるという考え方は日本人の私には共感できなかった。
    いずれにしても、知らないことや違う考え方を知れてよかった。
    ジェレミーさんの言ってる第三次産業革命について知りたい

  • 途中で挫折。言っていることは分かるのだけど、今の自分にはちとスケールが大きいというか、あまり刺さらず…

  • 第三次産業革命なる世界の記述。
    明日からの行動を変える、と言うよりかは知識を詰め込む本。テクノロジーで環境をどう支えるか?何ができるか?と言うところに終始している。
    殆どが既に知っていることであり、あまり発見はなかった。

  • 日本は化石燃料や天然ガスの輸入量が多く、再生可能エネルギーの使用率が低すぎる

    再生可能エネルギーはインフラの整備さえすれば、限界費用がほぼゼロなので効率が良い

    日本の再生可能エネルギーのポテンシャルは大きい(技術力や国土)

    これからの世界はグリーンエネルギーやシェアリングエコノミーで地球を持続可能な形で発展させていくべき。
    人類は同じ生物圏の一員である。

  • 著者は、コミュニケーション・インターネット、再生可能エネルギーできないのですインターネット、モビリティ・インターネットが一体となって、IoTプラットホーム上で稼働することにより、効率性と生産性が劇的に向上し、限界費用ゼロの社会が来ると予言する。そのような社会では、利益幅が縮小し、資本主義のシステムが変わらざるを得なくなる。そして、中央集中でなく、地域キコミュニティ主体で分散型、それが相互に繋がる水平展開型になる。ヨーロッパと中国が進んでいる。そして、日本にはこのような社会へと移行するポテンシャルはあるが、脱原発に踏み切れないと取り残されてしまうとも。

    多少の不便は我慢してでも化石燃料から再生可能エネルギーに転換せよ、というのは大賛成。ただ、再生エネルギーの柱は太陽光発電と風力発電だが、メンテナンスコストが結構かかるんじゃないかなあ。限界費用ゼロというのはちょっと言い過ぎのような気が…。

    面白かったのは、現在進行しているのは決して「第四次産業革命」などではなく、第三次革命(デジタル革命)である、と言い切っているところ。まあそうなんだろうなあ。

  • ☆ふむ
    (著作)エントロピーの法則 しだ、エイジ・オブ・アクセス けあしだ、第三次産業革命、水素エコノミー、ヨーロピアン・ドリーム、『限界費用ゼロ社会』

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著者プロフィール

文明評論家。経済動向財団代表。欧州委員会、メルケル独首相をはじめ、世界各国の首脳・政府高官のアドバイザーを務めるほか、TIRコンサルティング・グループ代表として協働型コモンズのためのIoTインフラ造りに寄与する。ペンシルヴェニア大学ウォートンスクールの経営幹部教育プログラムの上級講師。『エントロピーの法則』(祥伝社)、『水素エコノミー』『ヨーロピアン・ドリーム』『限界費用ゼロ社会』(以上NHK出版)、『エイジ・オブ・アクセス』(集英社)、『第三次産業革命』(インターシフト)などの著書が世界的ベストセラーとなる。『ヨーロピアン・ドリーム(The European Dream)』はCorine International Book Prize受賞。広い視野と鋭い洞察力で経済・社会を分析し、未来構想を提示する手腕は世界中から高い評価を得る。

「2020年 『グローバル・グリーン・ニューディール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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