- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150114589
作品紹介・あらすじ
地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく…ネビュラ賞を受賞した感動の表題作はじめ、天使の降臨とともにもたらされる災厄と奇跡を描くヒューゴー賞受賞作「地獄とは神の不在なり」、天まで届く塔を建設する驚天動地の物語-ネビュラ賞を受賞したデビュー作「バビロンの塔」ほか、本邦初訳を含む八篇を収録する傑作集。
感想・レビュー・書評
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とんでもない状況を設定して、その中で登場人物たちが、人間たちがどう考え、行動するかを詳細に描写する。とんでもない状況のアイデアが、うーんと唸らされるのが、テッド・チャンの短編集なのだ。描写もとんでもなくリアルである。壮大な思考実験だ。物語が面白くて夢中になって読むのもあるし、正直言って退屈なのもあった。傑作だと言われる「あなたの人生の物語」はそうなんだよなあ。「バビロンの塔」「理解」「七十二文字」「地獄とは神の不在なり」は、設定がぶっ飛んでいて驚く。バベルの塔、超人類、ゴーレム・ホムンクルス、ヨブ記それぞれの超別解なのだ。「顔の美醜について」は人間の生まれつきの資質について鋭い問いかけをしている。
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なおなおさんに教えてもらったカコナール(複数の図書館の蔵書を同時に検索できそのまま予約ページにも飛べる優れものサイト)が狂おしいほどに便利でポチポチやっていたらあっという間に予約上限に達してしまい
読みたいリストが 『あらかた予約のものばかり』なんちて
さて『あなたの人生の物語』です
猫様のお導きにより手に取った本作ですが読み始めてすぐに「うわ〜あっちのほうのSFか〜」と思いました(謎感想w)
そんでとても面白かったです!
とても面白かったのに★3?いやいや聞いてください
なんていうか報酬と対価が見合ってない気がしたんですよね
もうなんていうかムズい!ムズいよニャンコ先生!
読みながら頭の中はフル回転で、中短編集なんですが一作読み終えるごとにぐったりしちゃいました
面白い!面白いんですがぐったりしちゃうんです
だからまたテッド・チャン読まねば!という気になりました
面白さの絶対量は変わらないと思うので熟練度を上げることで相対的な面白さの評価が上がるはず
つまり訓練によって技能レベルを上げることで生産コストが改善されれば、価値は変わらなくても利益率が向上するということですね
うん、なんのこっちゃ!
要するに次は猫様のお告げの通り『息吹』や!
そういうこと!
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これはあれですね
桜前線の北上とともにSF読みたい熱の高まりを迎えている私めへのメッセージですね(勝手に言ってろ)
読んでみますよ!これはあれですね
桜前線の北上とともにSF読みたい熱の高まりを迎えている私めへのメッセージですね(勝手に言ってろ)
読んでみますよ!2022/04/10 -
ひまわりめろんさん
猫様のお告げに間違いなし、、、タイトルも「あなた…」ですし。
結構クセが強いので、違う気がしたら「息吹」所収の『商人と錬...ひまわりめろんさん
猫様のお告げに間違いなし、、、タイトルも「あなた…」ですし。
結構クセが強いので、違う気がしたら「息吹」所収の『商人と錬金術師の門』を、、、それが(次回に続く)2022/04/10
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全部で8編の短編SFを収めた、テッド・チャンの処女短編集。
テッド・チャンを読むのは、2作目の短編集「息吹」に次いで2冊目。「息吹」も傑作揃いだと思ったけれども、この「あなたの人生の物語」も傑作揃い(個人的には、それでも「息吹」の方が好きだけれども)。
SFにも色々な種類のものがあるが、本書の最後の短編「顔の美醜について」等は、一種の思考実験のようなものとしても読める。「カリー」という処置を施した者は、人間の顔の美醜の判断が出来なくなる。人は他人を見かけの良し悪しで判断する傾向が強いと思うが、カリー処置を受けた者は、そういった判断が出来なくなる。見かけの良し悪しで人を判断するのは、一種の差別だと考えると、このカリー処置を更に広い範囲に適用することを、つい、考えてしまう。人は人種・肌の色で差別されるべきではない、人は性別によって差別されるべきではない、人は体型によって差別されるべきではない、等々。顔の美醜を判断できなくする処置を施すだけの技術が確立された世界においては、きっと、人種の判断を出来なくする処置、肌の色を判断できなくなる処置、性別を判断できなくなる処置、体型を判断できなくする処置、等も可能であろう。そういった処置をすることによって、色々な意味での差別をなくすことが出来るかもしれない。でも、そのような処置を施された人は幸せなのだろうか、そのような処置を施された人は人間の持つ本能的な部分を捨ててしまっていないのだろうか、等という思考実験を展開することも可能だ。
それは、大げさに言えば、人間って何?ということにも繋がるような話だ。 -
調べたところ、著者は、寡作かつ作品全てが傑作、と言われている。
この作品集のなかで、「あなたの人生の物語」が一番好き。映画「メッセージ
」の原作でもある。映画を観た後に原作を知った。映画も 良かったが、小説も良かった。
ある日突然、宇宙人から地球に「メッセージ」が送られてきた。地球のいろんな場所に。宇宙人の目的とは?
