特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ミステリ 1860)

  • 早川書房
4.02
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本棚登録 : 483
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (582ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150018603

作品紹介・あらすじ

「特捜部Q」-未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署である。今回「Q」のカール・マーク警部補と奇人アサドのコンビが挑むのは、海辺に流れ着いたボトルメールの謎。ボトルから取り出された手紙には「助けて」との悲痛な叫びが。書き手の名前の頭文字はP。だが手紙の損傷が激しく、内容の完全な解読は難航した。Pはどうやら誘拐されたようだが、過去の記録に該当する事件は見当たらない…。北欧を代表するミステリ賞「ガラスの鍵」賞に輝く著者の最高傑作!人気の警察小説シリーズ、第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • 一気読みだった。2作目とえらい違いだ。最後もいい。カールとアサドは犯人を殺すことはできないだろうと思っていたが、そう来ましたか。スカッとしましたよ。

  • 「彼女は三つこぶのラクダみたいなものですね」 「なんだって?」 「私の育った土地ではそう言うんです。少し変わっているという意味です。乗りこなすのは難しいですが、見ているだけなら面白い」

    北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞受賞!
    【特捜部Qシリーズ】第3弾。
    文庫版では上下巻にわかれている長編だが、あっという間に読み終えてしまった。

    何年も海中を彷徨い、スコットランド警察からカール達の手元へ渡った手紙の解読には、新たな仲間が挑戦する。その仲間達も個性豊かでいい味を出していた。

    なかでも、前作から登場したアシスタントのローセの双子姉ユアサがローセと同一人物なのは驚いた。
    ユアサもいいキャラクターをしており楽しませてくれたが、ローセに戻ったので今後どのようになるか楽しみだ。
    ローセの多重人格について、カールとアサドは冒頭に載せたセリフを交わすのだが、本人から打ち明けられるまで、変わらず見守ろうとする2人の姿勢から感じる優しさが、押し付けがましくなくて良かった。

    さて、今回の事件は身代金誘拐事件と宗教が絡んだものなのだが、犯人の得体の知れなさが際立ったストーリーだった。

    変装をし、誘拐するターゲットを徹底的に調べ上げたかと思いきや、警察に追われる中ボーリング大会へ行ってしまう統一感のない行動。
    そして、最後まで犯人の本当の名前が不明のままであり、本書の中では彼、夫、偽名で表されていたこと。
    犯人はまるで役者のように数々の名前を名乗り、役割を演じていたこと。
    それらの事と、ラストで犯人をカールが追い詰め、名前を問いただした時、「俺の名前はチャップリンだ」と名乗ったことで読者に気味の悪さを感じさせている。

    チャップリンは喜劇王とも呼ばれているのに、犯人がしてきたことは悲劇でしかないこともゾッとする要因だと言えよう。

    また、宗教により閉鎖的になって、世間と乖離した家族達の様子になんとも言い難い気持ちになった。
    そんな中、犯人に立ち向かおうとする、女性達と、子ども達が唯一の救いだった。

    今回はアサドの気になる描写が幾つか登場したので、今後どのような展開になるのか注目したい。

    閉鎖的な世界が引き起こした悲劇を観たような1冊だった。


    こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
    ・北欧ミステリが好きな人
    ・警察小説が好きな人
    ・受賞作が読みたい人
    ・宗教が絡む事件が読みたい人







  • やばいっ!

    なんだか知らないけど図書館に予約してた本があれもこれもと順番が回ってきて大変な数になってしまいました
    あれこもこれもと調子にのって予約しまくってたのは事実ですが、順番はかなりバラバラだったのでいい感じに回ってくるはず…だったのがなんか知らないけど一気に来ました、10数冊…

    あれですか?
    もしかして「読書の秋」全開で皆さん読みまくっていてどんどん返却されてきたってことですか?
    恐るべし「読書の秋」

    貸出期間は2週間なんで自分の読むペースから言っても期間内には余裕で読み終える計算なんですが…まだまだ後ろに予約待ちの方がたくさん控えてる人気作ばかりなんですよ
    そうなると一刻も早く返却したいと思うのが人情です
    頑張って読まなきゃ!
    最近また老眼が進んじゃってるけど頑張って読まなきゃ!

    『爺様目を酷使』なんちて

    さて『Pからのメッセージ』です

    いや、面白かったんですよ!
    特捜部の3人はめちゃくちゃキャラ立ちしてて魅力的だし
    今回はローセがやっぱりねという感じで面白かったし
    最後の犯人を追うスピード感溢れるクライマックスもドキドキしたし
    面白かったんですよ

    でも多くの皆さんが感じてるような爆発的面白さはまだ感じられてないです
    あれ?もしかして土瓶さんの評価にひっぱられてる?

