- Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150102500
感想・レビュー・書評
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権威ある海外SF賞のヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞した古典。
日本ファンタジー大賞の選考委員である
椎名誠氏が選評の中で推薦していたので読んでみた。
するすると物語に入り込めて、
主人公と一緒に未来の世界を旅しているような気分になれた。
廃退した世界で描かれているのは人類の贖罪と再生。
耽美な存在でタイトルともなった
翼を生やした人間である”翔人”が、
ほの暗い未来に光彩を放つ。
それこそ、一筋の希望のように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
浅倉久志の解説が秀逸の本書は、ヒューゴー賞とアポロ賞(フランスのSF大賞)受賞の名作。
うん、名作です。
舞台は遠い未来の地球。ここでは、地球の歴史を3つの周期に区分している。すなわち、宇宙進出までを第一周期。宇宙での栄華を極めた第二周期。そして、第三周期は現在の地球。かつての繁栄は過去に沈み、ただ外敵の侵入に怯える零落の世界である。一方、そこでは、ギルドとよばれる職業集団が組織され、人類に生きる目的を与えていた。主人公は、侵略者の見張りに一生を捧げる老いし<監視者>。彼は、道中で出会った美しい<翔人>の娘アヴルエラと<変型人間>ゴーモンを連れて、古都ロウムを訪れるが…
このファンタジーな世界観がたまらなく好きだ。没落後の地球では、かつての大陸も海の底。だが、在りし日の名残をとどめるロウムやペリ、ジェルスレムといった都市の名前(各々がある都市のもじり)に、哀愁を感じる。
一方で、SF要素もしっかりしている。とりわけ、中盤で語られる地球の変遷は、なかなか刺激的です。
作中で最も印象に残ったやりとりを紹介。
本書は「再生」を描いた作品だが、その発端が次のやりとりにある気がしてならないのだ。
場面は中盤、主人公が自らの名前を、盲目の皇帝に対して、口にする(ギルドの掟で本来はご法度!)ところである。
「きみに秘密厳守を強制する制約はもうなくなったではないか。」(中略)
「あなたの人生の二倍にもわたる間、私は、法律上必要の場合意外ぜったいにわが名を口にせぬよう規定されてきたのですから」
(中略)
「では、今いいたまえ」
思いきって口にしてみると、なんともいえぬ解放感があった。
私の古い名前は、唇を出てしばしそこの空間に漂っているように感じられた。(中略)
そういうと、二人とも腹の皮がよじれるほど笑い、盲目の皇帝は、立ち上がって、親友同士であるしるしに、自分の手と私の手を打ち合わせ、それから二人して私の名を、ついで彼の名を交互に何度も何度もくり返しわめいた。二人は、思いがけなく魔法の言葉を覚えたものの、結局それらの言葉には実際に魔力などなかったのだと気がついた少年のようなものだった。 -
夏バテで、思うように本が読めません(泣)そんな中、やっと読了。ロウムとか少しひねった都市名が印象的。最後の救済のところは、自分も感じるところなのでとても惹きこまれた。世界の一部になり、一部(一人)が全体になるという感覚のところ。とても印象的な表紙とともに翔人アヴルエラの事の印象に残ります。秋に読めばもっと良かったと思う。
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『ガラスの塔』『いまひとたびの生』『時の仮面』『内死』など、ロバート・シルヴァーバーグは「破壊」「再生」をモチーフにしたものが多い。
その中で「再生」を一番美しく優しいストーリーとして現したのがこれではと思う。 -
古書購入
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表題だけは強烈に覚えています。
山下達郎の曲名と同時に脳裏に焼きついています。
最近この作品の事を思い出します。
他所であいつとバッコンバッコンやで・・・
おっさん「知るか』
そうなんです。くだらん事言うなやと言うか
改めて読み直してみたいです。
人生の節目に必要だろうかと。
エロいことで頭満載の高校生でしたが、そんなケダモノレベルの人間が読むと
エロいことばかりに集中してしまいがちです。
老成された筆者の伝えたいことを誤解するだろうと。 -
愛の力で征服者を征服するのだ。
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シルヴァバーグの珍しく美しい作品
表紙 5点中原 脩
展開 6点1969年著作
文章 7点
内容 570点
合計 588点 -
勢いがあるなぁ。
皇帝がいい感じ。
登場人物が人間臭い。
解説がすさまじい。
ジョブチェンジってドラクエ、FFのはしりか。