「メッセージ」を解読するために、多言語分析家が登場する。多言語分析家は、宇宙人と対話する方法を探っていく…
しっとりとした描写のSF小説という印象。世界観がいいなぁ。-
workmaさん
テッド・チャンは天才ですよね。何か判らないけど凄い(「メッセージ」を撮ったドゥニ・ヴィルヌーヴも凄いと思う、未だ観ていな...workmaさん
テッド・チャンは天才ですよね。何か判らないけど凄い(「メッセージ」を撮ったドゥニ・ヴィルヌーヴも凄いと思う、未だ観ていない「DUNE/デューン 砂の惑星」が地上波で放映されるのを待っている)
文庫化された『息吹』は読まれました?此方も頭がクラクラする名作揃いです。猫が一番好きなのはアレです(泣きながら読んでます)。。。2023/12/25 -
猫丸さん(*^_^*)
コメントありがとうございます(^^)
テッド・チャン、天才だとおもいますが、この一冊しかまだ読めてないのです…
「...猫丸さん(*^_^*)
コメントありがとうございます(^^)
テッド・チャン、天才だとおもいますが、この一冊しかまだ読めてないのです…
「息吹」、正月休みに読みたいと思います。
猫丸さんのおすすめならばまちがいない傑作。猫丸さんは、猫丸というから、やっぱり猫が好きなんですか?
私は動物・植物なんでもオッケーですが、その中でもねこは別格なのです…2023/12/25 -
workmaさん
猫好きのworkmaさんに幸あれ!
猫も何でもOKです(苦手なのは政治屋とヘイト主義者くらいかな)workmaさん
猫好きのworkmaさんに幸あれ!
猫も何でもOKです(苦手なのは政治屋とヘイト主義者くらいかな)2023/12/26
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テッド・チャンが凄いとか、「あなたの人生の物語」が名作だとか、そういうSFファンのなんと多いことか。でもチコちゃんは知っています。……あ、違った。
そういう世評は知ってはいたけれど、なかなか読む気にならなかったのは、テッド・チャンを読むならまずこの長編をというその長編がそもそもないからである。長編を、しかも分厚いやつを書かないと一流SF作家とみなされない英米SF界において、短編だけでこれだけ鳴らしているのは凄いことなのではあるのだが。
で、結局、読む気になったのはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画『メッセージ』がよかったことと、そのせいで本屋に並ぶ短編集『あなたの人生の物語』が『メッセージ』のばかうけ型宇宙船の映画写真のカバーにことごとく変わってしまったからである。オリジナル・カバーの本書を見つけて、つい買ってしまったのだ。
ついに空の丸天井にたどり着いたバベルの塔で、さらにその丸天井を掘り進む「バビロンの塔」はオチが読めてしまったが、ブリューゲルの『バベルの塔』を見てきた記憶がまだ色褪せぬなか、小説の場面は頭のなかでブリューゲルのタッチに変換されていた。
アルジャーノンの異版のようにはじまり、最後は超能力者対決みたいになる「理解」。これは映画化したら面白そうだ。監督はクローネンバーグ。
1が他のすべての数と等しいと証明してしまった数学者と、他のすべての人に感情移入できるその夫という夫婦の破綻を描く「ゼロで割る」。理系と文系のわかりあえなさ?
