別冊100分de名著 「平和」について考えよう (教養・文化シリーズ)

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784144072208

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  • ロシアのウクライナ進攻。
    中東でも中国、北朝鮮でもなく、東欧の文明国と思っていたロシアが、まさか。
    スマホによって、リアルタイムに発信される戦況。被害を受けたウクライナの人々の、生の声と表情は、戦争というものの圧倒的な破壊と惨状を物語っていて、それが今まさに起きているということをダイレクトに伝えている。
    戦争とは何なのか、平和とは何なのか、少しでも考える端緒を得たいと思い読みました。
    フロイトのエロスとタナトス、ブローデルの地中海、西鶴の日本永代蔵、ヴォルテールの寛容論。時代も場所もそれぞれ異なる著作から、平和とは何なのかを考えるためのヒントを興味深く与えてくれる。
    死の欲動によって避けがたく攻撃性を孕んでいる人間は、経済的格差や宗教上の信仰の相違などから、他者を攻撃する。
    生の欲動は、それとは反対に、他者を理解しようとし、継続的な対話に努める。人に対してだけでなく、物に対しても持続可能なあり方を体現していた江戸時代の知恵や、多くの人たちと分かち合うことのできる文化、芸術。
    他者に対して寛容であることを志向すること。
    それらを祈り、考え続けること。

  • フロイト『人はなぜ戦争をするのか』、ブローデル『地中海』、井原西鶴『日本永代蔵』、ヴォルテール『寛容論』。心理学、経済学、江戸文学、哲学と、それぞれ切り口は違えど、平和の維持と創造のヒントを名著から見出せる。

著者プロフィール

斎藤環(さいとう・たまき) 精神科医。筑波大学医学医療系社会精神保健学・教授。オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)共同代表。著書に『社会的ひきこもり』『生き延びるためのラカン』『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』『コロナ・アンビバレンスの憂鬱』ほか多数。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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