    『瓶寄りの星表示』なんちて

    さて『Pからのメッセージ』です

    いや、面白かったんですよ!
    ってもういいわ!

    • ひまわりめろんさん
      本を読むのもひと仕事や
      物悲しい
      本を読むのもひと仕事や
      物悲しい
      2022/10/06
    • 土瓶さん
      まあ、私はナウいヤングの若人ですがね(笑)
      \(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
      まあ、私はナウいヤングの若人ですがね(笑)
      \(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?
      2022/10/06
    • ひまわりめろんさん
      いやいやいや
      一番ヤバい
      一番要介護
      いやいやいや
      一番ヤバい
      一番要介護
      2022/10/06
  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18356

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB12514877

  • 前の2作よりも壮大で面白かった印象。

    容疑者を殺しちゃうのが欧米って感じ...

  • 毎回よく思いつくよね
    時代が・・・とは言え
    思いっきりの暴力と
    ありえない不正
    頑張れ、カール・アサド・ローセ

  • 10年ぶりの特捜部Q。
    何といってもアサドとカールのコンビが魅力的すぎる。

    冒頭、2人の少年が誘拐、監禁され何とか状況を打破しようと木片と自らの血で綴った手紙が海を漂うボトルメールという形でデンマークからスコットランドへと流れ着く。

    ボトルメールは、巡り巡って未解決事件捜査を取り扱う特捜部Qの元へ届く。
    手紙の筆者、Pから始まる人物、PからQへの救援メッセージを解明するのが今作のメインストーリー。

    シリーズものの定番として、現在時点で起きている連続火災事件というショートストーリー、作品を跨る謎としての各メイン人物達の闇、謎というロングストーリーを織り交ぜながら進んでいく物語。

    エンターテイメントとして文句なく良。

  • 5年前に2作目を読んだところで気になりながら読めずにいたシリーズ。だいぶあれこれ忘れていましたが読みながら思い出していきました。事件はしんどい内容ながら、登場人物が魅力的で救われるあたり、誤解を恐れずに言うと北欧版の「ぼんくら」シリーズのようです。カールの助手のアサドのその後が知りたくて読むのを再開したわけですが、ほとんど印象に残っていなかったもう一人の助手ローセと、双子の姉妹ユアサも最高でした。事件はタイトルにもあるように、ボトルに入って届いた「助けて」という言葉で始まる血液で書かれたらしいメッセージだけが手がかりで、時間と海水とでほぼ読めなくなってしまっている内容を、カールが二の足を踏んでいる間に助手たちが熱烈な使命感をもって読みといていき、ジグソーパズルのピースを一つずつ正しい位置に置いていってだんだん絵が現れてくるように、少しずつ少しずつ事実が明らかになっていきます。そんな都合の良いことある?!と呟きたくなるような展開も挟みつつ、続きが知りたくてどんどん読んでしまいました。解説も読むとデンマークの社会についても説明があって、興味深かったです。

  • 特捜部3作目・・抜群の緊張感と目くるめく展開、小ネタ満載の傑作だった。
    海を漂い打ち上げられたボトルメッセージ―内容に判別不可なものが有り、難渋に極みでカールもアサド、ローセ等は煩悶。

    カールは別れた妻との軋轢の生傷を新たな女性で埋めようとしたが・・去って行く。
    ローセの双子の姉は正直、現場を攪乱している感じにも映った・・でもこれもヒューマニックなサイドストーリー。

    徐々に姿が見えてくる犯人像・・北欧モノによくある「生まれ育った家のPTSD」-宗教でものが見えなくなっている父親に私物化されずたずたな子供時代を送り、その反動での犯行とは。
    それにしても宗教の持つ魔物性・・人を此処迄狂わせるのか・・子供が多く、しっかりして律儀な夫婦にターゲットを据えて。という訳からか、捜査の眼から落ちこぼれ、此処迄犯行が重なって行った?!

    ラストのボート小屋はちょいミスが重なってのドキドキ展開。ラスト1頁迄手に汗を握り締める御馳走だった。

  • 面白かった! さすが「ガラスの鍵」賞。
    ボトルメールでのSOSという超絶キャッチーなつかみに、重いテーマ。それを、3作めとなりだいぶ噛み合ってきたレギュラーメンバーたちの愉快なやりとりと、北欧ミステリらしからぬ(?)希望ゼロでないラストが中和する。コミカルとシリアスのバランスが絶妙で、楽しく読めた。

    2020/2/25〜2/27読了

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