「あなたの人生の物語」は必然的に映画『メッセージ』と対照しながら読むことになる。映画の原題は「到来 Arrival」であり、7本足の異星人ヘプタポッドは地球に到来はするがメッセージを送るわけではないので、ありがちなことだが、映画の邦題というのは業界のセンスの悪さを示している。話の大筋は踏襲してはいるが、映画はやはり映画的なスペクタクルを追及していることがわかる。原作では異星人との接触は双方向通信装置を介してだが、映画では実際の宇宙船に乗り込んでガラス越しにヘプタポッドと対峙する、などなど。しかし最大の違いは映画が異星人とのファースト・コンタクトに重きがおかれているのに、原作のほうはあくまで「あなたの人生の物語」なのである。語り手ルイーズの娘である「あなた」、25歳で事故死してしまう「あなた」の物語。異星人とのファースト・コンタクトは「あなたの人生の物語」にかかわる挿話でしかない。
そしてヘプタポッドがやってきた理由を映画では説明してしまうが原作ではわからないままである。それでいいのだ、挿話に過ぎないのだから。
「七十二文字」は無生物に名辞を書き込むことで動かすゴーレム的世界観と、生物の胚にホムンクルスがいるという前成説の世界観の融合。生命の謎に挑んでいく名辞師の物語。遺伝情報も一種の言語であると考えれば、現実世界のアナロジーのようでもある。
「人類科学の進化」は「ネイチャー」に掲載されたという、科学論文のパスティーシュ。
「地獄とは神の不在なり」では、神が物理的に実在する。というか、天使がときどき降臨する。天使が降臨するとその物理的ショックで死ぬ人が現れるとともに、奇跡によって、病気が治る人が現れる、という世界が描かれる。ときどき地面を透かして地獄が見えてきて、人々は地獄に堕ちた人の様子を観察することができるが、そこでは現世とあまりかわらない生活をしている。ただそこには神がいないだけである。これは徹底したリアリズムで信仰の馬鹿馬鹿しさを描いた物語かと思ったが、あとがきをみると理不尽さという信仰の本質を真面目にえぐろうという意図のようだ。
「顔の美醜について──ドキュメンタリー」は、顔の美醜を認知する脳領域を可逆的に機能不全にする技術が生み出された世界で、この処置を全学生が受けるべきという運動が起きた大学の話を、人々の証言で綴る。「人間は顔じゃない、中身だ」という題目を、ポリティカル・コレクトネスとして実現すべきか、それは行きすぎとみるのか。多様な意見が投げ出される。途中、宗教学者が内面こそ大事というヘブライズムと肉体の美を称揚するヘレニズムと指摘するあたりが面白かった。
でも、テッドちゃんは知っています。短編こそがSFの精華だと。 -
珠玉の短編集ってこういうのを言うんだな。
SFが多いけど、ジャンルはバラバラ、だけどどの作品にも通じる高い知性を感じさせる文体・内容。科学的な描写が多く、数学や哲学、修辞学などなど正直読んでて理解できないところも多々ある。
特に「バビロンの塔」「理解」「あなたの人生の物語」あたりが好き。「理解」は「アルジャーノンに花束を」や映画「LUCY」を彷彿とさせる。
「あなたの人生の物語」は映画「メッセージ」の原作。あれめちゃくちゃ好きなんだよな。映画よりもっと観念的で静かな作品だった。
「七十二文字」は伊藤計劃の「屍者の帝国」みたいだった。
人の命令で動く限りなく人に近い人でなきもの。昨今のAIをとりまく問題にもオーバーラップして感じられた。
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bookaholicさん
テッド・チャンは寡作だから、早く次の作品が読みたいと思っています!
猫的に「商人と錬金術師の門」が一番好き、、、(...bookaholicさん
テッド・チャンは寡作だから、早く次の作品が読みたいと思っています!
猫的に「商人と錬金術師の門」が一番好き、、、(「息吹」所収)2020/10/31
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映画『メッセージ』を観たので確認のため再読。でもほぼ忘れてしまっていたので最初から最後まで新鮮な気持ちで読むことができた。やはり「あなたの人生の物語」は面白かった。新しい思考様式の獲得については、映画で省略されていた物理のエピソードがはっとするほど面白い(でも人類の頭脳はああいう世界認識をサポートできる気がしないのだけれど)。
ほかの話は、楽しむには自分の頭が悪いのかも…というのもはさみつつ、「バビロンの塔」の世界や「人類科学の進化」「顔の美醜について」の思考実験ぽさが面白い。なかでも、「地獄とは神の不在なり」は面白さを超えて心に刺さるものがあった。というのも、自分の心に一神教はなくても因果応報的世界観がぬきがたく染みついていることに気づかされたし、そういう精神は、整理しきれないおおきな不運には負けてしまうのでは?という不安を強くかきたてられてしまったから。こういう話をすいすい書いてしまうテッド・チャンは頭がよすぎて残酷なんじゃないかと思うのだがどうなんだろう。直接のご縁はないから残酷でも残酷じゃなくてもいいですけど。 -
めちゃくちゃ面白かったです。
テッドチャンの本は、科学的視点を取り入れて書かれており、とても説得力があり、面白いです。
好きな作家さんの一人になりました。
ぜひぜひ読んでみて下さい。
面白かったですよね♪
こちらも気になります
設定がぶっ飛んでますか(笑)
機会を見つけて読みたいです!
面白かったですよね♪
こちらも気になります
設定がぶっ飛んでますか(笑)
機会を見つけて読みたいです!
はい、ぜひ。図書館で探したら、閉架に入っていました。あらあら、古いせいかな、あんまり読まれなかったせいかな。海外小説は、読まれ...
はい、ぜひ。図書館で探したら、閉架に入っていました。あらあら、古いせいかな、あんまり読まれなかったせいかな。海外小説は、読まれないんですかねえ。SFだからかな。